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地盤固めを始めた

ストックが尽きました。今後は1週間に1-2回ぐらいのペースで更新できたらなと思っています

「改めて自己紹介するわ。私はミリス・フォイエルバッハ。この街の領主の娘よ」


「みんな、ミリスお嬢様はこの街の領主の娘なんだって」


「ええぇー!!この巨大な街の領主の娘なんですか」


 メグが驚いている。

 身分が高い人を検索したが、ここまで身分が高い人だとは思っていなかった。


「一応こちらも改めて。俺はケイ。こちらはアリス、カイ、メグです」


「あなたたちには何かお礼がしたいのだけど、何がいいかしら」


「それでしたら、俺たちの後ろ盾になってもらえませんか。俺の能力で、フォイエルバッハ家に大きな利益をもたらすこともできます。あと文無しなので少しばかりお金を頂けると助かります」


「それではうちの食客としてしばらくここに滞在する?能力というのはあの移動魔法のことよね」


「そうですね、移動魔法があるので夜には一旦うちに帰りますが、滞在させてもらえるとありがたいです。それと能力というのは移動の魔法のことだけじゃありません。例えば、希少な鉱物がとれる地域を教えることだってできます」


「まぁ、それは本当かしら。今ミスリルが不足しているのだけど、ミスリルのとれる鉱山の位置なんてわかるかしら」


 俺はアカシックリングを起動して検索してみると、フォイエルバッハの街のすぐ近くに鉱脈があることがわかった。


「ここから西にバーロ馬車で30分ぐらいの場所に鉱脈がありますよ」


「えっ、そんなに近くにあるの?」


「はい、間違いありません。早ければ明日にでも案内しましょうか」


「もしそれが本当なら、あなたたちには別途褒美をださないといけないわね」


 ミリスお嬢様のネコミミがピコピコ揺れている。機嫌がいいのかもしれない


「それじゃ、俺たちは少し休みます」


「メリー、この方達を客室に案内してあげて。角の4部屋を使いなさい」


「かしこまりました、お嬢様」


 いかにもメイドといった風情の女の人が案内をしてくれた。

 案内してもらった後、俺たちは情報共有をするため、一度俺の部屋に集まってもらうことにした。

 先ほどのお嬢様とのやりとりについて話していく。


「そういうわけで、明日ミスリル鉱脈へ案内することになったんだ」


「なるほどね。この大きな街の後ろ盾があれば私たちも動きやすくなるわね」


「アカシックリングはアセロスフィアのことはわからないけど、俺のアイテムボックスの中の世界のことはわかるから、こういう情報がわかるとうれしいとかそういうのがあったら知恵を貸してくれ」


「分かった、私たちも考えておく。ね、みんな」


「はーい」「おう」


 話がまとまったところで、今日は解散となった。

 こちらの時間とアセロスフィアの時間を大体同じにするためにスロウの魔法をかけてから元の世界に戻り、同じぐらいの時間になったらスロウを解除した。

 今度は時計を持ち込んで1日の時間を計り、それに合わせた倍率のクロックアクセルなりスロウなりをかける予定だ。


――――――――――――――――――――――――――――――――


 そして翌日、みんなを迎えに行った後、アースワンの与えられた部屋に戻ってきた。

 

 部屋を出るとメイドのメリーさんを見かけたので挨拶しておいた。


「メリーさんおはようございます。お嬢様はどちらにいらっしゃいますか?」


「おはようございます。お嬢様はリビングにいらっしゃると思います。案内しましょうか」


「お願いします」


 メリーさんについていくと、大広間といった感じの部屋にたどり着いた。


「ミリスお嬢様、お客様をお連れしました」


「あら、あなたたち。朝食はとったかしら?」


「いえ、まだです」


「それなら軽く食べていきなさい。メリー、案内してあげて」


「わかりました、お嬢様」


 メリーさんに案内されるがままに食堂にたどり着いた。

 多人数で使うことが想定されているようで、かなり食堂は広い。

 メリーさんにお待ちくださいといわれ、俺たちはテーブルのうちの一つに座った。

 しばらくして食事が運ばれてきた。

 メニューは白い杏仁豆腐かヨーグルトのようなものとインドのナンのようなパンだった。


「いただきます」


「こちらのパンはティコル、その白いほうにつけてお召し上がりください。おかわりもありますからね」


 メリーさんが食べ方を教えてくれた。

 杏仁豆腐のような奴は、ちょっと酸味が効いていてパンとよくあう。

 

「美味いな」


 カイも気に入ったようだ。


「その白いのはティコルっていう食べ物らしい」


「アセロスフィアにはない食べ物だね」


「あっもう食べちゃったけど、この世界の人にとっては大丈夫でも私たちにとっては毒があるかもしれないから今度から食べ物はアカシックリングで毒がないか調べたほうがいいんじゃないかな」


 メグの指摘はもっともだった。


「そうだな、ちょっと迂闊だったかもな。次から気をつけよう」


 犬にとって玉ねぎが毒なように、こちらの世界の人にとっては安全な食べ物でも俺たちには毒性のある食べ物もあるかもしれない。

 とりあえず、ティコルとパンには毒性はないことはリングで確認した。

 おかわりしても大丈夫だ。


 俺たちは食事を終えて大広間へと戻ってきた。


「朝食、美味しかったです。私たちの国には存在しない食べ物でしたからとても楽しめました」


「大したものではないんだけど、それなら良かったわ。ティコルはいろんな種類があるから明日も楽しみにしておいていいわよ」


「それは楽しみです」


「それより、鉱脈のことよ。これから案内してもらってもいいかしら」


「いいですよ。こっちもそのつもりでいましたから。ゲート、ああ、移動呪文のことですが、ゲートで行くこともできますが、道がわかったほうがいいと思うのですが馬車でいきますか?」


「さしむきゲートで向かって、本当に鉱脈があったら帰りは馬車で帰るのがいいと思うわ」


「なるほど、それは合理的ですね。それじゃ、坑夫と一緒に馬車ごとゲートで移動するのがいいですね」


「坑夫に御者は準備出来てるわ。早速向かうわよ」


 お嬢様と一緒にお屋敷を出て、バーロ馬車の元へと向かった。

 坑夫の人はもう準備されていたようで、ピッケルを持って待っていた。

 俺はアカシックリングの情報を元に空間把握を行い、馬車も通れるサイズのゲートの魔法を使った。


「こちらを通ってください。この魔法のことはフォイエルバッハ家の方以外には秘密ですよ」


「どえりゃーこった。こない一瞬でついちまうのか」


 坑夫の方や御者が驚いている。


「どこら辺をほりゃーええだべ」


「あそこら辺に色が変わっている場所がありますよね、あれがミスリル鉱石です」


「ほええぇ、こんなに大量のミスリルがあるとはびっくらこいただ」


「ジーク、この場所知ってる?街から馬車で30分の距離らしいんだけど」


 ジークというのは御者さんの名前みたいだ。


「お嬢様、ここは来たことがあります。確かに馬車で30分ぐらいの距離の場所ですな。ですがこの青いのがミスリル鉱石だとは知りませんでした」


「道がわかるならそれでいいわ。今日のところの目的は達成したわね。ゲートで帰るわよ」


 そうして、俺たちはゲートでお屋敷に戻ってきた。


「あなたたちに褒美をとらせるわ。何か希望があって?」


「それでしたら、ミスリル鉱脈から得られる利益の5%を頂けないでしょうか」


「たった5%でいいの?3割ぐらいあげてもいいのよ?」


「5%で充分です。ある程度のお金が手に入れば充分ですので。後は拠点となる家が欲しいところです。このお屋敷の近くにいい物件はありませんか」


「欲がないのね。物件については私じゃわからないから専門家を後でよこすわ。2000万リンまでなら好きなのを選んでいいわよ」


「わかりました。ありがとうございます」


「礼を言うのはこちらの方だわ。これだけのミスリルがあればうちの騎士団も大分強化できるわ。近々魔物のスタンピードが起こるという噂があってね。助かるわ」


「そういえばこの街には城壁などなかったのですが、そういうものは作る予定はないのですか?」


「この街は大規模結界魔術がはられていてね、魔物は入ってこれないの。便利でしょ。ただ、街道までは結界は張れないから対処する必要があるってわけ」


「そういうものがあるんですね、納得しました」


 こうして、家と収入源が確保できる見込みになった。

 ある程度地盤固めが出来たら、文明の発展してる星にも行ってみたいところだ。



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