表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詩など(連載詩集/その他)

草いきれ

作者: 檸檬 絵郎


 人の血を吸った草木はとうの昔に枯れた。

 わたしらはなにも知らぬ。若葉のころよりただ風に吹かれるままに、この世はいかに狭いものだろうと周囲を見回しておった。


 人が来て、悠久の草木だなどと感慨にふけるが、わたしらはさほど長く生きているわけでもない。そういうものもあるにはあるが、奴さんはなにも覚えていまい。人の血を吸った想い出など、あの馬鹿でかい根っこを伝って、とうの昔に土へと消えたにちがいない。


 それでも人がここへ来て、みないちようにつわものどもの夢を見ては去っていくのだから、この世はいかに狭いものだろうと感じさせる。

 今日もひとり、すべてを知りつくしたような悠久の人間が、風に吹かれるわたしらを眺めて詩を詠んでいったよ。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「人の血を吸った草木はとうの昔に枯れた。」でまずぞわっとし、「すべてを知りつくしたような悠久の人間」でひょえっとなりました。(語彙力) そうですよね。人間なんてちっぽけな存在だと私たちはま…
[良い点] 植物は、面白いですよね。 どこにでも生えていて、気にも留めないけれど、人間よりも長生きした木もあるし、一年草なら、種子を残すことでそこに長年定着できています。 植物に知性はあるのか、あるな…
[良い点] 深い……。 ドスンと胸に響きました。 胸の中が熱くなるような感じもしますし、頭が冷えていくような感じもします。 『人の血を吸った想い出など、あの馬鹿でかい根っこを伝って、とうの昔に土へ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ