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新しいモフモフを捕まえたその2

「このリス可愛い〜♪」


 メグがキューちゃんをお触りしてる。

 まだ俺だって触ったこと無いのに、羨ましくなんてないんだからな。羨ましくなんて……。


「キュー」


 首に巻いているリボンが蒸れるのか、メグがキューちゃんの首のところをかいてやると気持ちよさそうにしている。

 俺もミューちゃんのリボンを巻いているたれ耳のところをかいてやるとミューちゃんの動きが止まる。

 ここがええんか、ここがええんか。


「ミミュー」


 そうこうしてるうちに結構いい時間になった。


「そろそろお暇します。また明日ね」


 俺たちは明日の10時に再び会う約束をしてゲートでジマリーノの街に帰還した。


――――――――――――――――――――――――――――――――


 そして翌日。ゲートでカイ達の家の近くに移動し、カイの家へ向かった。


「おはよーございます!」


「おはよう。準備はできてる。さあ行こう」


 カイ達と合流し、ギーノの冒険者ギルドへと向かう。

 ジマリーノの冒険者ギルドにはない依頼、あるかな。

 ギルドに到着すると、すぐにクエストボードに向かった。


「グリーンウルフ討伐、ゴブリン討伐、希少薬草採取、護衛依頼、ラクミーの捕獲、ファイアピジョットの討伐」


「新しいのが2つあるね。ファイアピジョットはこちらからの攻撃手段がアリスの弓しかないから難しいかなぁ」


「ラクミーってどんなやつ?可愛い?」


「愛玩用に飼われてるやつをみたことがあるけど可愛いよ。ずんぐりむっくりしたモフモフの体で、魔法攻撃してくる。愛玩用のやつは卵から育てて魔法は使わないようにしつけられてるけど、野性のは火魔法とか使ってくるよ」


「テイムしちゃう?」


「テイムしちゃう」


うへへ、またモフモフが増える。


「カイ達もこのクエストで良い?」


「ああ。任せる」


「いいんじゃないでしょーか」


「すみません、このラクミーの捕獲ってクエスト受けたいんですけど」


「ラクミーの捕獲ですね。1匹につき30000セリスになります。場所はジマリーノの街とは反対方向のトライの森になります。ここに捕獲用魔封じボックス、その名も「マフージ君」がありますのでこれに捕獲してください」


「愛玩用のラクミーがいるのになんで野生のを欲しがるんでしょうね」


「依頼主はギーノの街のテクマル研究所です。多分魔法の研究に必要なんでしょう」


「なるほど、わかりました。では行ってきます」


「お気をつけて」


 トライの森は始めていく場所だな。

 ジマリーノの森と違って魔物も強い場所みたいだ。


「俺たちはトライの森は始めてなんだ」


「あたし達もだよ。いつもはギーノの街の近くで癒し草ばかりとってたから」


「気を引き締めていかないといけないな」


 俺とアリスは索敵を始めた。


「前方60メートルに蛇の魔物がいるから迂回しよう」


 こんな感じで索敵&迂回しながら森を探索していく。

 蛇の魔物はポイズンリザードでCランクの魔物だ。

 

「東方向50メートルにターゲットと思しき魔物3体を発見」


「北東方向80メートルにオークがいるから南から近づこう」


 やっとターゲットを発見した。3体もいるとは幸先がいい。

 南東方向に移動してから北に向かう。

 空間把握してみるとラクミー達はずっと同じ場所にいるようだ。

 

「俺が行ってちょちょいっと捕まえてくる。クロックアクセル10!」


 残り30メートルぐらいになってから加速の魔法を使った。

 左手にマフージ君をもってラクミーに接近する。

 両耳がたれていて小さな手足をもつ胴体の大きな生物が3匹固まっていた。

 魔法を使われる前にさっさと捕まえよう。

 俺はラクミー1号から3号をむんずと掴みマフージ君に放り込む。

 10倍に加速された俺はほとんど抵抗されることなくラクミー達を捕獲した。

 ラクミーは30センチから40センチぐらいの大きさだ。


「クロックアクセル解除。おーい、捕まえたぞー!」


 少し遅れてみんながやってくる。

 

「すごーい!もう捕まえちゃったんだ」


 メグが褒めてくれる。ちょっと嬉しい。


「3匹いるけど1匹はテイムしていい?」

 

 アリスがカイに向けて尋ねる。


「ああ、俺たちの戦力アップにもつながるからな」


「ほらほら、どれにする。1匹だけ少し大きいやつがいて、あとの2匹は同じぐらいのサイズだが」


「大きいほうが強いかしら。大きいっていってもこぶし1つ分ぐらいしか差はないわね」


「大きいやつでいいんじゃない?」


「そうするわ。汝、我が呼び声にこたえ、我と同じ時を歩まん。テイム!」


 ラクミー達は必死になって魔法を使おうともがいているようだ。

 アリスがテイムのための呪文を唱えると、魔方陣が足元に展開され一回り大きいラクミーが動きを止める。

 テイムに抗っているようだ。


「今回のおやつはこれだー!魔物にも大人気 ミグミグチョコ」


 アリスが餌を与えると最初はクンクンにおいを嗅いでいたが、モグモグと食べ始める。

 すると、魔方陣が縮小していった。

 あれ美味そうだな。人間も食えるのかな。


「成功ね。ラクミーだからラつながりで、君の名前は"ラッキー"よ」


「ピギュ」


 俺はマフージ君からラッキーだけ取り出した。

 するとアリスはラッキーを抱きかかえた。


「君は何ができるのかなー?」


 アリスはラッキーと感覚をリンクさせているようだ。


「ていっ」


 アリスが掛け声をかけると、ラッキーの正面から30センチメートル大の火の玉がとんでいった。


「おおっ!これはいい遠距離攻撃要員だな」


 怒らせて燃やされないように気をつけないと。


「とうっ」


 今度はラッキーの正面で燃えている木に魔法で作った水がかけられた。

 水魔法も使えるようだ。


「俺たち今回も何もしてないな」

 

 カイが呟いている。

 

「今回は俺たちががんばったけど、クロックアクセルはカイにかけることもできるから次からはよろしく頼む」


 お金を受け取ってもらえないかもしれないと思ったのでフォローしておく。


「そうか、なら良い」


「良かったね、兄やん。次は活躍できそうだね」


 メグは回復役なのでカイほどは役立ってないことを気にしていないようだ。

 こうして捕獲依頼をこなして思ったことがある。

 討伐依頼は楽しくない。

 甘いかもしれないけど、できるだけ生き物を殺さないですむならばそれに越したことはない。

 幸い俺には時空魔術がある。

 捕獲依頼も人より簡単にこなせるだろう。

 そのことをパーティメンバーと相談してみよう。

 

「なぁ、みんな。俺、今後は捕獲依頼や採取依頼などの討伐依頼じゃない依頼を受けていきたいと思ってるんだけどどうかな」


 ちょっと考えてからアリスが答える。

 

「依頼があるなら私はかまわないわよ。そうすると今後はいろんな場所のギルドで依頼を探すべきかもしれないわね」


 カイたちに俺の時空魔法のことを話したほうが良さそうだな

 

「俺たちは元々採取専門だったからそんなに変わらないかな。ひとまずそれでうまくいくかお試しでやってみよう」


「カイ、メグ。ちょっときいて欲しい。俺にはまだ話してない秘密があるんだ。人に知られると利用される恐れがあるから秘密にしてたんだが、今後色々なギルドを回るとすると情報を一部開示したほうがいいと思ってな」


 そうして俺はカイの家へのゲートを開いた。

 みんなを手招きしてゲートをくぐる。


「えっウソ!おうちに帰ってきたー!」


「っとこういうわけで、俺は行きたい場所へすぐに移動できる。この方法で色々なギルドをまわって依頼を受けようと思ってるんだ。隣接した町のギルドぐらいへの移動に制限しておけば、怪しまれることもないと思うし」


「それじゃ、王都でも一瞬でいけるのか?」


 カイが食い気味にきいてくる。

 

「ああ、もちろん」


「それはすごい。王都はいつか行ってみたいと思ってたんだ」


「それじゃ、当面の目標は王都のギルドへ行くことにするか。王都までの町のギルドを順繰りにめぐっていこう」


「ケイ達がうちまで来てくれるのもこの魔法があったから一瞬だったんだね」


「ああ。このことはくれぐれも内密に頼むな」


「わかった、秘密にする」


「これからの旅が楽しみだね、兄やん」


「そうだな」


そうして俺たちはギーノの町のギルドに帰還し今日の報酬を山分けした。


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