第119話
「ただいま戻りました。」はるかは、木嶋と富高さんに笑顔で応え、富高さんの右隣りに座ったのだ。
はるかは、テーブルの上に置いてあった《ホットロイヤルミルクティー》を見つけ、
「木嶋さん、オーダーしてくれてありがとうございます。」
木嶋は、
「は〜い。クラブ『H』には、何時頃まで行けばいいの?」はるかに聞いていた。
はるかは、
「午後7時50分頃までに、クラブ『H』に入ればOKです。」
木嶋は、コーヒーショップ『Y』の柱時計を見つめていた。
時刻は、午後6時30分になろうとしていた。
時間には、余裕がある。
富高さんが、
「はるかさん、この近くに居酒屋はないのかな?」はるかに問いかけていた。
はるかは、
「居酒屋は、直ぐ近くにありますよ。」富高さんに答えたのだ。
「木嶋君、居酒屋があるみたいだから飲んでからクラブ『H』に行こうよ!」木嶋に話し掛けたのだ。
木嶋は、
「居酒屋もいいが、時間を考えると、混んでいる可能性も否定できない。それなら、いつも、はるかさんと行くカフェレストラン『F』にしようかと頭の中で描いているのですが…富高さんから見れば居酒屋ではないが…。確実性を求めるならその方が安全策だと…。はるかさんと、富高さんの意見は、いかがでしょうか?」
はるかは、
「私も、木嶋さんの意見に賛成です。カフェレストラン『F』ならクラブ『H』に行くのにも、近すぎず、遠すぎずでいいと思います。富高さんは、どうですか?」富高さんに問いかけたのだ。
富高さんは、
「二人の意見が、同じなら自分はそれでいいよ。カフェレストラン『F』に行きましょうか!」はるかと、木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「そうと決まれば、移動をしましょう。はるかさんは、場所が判っているので、先発隊として、富高さんと先に行って、店に入っていますね。」はるかに話したのだった。
はるかは、テーブルの上に置いてあった《ホットロイヤルミルクティー》を、一口飲み、ティーカップを、そっとテーブルに置いたのだ。
「木嶋さん、それでお願いしますね。座席が確保出来たら電話をして下さい。それまでの間、私は、ここで待機していてもいいですか?」木嶋に判断を委ねていた。
木嶋は、はるかに、優し過ぎるのかは、分からないが好きな女性から甘い言葉で囁かれたら、返す言葉はない。
「いいよ。ここで待っていてね。」木嶋は、はるかに伝えて、富高さんを携え、コーヒーショップ『Y』の階段を下りていく。
はるかは、木嶋と富高さんの後ろ姿を確認しながら、携帯を取り出していた。
コーヒーショップ『Y』の窓から覗いていた。
木嶋は、そんなことを知らずに、星空を見上げていた。
昼間の天気は、快晴だったので、星が、
《ポツン、ポツン》輝きを始めていた。
何万光年の彼方から、地球に届いたのだろうか?
新しく誕生した星もあれば、一つの終わりを迎えていく星もある。
木嶋は、ふと考えていた。
【いつかは、終わりがあると…】
人は、多くの人達と出会い、別れて行くのだ。
交際期間が長くなればなるほど、愛情が深くなっていく。
短期間で、交際を繰り返して行く人もいる。
「自分は、モテると」勝ち誇る人だ。
いわゆる自意識過剰な人…。
木嶋は、
「自分は、スタイルは良くない。はるかに、甘え過ぎているのか?」自問自答していた。
カフェレストラン『F』の店内に入り、空いている座席を探していた。
女性店員さんが、
「何名様でしょうか?」木嶋に声をかけていた。
木嶋は、
「あとから一人来ますので、三名でお願いします。」女性店員さんに話したのだ。
「畏まりました。禁煙席と喫煙席、どちらがご希望でしょうか?」
「禁煙席でお願いします。」
「ご案内します。」
女性店員さんのあとを、木嶋と富高さんは、歩いていく。
禁煙席に案内された木嶋は、はるかに、メールをしたのだった。