第108話
木嶋は、家の中で携帯を片手に居眠りをしていた。
どれくらいの時間を経過していたのだろう。
1時間ぐらい寝ていたのだ。
携帯を覗くと、メールの受信が2件あったのだ。
「誰かな…?」
木嶋は、メールをチェックしたのだ。
受信ボックスを開くと、はるかと、麻美からの着信であった。
最初に、メールを読んだのは、麻美のメールであった。
「木嶋君、メールを返信して頂き、ありがとうございます。富高さんといい返事を期待しています。富高さんが来れなくても、木嶋君、一人でも、来て下さい。」麻美の顔文字入りのメールだった。
木嶋は、麻美とメールをするようになったのは、今から1年ぐらい前であった。
最初は、何回か営業メールだけだったので、気にはしなかったが、いつの間にか《友達感覚》になっていたのだ。
木嶋と麻美は、年代が一緒。一学年、木嶋が上であるのだ。
それは、最初に出会った時に、麻美と話しをした日からお互いが理解をしていた。
違いがあるとすれば、木嶋は独身で、麻美は、子供がいるのだった。
木嶋は、昨年に一度、《バレンタインのチョコレート》を貰うために、東神奈川にファミリーレストラン『S』で、麻美の子供の顔を見たことがあったのだ。人見知りをしない娘さんであったのだ。
当然、木嶋には子供はいない。年齢から言っても結婚適齢期を過ぎてしまったと思い始めていた。
会社の中には、富士松さんを筆頭に良いなと思う人はいても、後ろ向きになってしまう【ジキルな木嶋】が存在していた。
そんな木嶋を間近で見ていると、麻美は、怒りと苛立ちを感じていたのだ。
麻美は、はるかのことを良く思っていないのは事実である。
また、木嶋と、はるかの交際に、《猛烈な反対》の立場を取っている。
それは、木嶋も、重々(じゅうじゅう)分かっていたのだ。
はるかと友達として交際している報告を受け、
木嶋は、麻美に相談するが、《アドバイス》をすればするほどに意固地になってしまう木嶋が、存在するのだ。
木嶋が、別れるつもりはないのは、麻美も分かっていたのだ。
富高さんといることで、自分に勇気が持てるのであったのだ。
木嶋は、
「分かりました。一週間、時間を下さい。一人で行くかは判りませんよ。」麻美に、顔文字入りのメールを送信したのだった。
麻美は、
「分かりました。」木嶋に返信したのだった。
次にメールを読んだのは、はるかのメールだった。
はるかは、
「ヤッター、チョー嬉しいです。木嶋さんに、誕生日プレゼントを渡したいのですが…何か!欲しい商品などありますか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「何もないね。敢えて言うなら…はるかさんがいればいいですよ。」はるかに答えたのだ。
はるかが、
「本当に、誕生日プレゼントは要らないのですか?」木嶋にメールを送信したのだった。
木嶋は、
「本当に、プレゼントは要りません!」はるかに、メールで答えたのだ。
はるかは、時間にゆとりがあるのか?メールを、直ぐに返して来たのだ。
「分かりました。日にちは、いつにしますか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「いつにしようかな?年明けの土曜日がいいかな?」はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「年明けの土曜日ですね!予定を空けておきます。クラブ『H』に来たときに何かしますよ。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「何があるのかな?」はるかに聞いたのだ。
はるかは、
「さて、何でしょう?」 木嶋は、《サプライズ》を期待していなかったのだ。