第104話
久しぶりに、はるかと長い時間、一緒にいれる安心感からなのか?コーヒーショップ『Y』を出てから、足取りが軽やかになっていた。
木嶋の気持ちに、微妙な変化がありそうな雰囲気が漂っていた。
【はるかを独り占めしたい。】独占欲が湧き上がって来たのだ。
《この心境で、はるかに話すべきなのだろうか?》
不安が脳裏を掠めて行く。
木嶋は、悩みながらも横浜駅構内を歩いていた。
相変わらず行き交う人たちの表情を観ていると、喜怒哀楽があり、人生模様に感じながら…
「横浜は凄いな!」木嶋は呟いていた。
ポルタ地下街の階段を下りて、インフォメーションボードを覗いていた。
「自然や…」ボードを探していた。
「ここね。」宝物を探し当てたみたいに喜びを噛み締めていた。
距離は、そんなに遠くない。
木嶋は、
「カポッ、カポッ、カポッ」靴を擦りながら、店の前に着いて、はるかに電話したのだ。
「プルッ、プルー、プルー」呼び出し音がなっていた。
はるかが、電話に出たのだ。
「もしもし、はるかですが…。」
「木嶋です。今、店の前に着きました!はるかさん、中にいるのかな?」はるかに聞いていたのだ。
はるかは、
「店の中にいますよ。奥の座席です。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「了解しました!」はるかとの電話での会話を終え、店の中に入って行ったのだ。
「いらっしゃいませ。」威勢の店員さんの声が《こだま》する。
はるかのいる座席を目指した。
木嶋は、
「お待たせしました。」はるかに話したのだ。
はるかは、
「お腹空いた。」木嶋にボヤいていた。
木嶋は、
「待たせたね。何をオーダーしようか?」はるかと一緒にメニューを《パラパラ》とめくっていた。
はるかが、近くにいた店員さんに声をかけた。
「こちらのお勧めは何でしょうか?」
店員さんは、
「そうですね〜。『牛カルビの葱塩焼き』がオススメです。」はるかに答えたのだ。
はるかは、
「木嶋さん、今、店員さんが、言われたオススメメニューを頼みたいのですがいいですか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「それでいいよ。あとは、鶏と玉子とじご飯。はるかさんは…。」
「私は…生ハムグリーンサラダ。木嶋さん、飲み物はどうしますか?」はるかが、木嶋に尋ねていた。
「そうだね。烏龍茶で!」木嶋が、店員さんにオーダーしたのだ。
はるかは、
「私も、同じで。」店員にオーダーしていた。
店員さんは、
「繰り返します。鶏と玉子とじご飯、生ハムグリーンサラダ、牛カルビの葱塩焼き、烏龍茶2つ。以上で宜しいでしょうか?」木嶋と、はるかに確認した。
木嶋と、はるかと2人一緒に声を揃えて、
「OKです。」店員さんに答えたのだ。
木嶋は、
「初めてこの店に来たよ。」はるかに話したのだ。
はるかは、
「木嶋さんと、このお店に入るのは初めてですが、私は、友達とたまに入りますよ!」木嶋に言葉を返したのだ。
「友達って誰なんだろう?」
木嶋の胸が、【ドキドキ】しながら、はるかに聞いていた。
はるかは、
「学生時代の女友達ですよ。」
木嶋は、はるかの言葉に安心したと同時に、気持ちを落ち着けていた。
はるかは、
「木嶋さん、どうしたのですか?」木嶋に尋ねていた。
「はるかさん、モテるから男友達と良く来るのかなと…」木嶋は、はるかに答えていた。
はるかは、
「クラブ『H』のお客さんとは、お店に近い場所しか行きませんよ。私の知っている人は、年配の方が多いので…。」
「若い人はいないの?」木嶋は、素朴な疑問を感じていた。
何故なら、はるかほど、可愛い女性に、アタックをしない男性がいないのが不思議に思っていた。
店員さんが、
「烏龍茶と牛カルビの葱塩焼きです。」木嶋とはるかの前のテーブルに置いた。
木嶋と、はるかは、烏龍茶の入っているグラスを持ち、
「今日は、お疲れさま。」はるかに伝えて、グラスを、
「お疲れさま。」と音を鳴らしながら、乾杯したのだった。