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不平等な俺  作者: かまぼこ子
3/3

部活動開始!…?

放課後、俺は1人屋上にいた。

昼休みが終わろうとしている時。次の授業の準備をしようと机の中を見たら1枚の手紙が入っていた。

「放課後、屋上に来てください」

俺はこれを見た瞬間、思わずガッツポーズをしてしまった。これは、どう見てもラブレターだ。まだそんなに日にちが経っていないのに、もう俺に惚れた人がいるのか。これでリア充ライフだー!と思っていた昼休みの終わり。

しかし現実はそんなに甘くなかった。俺のもとへやってきたのは優希だった。

「来たわね。遅かったわよ」

「いや、お前の方が遅く来ただろ!?」

俺は屋上で30分も待っていた。30分も待っていたのに、よりによってこいつが書いたものかよ。

「で、何の用だ?」

「ひとつ頼みたいことがあるの」

「頼みごと?」

「そうよ。あなたってさ、入学試験で学年3位だったわよね?」

「あぁそうだけど」

そう。俺こと滝下海斗は入学試験で学年3位を取るほどの秀才なのだ。そのせいか「俺って天才!」って思ってしまうことが多くある。まぁ仕方ないよ。俺が天才なのが悪いんだろ?なんてね。たぁーー!。

「というか、なんでそのこと知ってんの?」

「先生に聞いたのよ」

「俺が頭いいからって何?もしかして俺の良さに気づいた?」

とうとう優希も俺の良さに気づいたようだな。もしかして今までの事をわざわざ謝りに来たのか?優希もいいところはあるんだな。しかし優希の口から出た言葉とは思ってもいない言葉だった。

「実はね。私あんまり頭が良くないの。だからあなたに勉強を教えて欲しいの」

俺は驚いた。しかし、あんなことをされて俺が「いいよ」なんて簡単に言うはずがない。

「嫌だよ。お前なんかに勉強教えたくない」

まず勉強を教えること自体やる気がない。ましたやこいつに勉強を教えるなんて、絶対嫌だ。

「なんでよ!いいでしょ!ほらこんなに可愛い子を助けれるのよ?」

いや、それ自分で言っちゃうの?凡太朗と言ってること変わらないじゃん。

「俺は何がなんでも嫌だ。お前に勉強を教えるなんて」

「私このまんまだと、高校を卒業できるかどうか危ういの」

いやお前どんだけ頭悪いんだよ。留年するほどかよ。

「一生のお願いよ!私に勉強を教えて!」

「じゃあ俺も1つお願いする。一生のお願いでお前の勉強なんて教えたくない」

どうだ!これが俺の学んだ。「一生のお願い」に対する返し方だ。やっぱ俺って天才。

「いいから教えなさい!」

「それが人に頼む時の態度かよ!尚更嫌になったね。頼む時は、お願いします。だろ?」

「あぁもう!だから嫌だったのよ。こいつに勉強を教えてもらうなんて」

その時、扉が ガチャ と開いた。

「やぁ君たち キランッ 待たせたね キランッ」

そこにやってきたのは、田中凡太朗。名前だけ聞くとどんな酷い顔をしているんだろうと思ってしまう。しかし彼は高身長、顔面偏差値の高いイケメン。多くの男性が一目見れば嫉妬してしまうであろう姿をしている。

「あんたなんて待ってないし呼んでないわよ。あとその喋り方やめて。何回も言ったでしょ」

彼は顔やスタイルはいいのに、語尾に「キランッ」と付けてしまう。聞いてるとほんとムカついてくる。

「まぁまぁそんな事言わないで。今回は部活に入れて良さそうな人を呼んできたよキランッ」

彼の後に一人の女子が立っていた。その女子は彼の前に出た。

「あ、あの…私」

彼女はとても小さな声で恥ずかしそうに喋り始めた。

「私の名前は、緑川律って言います。あの、部活の件を聞いてきたんですが…」

彼女はおどおどと喋っている。正直なんて言っているのかよく聞こえない。

「彼女は僕の昔からの幼馴染でねキランッどうかなと思って声をかけたんだキランッ」

うわ、凡太朗の幼馴染か…可哀想だな。あんなやつとずっと一緒にいるなんて死んでも嫌だわ。

「それでその子をどうするの?」

「部活に入れようと思うんだ。そしたらちょうど4人揃うだろ?これで部活ができる!」

現時点で、俺、優希、凡太朗の3人。あと1人足りない状況だった。

「その子は部活に入ってもいいって言ってるの?」

「は、はい…ちょっとやってみたいなと思っています…」

え?なんて言った?もういっそのこと声に出すんじゃなくて、紙に書いてほしいんだけど。

「これで!部活ができるね!」

あ、いいって言ってたんだね。

「これで内申オール1は避けれる…よし!優希、先生に報告しに行こう!」

「ちょ!勉強の件は?」

俺は聞こえないフリをして職員室へ向かった。

「新川せんせーい!部活の件についてなんですがー」

先生は顔をひょこっと出して、こっちを確認した。あ、やっぱ可愛い。

「先生、4人揃いました!これでいいんですか?」

「おぉ。4人揃ったのね。では言っていた通り部活を作ってもらおうと思うわ。校長先生には事前に相談してあるから、後はどこの教室を使うかよね…」

この東青高校は、5階建てで地下を合わせれば6階建て。5階に上がるにはたくさんの階段を上がらなければいけないので、避けたいところである。

「んー。余ってる教室かー…たしか5階に丁度いい教室があったな」

うわ…よりによって嫌だと思っていた5階かよ…。まぁ、いい運動になるな。ポジティブにとらえよう。

「これは鍵だ。部長とかいろいろは君たちで決めとくように」

「はい。わかりました」

俺は鍵をもらって、先生に指示された教室へと向かう。思っていたより5階に上がるのって辛い。

そして、これから俺たちの部室となる教室のドアの前に着いた。

「よし!俺たちの第1回目の部活スタートだ!」

俺は勢いよくドアを開けた。しかし俺たちは、ドアの前で立ち止まった。

「なんだ、これ…」

「なによ、これ…」

俺たち4人は唖然とした。俺たちがこれから使おうとしていた部室は長い間使われてなく、いろんな物が散らかっていてホコリだらけの汚い教室だった。

「私たち、これからこの教室を使うの…?」

「どうやらそうみたいだ…」

久しぶりにドアを開けたからか、ホコリがとてもまっている。みんな咳き込む。

ゴホゴホ。

「ここを使うしかないんだよな…」

「どうしましょうか…」

俺と優希はどうするか考えていた。すると横で完全装備に着替えた凡太朗がいた。

「どうするってキランッ使えるようにキランッ掃除するのさキランッ」

「え、まじ…?」

凡太朗はとてつもないスピードで掃除を始めた。

「ごめんなさいね…。前からあんな感じなの…。なんか掃除することに関してはボンちゃん手を抜けなくて…」

やっと声が聞こえた。こんな感じの声だったんだ。しっくりくる。てか、ボンちゃんって誰?え?凡太朗の事なの?

「君たちキランッ何を立ち止まってるんだキランッ早く掃除を一緒にやろうよキランッ」

凡太朗はマスクやら箒やらを俺たちに渡してきた。やるかしかないのか…。俺は嫌な顔をしつつ教室へ入った。

優希はというと、教室のドアの前でずっとスマホをいじっていた。緑川さんの方はちゃんと掃除をしているっていうのに。ほんと酷いやつだ…。その日の放課後では終わらず、明日に持ち越しとなった。なんか、凡太朗のいい所を見た気がする。緑川さんはほんとにいい子だった。

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