1 ある夜の日
一応プロローグです。
風が頬を撫でる。
あたりはすでに暗く、ただ見事に丸い月だけがこちらを見ている。
まるで自分と月、二人だけの世界なのではと錯覚してしまう。
(まぁ、左を向けば大通りを車が通っているけどね?)
今いるここは車一台通るのもやっとなほどの狭い道路であり、すぐ隣には人の背丈以上の草が生えており獣でも出てきそうである。
もちろん信号機などあるはずもなく、朝はショートカットにこの道を使う人は少なくない。
同時に街灯がない故に、夜は一変して静かである。
星野晴也はこの雰囲気がすごく好きであった。
彼は今年の三月に高校を卒業する。
しかし、彼は第一志望の就職先の試験に落ちており、その後も立て直すことができずに気づいたら卒業まであと二カ月という時期になっていた。
「進路ってそもそも卒業までに決めなければいけないのかなぁ」
誰に聞かすわけでも訳でもなくひとり呟く。
白い息と共にでた言葉は今の彼を的確に現したものだろう。
彼は目標を失っており、そのせいでダメ人間のようであった。
晴也は最初からこうであったわけではなく、一度失敗しただけ、ただそれだけであった。
晴也は努力家であり学校では優等生の部類であった。
三年間努力をし、第一志望の大企業の推薦を無事もらい、問題など何事もなく全て上手くいくはずだった。
しかし、試験結果は不採用だった。
理由はわからない。
思い返して、いくつか理由を思い浮かべてみたが、そのどれもが不採用にするほどの事には思えなかった。
彼は三年間の頑張りがすべて否定されたようだった。
それからは、何事にも身が入っていなかった。
結果として、その後も企業からは今後の活躍を祈られてばかりだった。
(燃え尽き症候群というものだったのかな?(笑))
そして現在、彼は人生が嫌になってここにいる。
そもそも生きて何をしたらいいのだろう。
皆いつかは死ぬ。生きることに意味があるのか?
そんな思考が渦巻いている。
(ここなら死んでも誰にも気づかれないんだろうな)
そんなことを思い草むらを分けていく。
草の先が顔を掠めとても煩わしい。
晴也が草に気を取られているといつの間にか開けた土地に出た。
「まるで秘密基地みたいだな」
周りからは見えない位置にこのような場所があれば男の子ならわくわくするだろう。
「どうしたんだい?」
その時、すぐ近くから声がした。
「ひゃぁっ!」
暗くて気づかなかったが、いつの間にか隣に人がいた。
(変な声を出してしまった...)
「こんな時間に何をしているんだい?」
目を凝らしてみると銀髪の女性だった。
月が髪を照らし幻想的だった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
初めての作品です(笑)
一応、更新は週に最低一回
できれば、一日一回更新めざします!
分かりにくい点、打ち間違っているところがありましたら教えてください!