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アイテムボックス経過20億年

 アイテムボックス内でビッグバンが起こってから約80日、21億年ほどが経過した。

 アカシックリングを使って検索してみると、安定空間に近い空間が見つかった。

 安定空間に空間の組成は近いのだが、重力は小さめの星が多いようだ。

 地球が約46億年経過して人類が住める環境になったことを考えると、早熟な星と言えるかもしれない。


 既にたくさん検索にヒットした星があるのだが、とりあえずそのうち一つを小粒な星だからマメッチと名づけて、空間を接続してみることにした。

 一旦アクセルボックスからアクセルボックス5のクロックアクセルを解除する

 解除しなくてもこちらの世界で時間がほぼ進まないだけで問題はないのだが、あっちでの時間の流れとこっちでの時間の流れを同じにしておくほうがいいと判断した。

 空間把握で接続する場所の周囲を調べる。

 海に隣接した森林地帯があるようなのでそのあたりに接続ポイントを作ろうと思う。


「マメッチ空間接続」


 もうアイテムボックスというよりも異世界がまるごと入っている感じだ。

 俺はアイテムボックスの中に入って行った。


「普通に息が出来るな」


 アカシックリングで検索しただけあって、問題なく呼吸が出来る場所だったようで安心した。

 今いる場所は、海が見える砂浜で砂浜から森が見えている。

 重力が小さいので身体強化なしのジャンプでも2,3mはジャンプ出来る。

 かわいいものハンターとしては、何か可愛い動物がいないか気になるところだ。

 でも危険もあるかもしれないので一旦マメッチをでることにした。

 外にいても空間把握やリングの能力で動物は探せるし、もし可愛い動物がいた場合アリスがいたほうがいい。

 俺は、アクセルボックスの可能性について考えていた。

 もはや、今住んでいる世界にこだわる必要はなくなっている。

 今後文明を築くほどの生物のいる星はいずれ出てくるだろう。

 そうなったときに、ここより進化した文明のある世界で暮らすことだって出来るのだ。

 ここアセロスフィアは、俺が転生した生まれ故郷である、という特別な地位があるだけだ。

 それに、アイテムボックスに入っているので任意の場所から物を取り出すことが出来る。

 まだ早熟な星ばかりだが、もはや選びきれないほどの素材をそれらの星から取り出すことができるはずだし、冒険者という枠組みにとらわれることなく生活していくことができそうである。

 普段使いするものはスロウボックスの安定空間(折をみてちょっとずつ拡張している)に放り込んでおけばいい。

 思考実験に過ぎないが、俺がスロウボックスに入ってでてくるだけでこの星の何千年という未来に移動することも出来る。

 ただし、そんなことをしても故郷が故郷でなくなるだけで何にも良いことはないのでしないが。

 マメッチで可愛い動物をもし見つけても、アセロスフィアに連れてくると重力の関係ですぐ弱ってしまうかもしれない。

 そう考えると、もっと時間を経過させてアセロスフィアと同じような環境の星が誕生させた方がいいと考えた。

 アクセルボックス1-5にクロックアクセルをかけなおす。

 もう100日ぐらいは寝かせたほうがいいだろう。

 しばらくアクセルボックスのことは忘れて、冒険者活動をしようと決めるのだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――


 アリスが冒険者登録をして2日後、俺たちは初めての依頼を受けるために冒険者ギルドへとやってきた。

 ギルド右側に依頼票が貼ってあるクエストボードがある。

 俺たちはDランクなので自分のランクの一つ上までのC-Fランクの依頼を受けることが出来る。

 

「最初は簡単な依頼にしようよ」


「そうだな。Eランクぐらいの依頼を探してみようか」


 そうしてEランクの依頼票をみていく。

 ジマリーノ外壁の修理、ホーンロッピー討伐、鹿討伐、イノシシ討伐。

 Eランクは俺たちがジマリーノの森でやっていることとほぼ同じようだった。

 ミューちゃんにホーンロッピーを討伐させるのは忍びないので、イノシシ討伐を受けることにした。


「すいません、これお願いします」


 登録ではなくクエストのカウンターに依頼票を持っていく。

 カウンターには20台ぐらいの金髪碧眼の美人お姉さんが座っている。

 ネームプレートを見るとイライザさんというお名前らしい。


「あ、これは常設依頼なので依頼票は持ってこなくてもいいですよ。失敗してもペナルティはありません。イノシシ1頭の討伐につき5000セリスで、さらに肉も買い取ります」


 この世界のお金はこんな感じになっている

 白金貨 10万セリス

 金貨 1万セリス

 銀貨 1000セリス

 銅貨 100セリス

 鉄貨 10セリス

 賎貨 1セリス


 前世で言えば1セリスが1円ってところだ


「なるほど、んじゃ、肉を売らない場合は討伐証明のキバをもってくるだけでいいってことですか」


「そうなります。これが初めての依頼ですよね、お気をつけて」


 お姉さんの気遣いが染みる。

 俺たちは早速ジマリーノの森に向かった。


「キューちゃんの索敵とケイの空間把握、どちらが先にイノシシを見つけられるか勝負よ」


「いいぜ。負けたら報酬は6:4な」


 キューちゃんの索敵はもう円形25mに達している

 俺の空間把握は相変わらず円形だと20mぐらいだが任意の地点をピンポイントで見れるため、任意の地点から円形20mを探ることが出来る。

 なのでこの勝負は俺のほうが有利なのだ。


「キューちゃん行くぞ」


「キューイ」


 キューちゃんが索敵を始めた。俺もすかさず空間把握を展開する。


「見つけた!前方80m右にイノシシ」


「なん……だと?」


 俺も80m先を空間把握で確認すると確かにイノシシがいる。なぜだ。キューちゃんの索敵は25m四方だったはず。

 俺たちはイノシシのいる方向に向かった。


「ミュー之新、突撃だ」


「ミュッ!」


 またミューちゃんの名前が変わってる。

 ミューちゃんはイノシシに向かって突進していく。

 イノシシも気づいてこちらを振り向いたが、既にミューちゃんの射程圏内に入っている。

 グサッ

 ミューちゃんの角がイノシシにクリティカルヒット。イノシシは倒れた。


「ミューちゃんよくやった。干し肉あげる」


 ミューちゃんが干し肉をムグムグと食べている。嬉しそうだ


「俺の完敗だ。どうやって索敵したんだ?キューちゃんの索敵範囲は25m四方だったはず」


「それなんだけどね、キューちゃんの索敵は直線上に絞ると100mはいけるの。その直線をずらしていくことで擬似的に100mの円形の索敵が出来るのよ」


「そんな方法があったのか。気づかなかったなぁ」


「もう1匹探す?」


「いや、やめておこう。まずはギルドのシステムに慣れるのが目的だからな」


 アリスは手際よくイノシシの血抜きをしていく。

 それが終わると俺はスロウボックスにイノシシをしまいこんだ。

 スロウボックスもスロウボックス2を作ってその中に入れることで、時間経過を1/10000に減らしている

 このぐらいあれば十分だと判断してそれ以上はやってない。

 

 ギルドに帰ってくると、クエストカウンターで台車を借りて、裏路地に行き、その上にスロウボックスからイノシシを取り出した。

 それを持って再度クエストカウンターに移動する。


「イライザさん、イノシシ討伐のクエスト、達成してきました」


「お疲れ様。名前、覚えてくれたのね、ケイ君。これは……綺麗に血抜きしてあるわね、買い取りには色をつけるわ。イノシシ1頭の討伐で5000セリス。イノシシ肉が50キロで15000セリスね」


「ありがとうございます。はい、アリスの分12000セリス」


 そういって12枚の銀貨を渡した


「悪いわね」


「公正な勝負の結果だからな」


「あら、どちらがイノシシを狩るか勝負でもしてたの?」


「どちらが先にイノシシを見つけられるか勝負したんです。今回は俺の完敗でした」


「ピコリスのテイマー相手には分が悪いのではないかしら?」


「そうですね、無茶をしました」


 本当は分が悪い訳ではないのだが、時空魔法のことは隠しているので話を合わせておく。

 そうして俺たちはギルドを後にしたのだった。


「さて、ケイ。ここに初めての収入がある。これで、家族を喜ばそう」


「そうだな。タオルでも買ってプレゼントしようかな」


「タオルかー。それもいいな。私は紫陽花亭で食べ放題に連れていく予定よ」


「パーっと使うのもいいな」


 そんなことを話しながら俺たちは初めてのクエストを終えたのであった。


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