甘い殺人 1
初投稿です。
ある人が言った。
『人は、自分の中に何かを秘めている』
多くの人は、自分の中に謎を秘めているだろう。
小さいものや、大きなもの色々あるだろう。
だが、ごく一部の人は自分の中に悪魔がいる・・・。
西ノ浦高校
梅雨中明けのある日、朝の登校時間、人が集まってきた教室の中で僕はとてもイラついていた。
窓側の席の僕は右耳に、使い古したイヤホンをつけ、スマホとにらめっこだ。朝早くから来てゲームをするのが僕の日課だが、今日はそれすらできないほどイライラしている。
その理由は、ジメジメとした蒸し暑さからくるものだけではないだろう。
「おはよう、ワト」
ワト、<蒼井 和斗> これが僕の名前だ。名前が和斗と読めるのであだ名がワトである。
そして、僕の名前を呼んだのは<家村 英司>、僕がすごいと思っている人物である。
「お前、またイライラしているな?」
驚くことに僕の心情を見抜いていた。
「確かにイライラしてるけど、どうしてかわかる?」
図星をつかれた僕は、悔しさのあまり、イライラの原因を尋ねてみた。だが、彼は「フッ」と笑って語りだした。
「まず、初めに君の日課はここに早く来て、スマホのゲーム主に音ゲーをするためである。なのに君はゲームはしていない画面を見ているだけ、それは何故か?それは君に起きた二つの不幸が原因だろう」
「二つの不幸?」
きっと僕は苦い顔して尋ねているだろう。だって当たっているんだから。
「まず最初に君が何故、朝早くに学校に来るのかその理由は静かだからだ。だが今、ここは少々騒がしいそれが第一の不幸。いつもより騒がしく人が多いということ。でも騒がしいのなら耳を塞いでしまえばいい、現に君は今イヤホンをしている、片耳だけだが・・ここが第二の不幸、イヤホンが壊れて片耳しか聞こえないのだろう、その証拠に左のコードがむき出しになっている。そこから断線したのだろう?」
彼はほんの少しどや顔で自らの推理を話した。悔しいことに全部正解だ。
「正解だ、よくわかったね」
「このくらい、朝飯前だ」
そういうと彼は鞄からおにぎりを取り出しそれを、ほおばった。
「本当に朝飯前だったんだ…」
「ああ、昨日は土井さんに呼ばれて、ずっと捜査資料とにらめっこさ」
話にでてきた土井さんとは、<土井 直輝>西ノ浦の警察署の捜査一課の警部だ。
そんな彼に呼ばれるフォード、家村 英司は警察が認めるほどの名探偵なのだ。それが僕が彼を凄いと認める理由だ。
「そうだったんだ、それでその事件はどうなったの」
「問題ない、夜が明ける前に解決した」
おにぎりを食べ終えた彼は、鞄から、一冊の本を取り出した。
その本は年代物の分厚い本で、金色の文字で『Schelling Ford』と書かれている。
ちなみに、彼はこの本のタイトルからフォードと呼ばれている。
「ふ~んそっか、そういえば、課題やった?」
「課題・・・?」
彼、フォードは本を読むことを止めこちらをむいてきた。
「昨日出たでしょ!日本史のプリントやってきたか?」
僕の質問に彼の顔はみるみる青くなっていた。
「まさか、やってないのか」
僕の質問に彼は眼をそらした。
「しかたない、見せてもいいよ?」
「本当か!」
「そのかわり、明日土曜日だろ、少し手伝ってくれよ」
「手伝うとは?」
フォードは首を傾げ、こちらを見てきた。
「おはよ~♪」
僕とフォードの背後に一人の女子が立っていた。
この女子の名前は<小倉 亜里咲>僕とフォードの親友で、僕らの出会いのきっかけになった人物である。
「あ!小倉さん!明日フォードも来てくれるって」
「ほんと!嬉しいなぁ~」
小倉さんがそう言うとフォードが「何の話だ」とこちらに尋ねてきた。
「明日ね、私が所属してる家庭部でね今度の校内コンクールにだすお菓子の試食会をするんだ!それで、試食してくれる人を探しててね、多い方がたくさん意見を聞けるから助かるんだよね!」
「そうなのか、それで?誰が来るんだ?」
「私と千代子と瀬里奈それに顧問の佐藤先生とその婚約者の塩原先生だよ」
「そうなんだ・・ん?婚約者!」
聞き流すところだったが、今婚約者と言っていなかったか?」
「言ったよ?本当のことだし、佐藤先生と塩原先生は今度結婚するんだよね!だから今度の試食会の終わりにみんなでサプライズパーティーをしようって思ってるんだ!」
驚いた、まさかあの二人が結婚だなんて・・・
塩原先生と佐藤先生は一言でいえば正反対だ。
佐藤先生は、みんなに優しく生徒に人気の先生であるが、塩原先生は、みんなに厳しく人気がない先生だ。
そんな二人がまさか引っ付くとは・・・。
ちなみに、先程話に出てきた、千代子、瀬里奈とは<加藤 千代子><泉 瀬里奈>僕らと同じ学年で、小倉さんと同じ家庭部のメンバーである。
加藤さんは、チョコ作りが、泉さんはゼリーを作るのが得意だ。
「あ!そろそろ先生来る!じゃぁ!明日12時だから!調理室にね!忘れないでね」
そう言うと彼女は僕らの元を離れていった。
翌日
僕らは、約束の時間の10分前に学校に訪れていた。
「それにしても、今日はやけに熱いな・・・」
「あぁ、今から行く部屋にはクーラーが効いていて欲しいものだ」
僕らが並んで会場を目指していると、
きゃぁぁぁぁぁぁぁ!
突然二階から悲鳴が聞こえてきた。
「何かあったのかな・・調理室の方からだと思うけど・・・」
「行ってみよう、嫌な予感がする・・・」
調理室
悲鳴の聞こえた調理室の前には、小倉さん、加藤さん、泉さんがしりもちをついていた。
「どうした!」
「小倉さん!?」
「あなたたちどうしたの!」
「せ、先生、フォード、ワト・・・あれ・・」
調理室にたどり着いた僕らが小倉さん達がが指さす方をみると、そこには、まっ赤に染まった塩原先生だったものが横たわっていた・・・。
メンタルが弱いですが、ご意見・ご感想よろしくお願いします。