第106話
木嶋は、はるかと友達としての付き合いも長くなっていた。
朝、会社の通勤時間に熟慮していた。
「はるかは、いつの日かは、いなくなってしまう。その日が来る前に、自力で探さないといけないかな?」いつも感じながらも、時間だけが流れていく。
会社に着き、浮かない顔をしていた。
木嶋は、
「誰か良い人いないかな?」三谷さんに話しかけていた。
三谷さんとの付き合いは、木嶋が、会社に入社して以来、15年の月日が経過していた。
三谷さんとは、良く仕事面で喧嘩をすることはあるが、身近に相談出来る仲間の一人なのだ。
また、木嶋のいる会社は、年配の方々が多いため、話しずらいと感じる時もあるのだ。
上司である溝越さんには、仕事以外での付き合いは、ないのだった。これが普通だと考えていた。
三谷さんは、
「八方美人過ぎるよ。」木嶋に話し始めたのだ。
「八方美人ではないと思っているんだ。」木嶋は、三谷さんに答えたのだ。
「周りから見たら、手当たり次第、声を掛けていると思われているぞ。」三谷さんは、論すように話していたのだ。
木嶋は、
「そうかな?周りは、そんなような目で見ているの?」三谷さんに尋ねていた。
三谷さんは、
「俺から言わせてもらうと、もっと女性に対して、積極性を出さないとダメだよ。」
「積極性ね…どうすればいいのかな?」木嶋は、三谷さんに聞いていた。
三谷さんは、
「自分から女性のいる場所に出向いて、話しをしないといけないよ。」
「女性のいる場所か…そういう所って、《クラブやスナック、バー》だよね?」木嶋は、三谷さんに答えたのだ。
三谷さんは、
「そうだよ。そういう店に行くでしょう。男なら誰でも…。いつも通っている《クラブやスナック》あるよね?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「横浜と関内に、合計3軒ありますよ。」
「その中には、お気に入りの店があるはず!」三谷さんは、木嶋に聞いたのだ。
「お気に入りの店は、横浜ですよ。」木嶋は、三谷さんの質問に答えたのだ。
「木嶋が、横浜の店に行った時、いつも同じ女性しか指名しないのか?」三谷さんが、木嶋に話していた。
木嶋は、
「いつも、同じ女性しか指名しないよ。お目当ての女性がいるのに、他の女性と一緒に時間の共有をする勇気は自分にはありません。富高さんと一緒に行く日は、富高さんは、フリーの女性だよ。」三谷さんに話したのだ。
「同じ女性を指名するのはいいが、たまには他の女性と会話をしないと…」
「そのようにした方がいいの?」木嶋が三谷さんに問いかけたのだ。
「そうした方がいいよ!その女性に失礼な言い方かも知れないが、試すのも一手だよ。」
「自分的には、人を騙すみたいで嫌だな?」
「騙すんじゃないよ!試すの?いつもいる女性がどんな思いで、【木嶋を見ているのか?】見てみたくない?嫉妬すると思うよ。」三谷さんは、木嶋に問いかけたのだ。
木嶋は、
「一度、やって見る価値あるのかな?」三谷さんに尋ねていた。
「やってみたらいいよ。」木嶋に伝えたのだ。
「了解しました。」木嶋は、そう答えるしかなかったのだ。
木嶋は、三谷さんとの会話を終えて、自分の作業エリアに戻った。
昼休みの終了の予鈴が、
「キーン、コーン、カーン、コーン」鳴り響いていた。
木嶋は、気を取り直して、午後からの仕事を終え、帰る準備をしていた。
携帯電話の履歴に、着信があるサインが出ていた。
「誰だろう?」
木嶋が、画面を覗くと、麻美と玲、はるかからのメールであった。
一度に、3人からメールが来るのは、新年の元旦ぐらいだった。
普段は、はるかとメールをしている。木嶋が、はるかのことが好きだから連絡をするのが多い。自然な流れであった。