第120話
「はるかさん、今、カフェレストラン『F』の禁煙席に、富高さんと一緒に座りました。席も確保してありまので、こちらに来て下さい。」
富高さんは、
「木嶋君、今、メールをしていたのは、はるかさんだよね?」木嶋に、確認をしていた。
木嶋は、
「そうですよ。はるかさんにメールを送信しましたよ!」富高さんに答えたのだ。
「すぐに来るのかな?」富高さんが、チョット不安気味に尋ねていた。
「すぐに来るんじゃないかな!すぐと行っても…10分ぐらい掛かると思うよ!来るまでに時間がかかる人だからね!はるかさんは…。」木嶋が、富高さんに話したのだ。
木嶋の携帯に、メールが届いていた。
「着信音が何故?鳴らなかったのだろう?」
携帯のメイン画面を見た。
《マナーモード》になっていた。
「何で…《マナーモード》にしていたのだろう?」
木嶋は、疑問に感じ、思考していた。
《マナーモード》にした…記憶がない。
木嶋の目の前に座っていた、富高さんに、
「自分がいつマナーモードにしたか覚えていますか?」聞いていた。
「木嶋君、ここに来る前に、星空を眺めていた時あったと思うけど…携帯を、双眼鏡代わりに覗いていたよ。考えられるとしたら、その時だと思うよ。」富高さんから答えが返ってきた。
「そうかな?…確かに、携帯を双眼鏡代わりにして覗いていたのは事実だよ。まっいいか?」木嶋の表情が、明るくなっていく。
受信メールボックスを開いた。
はるかからである。
「連絡をして頂き、ありがとうございます。これから向かいます!」
メールを受信してから、10分ぐらいが経過している。
「木嶋君、はるかさん…自分たちを待たせ過ぎじゃないの?」富高さんが、木嶋に向かって、少しイラつき気味に話していた。
無理もない。
コーヒーショップ『Y』で、待ち合わせしていた時も、時間通りに来なかったのだ。
元々(もともと)、はるかは、時間にルーズなのは、木嶋も富高さんも理解はしていたが、それが、積み重なって行くと、不満が蓄積され、爆発していく。
何度、時間を守るようにと、木嶋が話しをしても、
「馬の耳に念仏」と言う諺があるように、
全くと言ってほど…効果がないのが現状だった。
店員さんが、メニューを持ち、
「まだ、お連れ様は来られないのですか?」木嶋に話していた。
木嶋は、
「もうすぐ…来ると思います。」店員さんに、そう答えるしかなかったのだ。
「来られました声をかけて下さい。」木嶋に伝えて、テーブルから離れて行った。
ドアが…開いた。
木嶋が、後ろを振り向いた。
はるかであった。
「カッ、カッ、カッ」店内に響く靴の音。
木嶋たちがいる座席を見つけ、
「遅れて申し訳ない。」はるかは、木嶋と富高さんに頭を下げ、富高さんの左隣りに座ったのだ。
「はるかさん、遅いですよ!富高さん、イラついていましたよ。」木嶋が、はるかに話していた。
はるかは、
「富高さん、お待たせしてゴメンなさい。」富高さんに、謝罪をしたのだ。
「気にしなくていいよ!」富高さんは、はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「木嶋さんたちは、何かオーダーしたのですか?」木嶋と富高さんに問いかけていた。
「これからオーダーしようと思っていたんだ。」富高さんは、はるかに話していた。
「良かった!先にオーダーして、食べてしまったなんて言われたら…淋しいですからね!」はるかは、富高さんの気配りに感謝をしつつ、メニューをパラパラとめくりながら見ていた。
そんな光景を、木嶋は、間近に見ていた。
木嶋は、
「自分に、気配りが出来ないのに…。」心の中で、嫉妬していた。
木嶋が、右手を挙げ、近くにいた店員さんを呼んだのだ。
「オーダーをお願いします。」
「ご注文をどうぞ…。」木嶋たちに話していた。
木嶋は、
「自分は、BLTセット。飲み物は、ホットコーヒー。富高さんは…?」富高さんに声をかけたのだ。
富高さんは、
「パスタのミートソースでサラダセット。同じく飲み物は、ホットコーヒー。はるかさんは…?」はるかに問いかけていた。
はるかは、メニューをまだ見ていた。
どうやら決まったみたいである。
「私は、カルボナーラでお願いします。」店員さんに、オーダーをしたのだ。 店員さんは、
「ご注文を繰り返します。BLTセット。パスタのミートソースセット。どちらも飲み物は、ホットコーヒー。カルボナーラの以上3点で宜しいでしょうか?」木嶋たちに確認していた。
木嶋たちは、頷いた。
店員さんは、メニューを下げて、木嶋たちのところから離れていった。