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出来損ないの探偵物語  作者: Ⅾeka
2/7

甘い殺人 2

西ノ浦高校 調理室


今、ここには僕らが呼んだ土井さんたち警察が捜査をしている。


「でも、まさか英司君の学校でこんな事件が起こるとは…」


「えぇ、非常に残念です」


そんな話をしていると、新人の刑事らしき人が入ってきて、被害者塩原先生のことを土井さんに報告をしていた。


被害者塩原先生の死亡推定時刻は、午前11時30分、僕らが発見した20分前だ。


死因は刃物により頸動脈を切られたことによる出血死


だが、凶器はこの部屋には無いようだ。


「この部屋にはない?あの包丁もですか?」


「えぇ、ここの刃物片っ端から調べたんですがルミノールも出ませんでした」


殺害現場となった二階の調理室に出入りできたのは、


佐藤先生 加藤 千代子 泉瀬里奈 小倉 亜里咲の四人だ。



「この先生は皆に嫌われるタイプの先生だったんですか?」


「えぇ、ですがごく一部の生徒に人気はあったそうですが」


フォードは冷蔵庫を見ながら、土井さんの問いに答えていた。


冷蔵庫の中にはチョコでできたハイヒールと、タッパーに入った少量のゼリーが入っていた。


フォードは冷蔵庫を閉めると、隣の流しに目がいった。


そこには、カップやお皿がたくさん置いてあった。つい最近洗われたばかりのようだ。


「そうですか…とにかくまずは関係者に事情聴取をしなくてはなりませんね、隣の部屋でお話しを聞きましょう」


そう言ってその場を離れようとしたら、僕は被害者の身体の周りの血液に、蟻が集まっているのが見えた。


「あ、あの!被害者の周りに蟻が来てますけど?」


「蟻?本当だ…おい!早いこと仏さん運んどいてな」


土井さんは現場の人達に指示すると、そのまま僕らを連れて隣の部屋に向かった。




家庭準備室


僕らはここで、四人の事情聴取を一人ずつ順番に行っている。


最初は、佐藤先生からだ。


「あなたは、被害者が殺害された時刻どこにいましたか?」


「私は加藤さんに鍵を渡した後この下の職員室で仕事をしてました」


「おひとりで?」


「はい、あ!ただ一度席を離れたときにエアコンの室外機の修理に来た業者の方に挨拶をしました、ただ詳しい時間まではわかりません」


「では、犯人に心当たりは?」


「いえ、でもあの人少し乱暴な人でよく誤解される人なので恨みはかいやすい人でした」


「そうですか、ありがとうございます」


先生は瞳から流れる涙をぬぐいながら答えていた。


「なぁ?フォード、この話どう思う?」


「今は何とも言えないな」


土井さんと、佐藤先生との会話を、フォードは冷静に分析していた。



次に話を聞いたのは加藤さん


「私は今朝早く10時頃からケーキの準備を始めて、11時頃から兼部しているバスケ部の練習に向かい11時20分からランニングを始めました、一人で走ってたので証人はいません」


「やけに正確ですね?」


「あぁ、はい・・タイムスケジュールを大事にしている部活なので」


「では、犯人に心当たりは?」


「いえ、私は正直苦手な人でした・・あ!でも瀬里奈は恨んでるどころか塩原のこと大好きでした、結婚するって聞いたとき泣いていましたから」


彼女は部活でかいたであろう汗をぬぐいながら答えていた。


最後に話を聞いたのは、泉さんだ。


「私は先に来てた千代子と一緒にケーキを作った後千代子が部活に行くといって別れた後ずっと一人で上の階の図書室にいました」


「ほう?一人ですか」


「はい、今の時期はここの利用者は少ないですから」


「では、犯人に心当たりは?」


「解りません・・でも佐藤先生が塩原先生から暴力をうけていたって噂を聞いたことがありましたからもしかしたら・・・」


「そうですか、ありがとうございます」


最後は小倉さんだった。


「私は昨日遅くまで資料を作っていたので今日は遅れてしまい犯行時刻には近くのデパートで頼まれていたジュースとクラッカーを買っていました、あ!これレシートです」


「なるほど、確かにそうですね では犯人に心当たりは?」


「う~ん、結構厳しい先生でしたから、恨みはかっていたでしょうね」


「わかりました、ありがとうございました」


こうして全員の証言を聞き終えた。




家庭準備室


「う~ん犯人がみえてこない・・・」


確かにそうである。


ここで事件を整理してみよう。



10時 加藤 千代子ケーキ準備を開始

    その後泉 瀬里奈が合流

         ↓

11時 加藤 千代子と泉 瀬里奈はそれぞれ部活や図書室に向かう

         ↓

11時20分 加藤 千代子 ランニングを開始

         ↓

11時30分 塩原先生 殺害

       小倉 亜里沙がデパートで買い物をする


こういう流れである。


「今、怪しいのは佐藤先生ですよね」


土井さんがうなりながら考えていると、フォードが口を開いた。


「あの、俺たちは容疑者に気になった事を聞いてきます」


「解りましたでは、我々は佐藤先生にまた話をお聞きしますので」


「解りました、では 行くぞワト」


「おう!」


こうして僕たちは土井さんと別行動を始めた。







階段


僕たちが部屋を出てすぐの階段を降りると、そこに泉さんが座っていた。


「ここで何している?」


フォードは冷たい口調で彼女に尋ねた。


「フォード聞き方がきつすぎるぞ」


「だ、大丈夫だよ蒼井君、ちょっと落ち着くためにボォ~としてただけだから」


彼女は強がりながら答えた。


「そうか、なら一つ聞く 君は佐藤先生が被害者から暴力を受けていたと言ったがどこからそんな情報を得たんだ?」


「う~んよくわからないんだ、クラスのみんなが話しているの聞いただけだし」


「なるほど、ありがとう」


フォードは満足したのかその場を後にした。


「ごめんね、マイペースな奴なんだ、じゃぁ!」


僕も後を追うようにその場を後にした。


正面玄関


僕らは運よく室外機の修理に来ていた二人組の業者の方に出会えた。


「ん?女の先生が来た時間?」


「はい、正確な時間ってわかりますか?」


「いや、俺はわからないが、おう!お前は?」


業者の方がもう片方の人に尋ねた。


「あぁ!美人な先生だったから覚えてるよ!たしか11時10分かな、ほらお前先生が来たときドジってケガしたからよく覚えてるよ」


「あぁ!はいはい確かにあの時お前の携帯から時間が見えた!」


「ありがとうございます ところでお二人はなぜここに?」


「俺たちは三階の空調の修理に来たんだよ、昨日全部壊れちまったらしくてよ」


「ん?そうですか・・・ありがとうございます」


フォードと僕は質問を終えてその場を去った。





体育館


ここでは加藤さんがシュート練習をしていた。


「自主練?熱心だね!」


僕は加藤さんの練習を見て声をかけた。


「あぁ、みんな帰っちゃったんだけど私はまだ帰られなくてさ それでどうかしたの?」


彼女は僕らがやってきたことに疑問をとなえた。


「君に聞きたいことがあってね」


「聞きたいこと?」


彼女はシュートを辞めこちらを向いた。


「君が調理室に初めに来たそうだが、調理室には何があった?凶器になるようなものはなかったか?」



「う~ん包丁とかしかなかったよ、冷蔵庫は人数分のゼリーとチョコしかなかったし」


「ん?人数分」


「ええ、そうだけど?私のはアート系の作品だからハイヒール一つだけど、瀬里奈のは人数分にわけてもあまるくらい多く作ってたよ」


「なるほど…ありがとう」


「じゃあ!練習頑張って!」


そう言って、僕とフォードはその場を後にした。









視聴覚室


三階のこの部屋では、小倉さんが何か作業をしていた。


「何をしている亜里咲」


「ひゃ!なんだフォードか…何って今度の校内コンクールの時に発表する自由研究みたいなものの資料作りだよ」


そう言って彼女が僕らに見せてくれたのはお菓子や食べ物をを使った食器作りと書いてあった。


「へぇー!あ!凄い!お米でできたお皿か!あ!こっちはパスタの果物ナイフ!凄いなぁ~」


「何?」


そう言うとフォードは僕から髪を取り上げ真剣な眼差しで見ていた。


「にしてもここ暑くない?」


「うん、空調壊れてるからささっきから汗だくだよ」


「おい!教えてくれ!」


僕と、小倉さんが話しているといきなりフォードは小倉さんに、勢いよく迫っていた。


「ちょっとフォード落ち着いて!」


「そ、そうだよ、それに何を聞きたいの?」


「ここに書いてあるもの以外でそう言ったものは作れるのか?」


「えぇ?作れるよ








こんなところかな」


「そうか、ありがとう」


その答えを聞くと、フォードは落ち着きを取り戻した。


「すまない、事件の最後のピースが見つかりそうでテンションがあがっていた」


「え?てことはもしかしてフォード…?」


「あぁ」


僕の問にフォードは静かにフッと笑い、答えた。


「この事件(物語)はもうおしまいだ」


ご意見ご感想よろしくお願いします。


次回解決編です。

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