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陰に陽に  作者: 若松ユウ
21/22

021「コミカル」

「この神社、縁結びのご利益があるんだって」

「へえ。狐が、コン活を応援するというわけね」

「うまい。座布団一枚!」

「どうもどうもって、落語家かーい」

 古い稲荷の丹塗りの剥げた鳥居を背にして、椚と椛は、苔むした石段に座って談話している。

「それにしても、この二日間で、三組もゴールインするとはねえ」

「ホント、ホント。俺も、いまだに狐につままれてる気分がする」

「化かしては無いだろうけど、予想外だったわね」

「インスピレーションは湧いたかい?」

「ええ。それは、もう、バッチリと。コマ割りからセリフ回しまで、完璧に浮かんでるわ。早く帰って描き上げたい」

「そっか。いやあ、あっという間だったね、この三日間は」

「そうね。何だかんだで、バカンスを楽しんじゃったわ」

「兄ちゃんとしては、余計なオマケが付いたと思ってるだろうけど」

「私のお姉ちゃんも、きっと同じように思ってるだろうな。でも、キューピッドを務めたんだから、感謝して欲しいわよ」

「そうかな。プラスマイナスゼロなんじゃない?」

「あら、そうかしら? ……ねえ。何か面白いこと言ってよ」

「面白いかどうかわからないけど、それでも良い?」

「良いわよ。どんなボケが飛んできても、華麗にツッコんでみせるから」

「だから、ツッコミは俺の担当だって。……椛ちゃん」

「何?」

「俺と、付き合ってください」

「はい、喜んで!」

「バンザーイ! って、ちょっと待って。居酒屋の掛け声みたいだけど、本気なの?」

「冗談だったの? でも、男に二言は無いんじゃないかしら」

「椛ちゃんが良いなら、良いけどさ。でも、こう言っちゃなんだけど、俺、漫才師だよ?」

「こう言うのもアレだけど、私、漫画家よ?」

「そうでした。聞いた俺のほうが、馬鹿みたいだ。ハハッ」

「フフッ。なんだか、ラブコメみたいな展開ね」

「お嫌いですか?」 

「お好きです」

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