ギルドとの話し合い
そして一週間後、俺たちはリネット邸を訪れた。
しばし歓談した後、
「こないだの件について、今から冒険者ギルドへ行くわよ。先方へは連絡済みだから」
リネット様に連れられて冒険者ギルドへやってきた。
「ギルドマスターはいるかしら」
「リネット様いらっしゃいませ。ギルドマスターは執務室におります。少々お待ちください」
俺たちしがないDランク冒険者なんだけどな。いきなりギルドマスターと会ってもいいのだろうか……。
しばらく待っていると、熟練の冒険者って感じの風貌の人が現れた。
あれがギルドマスターだろうか
「これはこれはリネット様、それに冒険者殿。立ち話もなんですので執務室へお越しくだされ」
俺たちは執務室へと通された。
部屋の中央に大きめの机があり、たくさんの書類が置いてある。
「忙しいところ申し訳ないわね。でも是非保護してほしい冒険者がいるから連れてきたわ。ギルド側にもメリットのある話よ」
「いえいえ、仕事ですから」
ギルドマスターはリネット様に向かってそういった後、俺たちに向かって話しかけてきた
「まずは自己紹介をしようか。俺はクスーシの街のギルドのギルドマスター、トール・プロトキンだ」
「やすらぎの庭のリーダーのケイ・リーフノートです。こちらはアリス、カイ、メグです」
俺たち4人は挨拶して軽く頭を下げた。
「君たちについては少し調べさせてもらった。捕獲依頼が得意な冒険者だと聞いている。またケイ君、君のギフトは時空魔法だそうだね」
「そうですね。成人の儀でギフトを授かったときに上へは伝わるとは聞いていましたが、今までは利用されるのが嫌でできるだけ隠していました。今回お願いしたいことは、時空魔法のギフトを公にしてある程度協力するかわりに、不必要に利用されるのを防ぐというか、保護をしてもらえないかと思っています」
「すべては言わなくてもいいが、時空魔法で何ができるんだね?」
「見てもらったほうが早いでしょう。ゲート」
そうして俺は王都のギルドの裏路地にゲートをつなげた。
「ここをくぐると王都のギルドにつきます。この力を使って、緊急依頼が発生したギルドへ冒険者を各地から送り込むことも出来ます」
「これは……なるほど。ハーグにも話を通しておいた方がいいか。ちょっと王都のギルドマスターを訪ねるぞ」
裏路地からギルド正面にまわってギルドに入り、受付に言伝を頼んでしばし待つ。
「ギルドマスターの部屋へご案内します」
受付嬢がギルマスの部屋へと案内してくれるようだ。
ついていくと、部屋のサイズこそ違うもののクスーシのギルドの執務室と似通った部屋に通された。
「おお、トール。久しいな。アポもなく急に訪ねてきたがどうした?」
「ハーグ、実は5分前まではクスーシのギルドの執務室におったのだが、ここにいる冒険者の魔法で一瞬で移動してきたのだ」
「もしや、ゲートの魔法か!」
「ご名答」
そうして、緊急時に冒険者が不足していた場合、各地から冒険者を集めることを条件に保護をしてやってほしいということをトールギルマスとリネット様が説明した。
俺たちも戦争に利用されたりするのは嫌だということや、街と街の移動のことなどを説明した。
「なるほどの。捕まって戦争に利用されたりするのは嫌じゃろうて。あいわかった。街と街の移動も特例として申告せずとも良いようにしてやろう」
緊急時の冒険者の召集が終わって問題が解決したら、元の街へ冒険者を送り届けるようにすることなどの細かい部分を詰めて、かわりに国などから囲いこまれないように保護してもらえることになった。
特例を認めていることを示す特別なバッジももらった。
パーティリーダーがこのバッジをつけているとパーティメンバーにもその効力が及ぶそうだ。
「ケイ君、わしにもゲートの魔法をみせてはもらえんかの」
「いいですよ、ゲート」
今度はクスーシのギルドのギルマスの執務室に直接ゲートをつなげた。
「おお、これは素晴らしい」
「今後私の力が必要な時は指名依頼が出されるということですが、内容によってはそれを断ってもいいんですよね」
「そうじゃ。あくまでも選択権は君らにあるという形にしておる」
「ありがとうございます」
お世話になったのであまりにも度々呼ばれるということでもないかぎり指名依頼は受けようと思った。
「それじゃ、また王都へのゲートを開きますね」
「すまんの」
王都のギルドマスターを送った後、俺たちはクスーシのギルドを後にした。
「リネット様、今日はありがとういございました。最良の形になったと思います」
「いいわ、だって私にもメリットがあるからやったことだもの」
「それでも、ありがとうございます」
「そ、そう。それなら良かったわ。ついでに庭園で遊んで帰る?」
「是非!」
アリスが食いぎみに答えた。
今日は従魔は家に置いてきているのでモフモフ成分が足りてないのだろう。
リネット様の庭園にいる動物は戦闘能力がないか、戦闘能力があっても子供からしつけられているものばかりなので危険はない。
だから安心してモフモフと遊べる訳だ。
俺たちはいろんなモフモフを堪能して帰った。
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