王都セブンス
「今回は報酬はカイ達で分けてくれ。本来2匹のハイスピードバニーを捕まえた訳だからな」
「それも一理あるが、さすがにそれは悪い。なので少し多めに受け取らせてもらう。メグもそれでいいな」
「わかった、兄やん」
そういってカイ達は35万セリスずつ手に取った。
「ところで相談なんだが、お試しはやめて本格的に一緒のパーティを組ませてもらえないだろうか」
「もうお試しは済んでるかと思ってたよ。カイ達とならうまくやっていけると思うので俺は賛成だ。アリスは?」
「そうね。わがまま言っていつもテイムさせてもらってるけど、それでもいいなら歓迎よ」
「それなら問題ない。戦力の増強にもなっているしな。正直、ケイのおかげで遠くの街にもいけるし冒険も安全だし楽しいんだ」
「もうパーティ申請は済んでるから、特に変更すべきことはなにもないよ。これからもよろしくな」
「ああ、よろしく頼む」
「よろしくお願いします」
「王都セブンスまではクスーシの街から徒歩3日ぐらいらしいから、今日はクスーシの門をでて4日後に迎えにいくね」
俺はみなを家に送って帰った
――――――――――――――――――――――――――――――――
俺は久しぶりにアクセルボックスの中身を確認してみることにした。
elapsed 25億年(簡易表示モード)
アクセルボックスは25億年が経過してるようだ。クロックアクセルを解除し、空間把握でマメッチの様子をみてみると、恐竜みたいなでっかい生き物がうろうろしている様子だった。
重力が小さいからより大きい生物でも自重につぶされずに生存できるのかもしれない。
王都のギルド探訪が終わったら、もっと加速させてアイテムボックス内の探索をするのもいいなと思っている。
後懸念事項としては、自分が転生者であることを両親に話すべきかが残っている。
前世の両親の記憶はないため、今の両親が親だという感覚はある。
この秘密は墓まで持っていくというのも一つの選択肢だが、おそらく文明の発達した星に行けるようになると父母も招待してみたい。
前世が文明の発達した地球だったため、前世の知識があることでうまく説明できる部分があることもあるだろう。
そういう星が見つかるまではまだ伏せておこう、そう決めた。
俺は再度アクセルボックスにクロックアクセルをかけた
――――――――――――――――――――――――――――――――
そして4日後、俺たちは王都の門のある城壁のあたりまできていた。
さすがに王都だけあって立派な城壁と堀が築かれている。
この辺は草原地帯になっていて、見通しが良い。
「ついに王都だな」
「ここまであっという間だったわね」
バニ太郎以外は揃っている。
俺はミューちゃんを抱っこしてふわふわ感を楽しみながら王都の門の列に並んだ。
メグもキューちゃんをやさしく手の上に載せて可愛がっている。
アリスはラッキーとポーちゃんを肩と頭にのせ、ウーフはカイに撫でられている。
「ラッキーお前の手はほんと小さいなぁ」
「ピギュイー」
「モフモフも大分増えたな」
「まだまだ増やすわよ。モフモフだけじゃなくてそろそろ強い従魔も欲しい所だけどね」
「クロックアクセルがあれば弱くても戦えるさ」
「それもそうね」
雑談をしてると自分たちの順番が来た。
「身分証を出して」
「はい、冒険者証でいいですよね」
「ああ。後はこの水晶に手をかざして異常がなければ」
水晶に手をかざすと一瞬光ったような感じがあったが、すぐに光は消えた。
どうやらOKらしい。
アリス、カイ、メグも同様に手をかざして問題なかったようだ。
「入ってよし」
俺たちは王都に足を踏み入れた。
今いるのは観光・商業地区だ。
王都は南部の観光・商業地区と東部の住居地区、西部の工業地区、北部の貴族、王族居住区かつ高級商業地区に分かれている。
「とても賑わっているし綺麗な街並みね」
「いろんなお店があるね、兄やん」
「表通りは綺麗だけど、裏通りに入ると屋台とかがたくさんあるみたいだな」
「ピニャ飴欲しいよ、買っていこうよ」
「あそこにあるのはぬいぐるみ専門店かしら。ホーンロッピーのぬいぐるみ可愛いなぁ」
女性陣は買い物がしたくてうずうずしてるようだ。
「まぁ急ぐ旅でもないし寄っていこうか」
俺もピニャ飴食べよっかな。
「このピニャ飴美味しーい!!」
「嬉しいねぇ、嬢ちゃん。おまけでもう一つあげよう」
可愛い子は得をするようだ。
ピニャ飴を食べたら今度はぬいぐるみショップに入った。
「見て、フォスもぐらだって。兄やんこれキモ可愛い」
「キモいのか可愛いのかどっちなんだ」
「どっちも!」
「ファイアピジョットもあるわね、まだファイアピジョットには会ったことないけどこんな見た目なのね」
「王都近辺にいるセブンベアのぬいぐるみもあるな」
「このホーンロッピーのぬいぐるみください」
「はいはい、一つ600セリスね」
「じゃあ3個買います」
「ミュウー」
ミューちゃんが嫉妬しているのかちょっと興奮してる。大丈夫、俺はミューちゃん派だからな。撫で撫で。
その後、従魔用のエサなども購入したのち、ギルドに向かうことになった。
「王都のギルド大きいー!」
「依頼も多いのかな。見てみよう」
俺たちはまずクエストボードに向かった。
Dランク依頼はゴブリン、グリーンウルフ、ファイアピジョット、ジャジャモンキーの討伐があるな
Cランクはオークにハイウルフ討伐とサラマンダーの石の採取がある。。
「採取依頼、やってみる?」
「そうだね、どんな依頼なのか聞いてみよう」
俺はミューちゃんを抱っこしながらクエストカウンターに並んだ。
王都だからか、並んでる人数も多いがカウンターも複数あって分散されているのでそんなに待たないで済んだ。
「すみません、この依頼ってどんな感じか説明してもらっていいですか?」
「サラマンダーの石の採取ね。これはボーゲン火山にたくさん転がっているサラマンダーの石を一定量持ち帰ってくる依頼よ。サラマンダーの石は常に発熱していて、例えば公衆銭湯なんかで利用されているわ。熱くて素手で持つことは出来ないので、火箸とこのマホービン君を使って採取することになるわ。マホービン君1つにつき10万セリス。火箸とマホービン君は無料で貸出しているわ。まぁ光ってて熱い石だからすぐわかるとは思うけど、サラマンダーの石はこの絵を参考にして。大体こんなところね」
「それじゃ、マホービン君2つと火箸を4つ借りられますか」
受付の人に言うと、奥に行ってとってきてくれたようだ。
「はい、どうぞ」
マホービン君は蓋付きの入れ物で、前世でいうダンボール箱を少し小さくしたぐらいの大きさがある。
これいっぱいに入れるとなると結構大変かもしれない
「それじゃ行ってきます」
俺たちはそうしてギルドを後にした。
ボーゲン山はセブンスから西のほうにあり、馬車で山の入り口まで5時間ぐらいかかるところにある。
移動にかかる時間が大きいため、そこをスキップ出来る俺たちにはかなり割の良い依頼かもしれない。
「ちょっと待ってね、空間把握でサラマンダーの石のありそうなところを探してみるから」
ボーゲン山の中腹から上層、火口にかけて探査していく。
火口にはたくさんサラマンダーの石があったが熱すぎて採取がしにくそうだった。
上層あたりにそれっぽい場所を見つけたのでそこへゲートを開いた。
「みんな火箸は持った?アリスの従魔は一旦家に置いていこう」
アリスの家へのゲートも開いて従魔を置いてきてもらって4人でボーゲン山へのゲートをくぐった。
「うわー、熱いけどちょっと幻想的な場所ね」
山道に光輝くサラマンダーの石がたくさん転がっている。
「一応魔物に襲われないように俺は索敵してるよ。今日はキューちゃんもいないしね。何か近づいてきたら声かけるから」
「それじゃ、早速あつめよー!」
メグが元気に声かけをして、サラマンダーの石をみんなが集め始めた。
サラマンダーの石は三角柱型で光るお灸って感じの見た目をしたものが多い。
俺は索敵に集中する。200mぐらい離れたところに火トカゲみたいな魔物がいる他は、特に魔物はいなさそうだったので、火トカゲのような魔物が近づいて来ないか主に見張っていた。
「もう2箱いっぱいになったから蓋したよー」
蓋をされたマホービン君は全然熱くない。温度が逃げないようになっているのだろう。
「案外早かったな。スロウボックスにいれておくよ」
俺たちはゲートの魔法で王都に帰還した。
怪しまれないように達成報告は2日後にすることにした。
自由に力が使えないというのも不便なものだなと思うけど、面倒ごとに巻き込まれるのも御免だからこればっかりはな。
「次はマホービン君10箱ぐらいもらってもいいかもね」
「そうだな、あっという間に集まるもんな」
そうして後日俺たちは20万セリスの報酬を受け取った。




