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神様にまた会った

 あれから、ついに俺は容量無制限のアイテムボックスの魔法に挑戦していた。

 無制限のアイテムボックスは、安定空間生成で作るような境界のある空間とは違うため

安定空間生成を組み合わせて使う。

 無制限の空間の中に、安定空間をいくらでも好きなだけ足していって利用する形になる。


「アイテムボックス!」


 空間把握でアイテムボックス内をみてみると、前世の知識でいう宇宙空間のような何もない空間が広がっていた。

 安定空間生成を使い、ものをいれられるようにしてみる。


「空間接続!」


 1立方メートルの安定空間を生成し、あらかじめ用意しておいた草を目一杯詰め込んだ。

 そしてさらに安定空間生成を使い、容量を倍にして追加で草を入れてみた。

 取り出しもうまくいったので、うまく使いこなせたようだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――


 その日の夜、俺は夢を見た。

 

「やあ、久しぶりですね」


「あれ、イスファリア様?」


「アイテムボックスの魔法成功おめでとう。世界を管理する準備が整ったのでこうして会いにきました」


「そういえば世界の管理がどうとかおっしゃってましたね」


「君のアイテムボックスの安定空間の外にに、世界の種、ワールドシードをいれておきます。これは大変に危険なもので、一万年が経過すると君には想像もできないような大爆発をおこすものなのですが、大爆発からさらに何十億年と経つと今我々がいるような世界がたくさん生まれます。時空魔法を極めれば時間を巻き戻すことはできないけれど時間をものすごく早く進めることは出来るようになります。君には、アイテムボックス内の時間をどんどんと進めてもらって、世界を誕生させてほしい」


「なるほど、まだ想像もつきませんがクロックアクセルとかで時間を進めていけばいいんですね。とりあえずやってみます」


「これがただの夢でないことの証拠に、君が目を覚ましたら私の持っているのと同じ指輪型端末をプレゼントします。アカシックリングっていうんですが。空間把握だけで把握するにはあまりにも空間が大きすぎることになるだろうから、この端末をぜひ使いこなして君の作った世界の探索に役立ててください。いずれは君の世界にもアカシックリングやワールドシードと同じ物が作れるようになる技術力を持った星が誕生してくれたら、僕の目的は達成されます。頑張って」


 そういってイスファリア様は去っていった。



――――――――――――――――――――――――――――――――


 朝目が覚めると、枕元に指輪が落ちていた。

 やっぱりただの夢じゃ無かったんだ。

 人差し指に指輪をはめて見ると、指輪はすっと消えて透明になった。

 また、指輪の使い方が頭に入ってきた。

 俺の頭に入ってきた内容はまだ指輪の能力の一割程度らしいが、俺のアイテムボックスと関連付けることができるようなのでやっておく。

 elapsed 1 day。俺のアイテムボックスは生まれてまだ一日ということらしい。

 指輪で検索すると


 干し草 2m^2

 ワールドシード x 1


 とホログラムが表示された。もう俺のアイテムボックスにはワールドシードが含まれているようだ。


 俺のクロックアクセルは現在3倍速ぐらいに時間を引き伸ばせるのだが、実戦ではそれで充分なので速度をあげるということはあまり考えてこなかったが、今後は時間を早く経過するような特訓をしていかないといけないな。

 さしむき、クロックアクセルを俺のアイテムボックスにかけておいた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――


 それから約5ヶ月が経った。いよいよ冒険者としての生活をスタートさせることができる。

 この5ヶ月で、新たにスロウ、時間ほぼ停止のアイテムボックス、ゲートの魔法を覚えた。

 スロウはクロックアクセルと対になる魔法で、対象の時間を遅くする。

 いわゆる時間停止機能つきのアイテムボックスといわれるものは、時間が停止しているわけではなく、限りなく時間の流れが遅くなっているアイテムボックスと考えれば良いようだ。

 クロックアクセルは最大100倍、スロウは最大100分の1に時間を進めることができるようになった。

 呼び分けが大変なので、時間ほぼ停止のアイテムボックスはスロウボックス、ワールドシードの入っているアイテムボックスはアクセルボックスという名前をつけた。

 冒険者活動を始める準備として、コーリーの店に行って、いろんなパンを買い、スロウボックスにしまいこんだ。

 ゲートの魔法は任意の2点間を空間的につなげるものだ。空間把握の魔法は索敵に使う時は自分を中心に円状に展開するが、距離が離れていても任意の一点を見ることができる。

 なので、ゲートの設置の際は空間把握で設置先を把握することで、行ったことがない場所ともゲートをつなげることができる。

 空間把握はおもしろいので、毎日寝る前にこの世界、アセロスフィアの色々な場所を確認して過ごしてきた。


「父さん、母さん、冒険者登録に行ってくる!」


「ついにこの日が来たか。最初が肝心だ、舐められないようにするんだぞ」


「気をつけて行ってらっしゃい」


 ジマリーノの街の冒険者ギルドは、自宅から徒歩10分ぐらいのところにある。

 アリスと一緒に冒険する予定なので今日は登録だけして冒険者活動自体はアリスが登録してから始める予定だ。

 

 そうこうしているうちにギルドにたどり着いた。


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