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26、再会なのです

『皇女ファルナリーア様、救助ニ成功』


魔法書簡による速達公文書はその日のうちにリリセンティアの皇王のもとへ届いていた。

その短くも重い文面に 普段は家臣の前で表情を動かさない皇王も隠し切れない歓喜で顔をほころばせた。




***********


あの日・・・


大地を震わす巨大な咆哮に国境近くの領都であるザクナムの人々は大混乱。

幸い?な事に都に駐留していた多くの兵士が人々を落ち着かせた事でパニック状態にはならなかった。


精鋭の騎士ですら萎縮させた巨大な咆哮。

その出所を知るべく皇国軍は多くの斥候を走らせ情報を集めた。

すると地図には荒野であるとしか記されていない場所に巨大な神殿が確認され、さらにはそれが軍を派遣した目的の教団施設と分かり駐留軍の全てをもって進軍し突入していく。


現地にたどり着いた軍が見たのは全ての者が気を失って倒れ付すという異様な光景であった。

不気味な惨状に最初は疫病も示唆され躊躇するも軍医の見立てで気絶しているだけと判明。

好機とみた将軍の指令で神殿の探索と神殿関係者全員の拘束を同時に行う慌しい作業が行われていく。

そして探索に任じられた騎士隊は荒れ果てた礼拝堂の中に目的の皇女を発見するという大金星をあげることとなる。


皇女誘拐の動かぬ証拠を得た皇王は正式に「かの教団とそれに類するものを凶悪犯罪集団として永劫廃止」とする旨の勅令を発した。

他にも多くの罪状が判明した事で教団の指導者は処刑。並びに接収した神殿の数々は良識ある?他の団体に下賜され、多くの教団への見せしめとなった。


この数ヶ月後、教団廃止を継承する条件で占領下にあったフロステス王国の王権を復活させ 以前のように国家間の勢力図に戻す旨の調印式が執り行われる事となる。

リリセンティア皇国がフロステス王国を制圧するに際して驚くほどに犠牲者が出なかった事が王国再興を粛々と進める事ができた最大の要因である。


一度征服した国を自ら復活させたリリセンティア皇国に周辺諸国は驚愕し、その計り知れない国力により一層の畏怖の念をいだかせた。

ただし、恐れは必ずしも平和に繋がるとは限らない。


そして、時代を動かす切っ掛けとなったファルナ本人は・・・・




『ファルナよ、気がついたようであるな』


「ん・・コロタン?・・。あれっ、ここ何処?」


『どこかと言われても困るのであるな。

あの神殿?ではないのは確かであるぞ。

多くの人族の気配がするのだ。街の中であろう』


目を覚ますと豪華な広い部屋の中にいた。

部屋そのものがかなり豪華な作りなんだけど・・

セルシニアの部屋で同衾して慣れていたせいでそんな事では驚かなくなっている自分がいる。

このままでは何も分からないし、天蓋つきの大きなベッドの中で小さな体を起こす。


「神殿・・・そう言えば、あれからどうなったのかな」


『すまぬのである。

腹が減ってイライラしているのに人間どもがギャーギャー騒ぎ出したのでな、つい飛び出して腹の底から吼えてしまったのだ。

何故か平気なはずのそなたまで気を失った。

助け出そうとしたのだが我輩の本体のままではあの場から出られぬし、破壊すればファルナも無事とはいかぬ。とりあえず そなたの中に入って様子を見ていたのである』


「そっか・・そう言えばお腹すいたね」


『うむ』



カチャッ☆


「ふむ、強い気配がしたと思えば。やはり気が付かれましたか」


「・・・・・・ルゲルトさん?」


「おおっ、そうでしたな。どうですか、似合いますかな。

宮廷魔導師のローブでございますぞ」


部屋に入って来たのは「スキルの使用を見抜く」という特殊な能力をもつ魔法使いの冒険者 ルゲルト爺さん。

ルゲルトさんと認識するまでにタイムラグが生じたのは彼の服装が冒険者の姿では無かったからだよ。


「きゅうていまどうし?」


「左様ですじゃ。ルゲルトとして冒険者の真似事をしていたのは行方不明の皇女殿下をお捜しするため。

わしはリリセンティア皇国の魔導師を拝命しておりますトゥルゲルトと申します。

ファルナリーア皇女殿下様、ご無事でお会いできました事、恐悦至極にございます」


ファルナリーアってセルシニアが言っていたファルナの本名?・・あの話は本当だったの・・。


うーん・・でもね。無事では無いと思うよ。色々と。

特に片目が無いし・・あれっ?。

あれっ?、あれれっ?。


片目を手で隠しても見える。

もう一方の目を隠しても見える。

エェーーーッ。失った片目はどうした?。


「??。いかがなされました。

そういえば記憶を無くされていたのでしたな。

いきなり皇女殿下と呼ばれても実感が湧かないことでしょう。慌てずゆっくりと思い出してくだされ」


「あっ、えっとね・・どうして私はここに居るの?」


「ファルナリーア様は邪教徒どもの神殿で倒れているところを皇国の騎士団に救出されたのですじゃ」


「邪教徒の神殿だったんだ・・あれ」


「左様でございますな・・聖女たる皇女殿下を誘拐し利用しようと画策していたことは明白です。

皇王様は激怒されておりましてな、正式に教団を国から廃止。今後も禁止する宣言を公布なされました」


邪教廃止か・・地球でもやって欲しかったよ。

まだ見たことも無い皇王様、ぐっじょぶ。


「そうだ、聖女アーレナ・・」


「いかがされましたかな」


「邪教徒は捕まったのですよね。

その中に聖女のアーレナという人がいます。

命の恩人なのです、彼女だけは助けたいの」


「むむっ、命の恩人でごさいますか。承知しましたぞ。

しかし、つまりは命が危険に晒されたと・・」


うん、目が恐くなったねルゲルトさん。

やはり ただの優しい爺さんではないのですね。



カチャッ☆


「トゥルゲルト、リアが目を覚ましたそうだな」


「1人だけで抜け駆けなんて酷いですわよー」


「えっ!、ロリコン男と変態女?」


「「なっ!」」


いきなりドアを開けて入って来たのはセルシニアの護衛をしていたはずの冒険者。

なにげにファルナを見る目が怪しい大男と 幼女を襲撃して体を撫で回す変態女の2人。

この2人はどう見ても魔導師には見えない。

きっと ゲルトさんとは別物だろう。うん。


騒がしく乱入してきた2人は何かにショックを受けたのかフリーズしている。何しに来たんだ?。


「やれやれ・・ロリコン男ですか。アレクトレウス様、いったい何をされたのですかな?」


「なっ!、何を言う。自分の娘に何かするはず無かろう」


自分の・・娘?


「あら。貴族の男ってそういう事やりそうですわよ」


「ふ、不敬だぞアデリーナ。そっちこそ変態女なのだろう」


んん??貴族の男?


「ホーッホッホ。もう冒険者のふりをする必要も無くなったのですから、女性に対しては紳士的な言葉使いをなされませ。アレクトレウス様」


「いまさら淑女言葉を使われると気持ち悪いぞ・・」


「くっ、立場上 言い返せませんわ・・残念です」


何やら混沌としてきました。

とりあえず最大の疑問はここが何処か?です。


「護衛の皆さんが居るという事はセルシニア様も?」


「いや、俺達はもう護衛では無い。

国に帰る為に早馬で国境を越えたところだ。

ファルナリーアの救出を知ったのは偶然だったぞ」


「えっ・・・・・・えーっ。それって・・

冒険者が依頼を放棄したらまずいと思いますよ」


「かまわんさ、もう冒険者でいる必要も無くなったからな。ファルナリーア・・本当に俺が誰か分からないようだな・・。俺はおまえの父親のアレクトレウスだ」


「・・・父親?」


「ファルナリーア様、貴方様がリリセンティア皇国のファルナリーア皇女殿下であるのは間違いございませんわ。証拠となる王家の印がお腹に在るのを私が直接確認いたしておりますの。遅くなりましたが、私はリリセンティア皇国近衛騎士アデリーナと申します」


ロリコンが王族で父親?。変態が近衛騎士?。


そして、餓鬼道に落ちた亡者のように痩せこけて片目だった自分がお姫様ですか・・。そうですか・・


ははははははははは



「混乱しているようだが聞いてくれ。

リアにはこのまま我々と本国であるリリセンティア皇国に来てもらう。国が大きく動いてしまったからな事態を収めなくてはならん。親父が落ち着くように顔を見せてやってくれ」


今度は連行されてドナドナですか・・。

逃げるのは簡単ですが政治に素人な自分にも分かるくらい逃げてはまずい状況なようですね。はぁぁ・・












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