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アートロモンド・ストーリア  作者: Nefer
異世界へ飛ばされて...
11/11

初めての...


 「チェルシー!少しの間、先に戦っていてくれ!いい案がある!」


そういうとリヒトは目を閉じた。


 (感じろ...感じるんだ...呪文が体に入ってくるのを...)


リヒトは先ほどのように、頭に呪文が浮かんでくるのを待っていた。

 

 「リヒト様!そろそろ限界です!」


そういわれるとリヒトは、にっこりして親指を立てながら、

 

 「サンキュー!よしいけるぞ!」


といった。

どうやら頭に呪文が浮かんだらしい。


 「悪事の根源を審判に!この地へ降りよ!ジャスティーニ!」


リヒトが呪文を唱えると、閃光の白い羽がポートの頭に降りてきた。


と、次の瞬間ポートは叫び始めた。


 「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


そして、尾びれが膨らんでいき、破裂した。


 「おのれぇぇぇぇぇぇ!人間共ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


そう叫ぶと、ポートは頭のほうから粉になっていき、最終的に消滅した。


 「やりました...ね...勝ったんですよ!召喚門から降臨した神に!やったー!」


リヒトにチェルシーが抱きつく。


 「そ、そうだな...勝ったんだよな!チェルシー!ありがとう!」


リヒトは、照れながらも抱き返した。


 「まだ先はあります!この調子でいきましょう!」


 「えーと...チェルシーさん?」

  

 「どうされました?」


 「なぜ今の魔法が使えたか聞かないんですかねぇ...」


 「もう聞きませんよ。それほどリヒト様はすごい方だと思えましたし!」


不意に褒められたので、また、リヒトは照れてしまった。


◇             ◇              ◇


先に進むリヒトたちだったが、中々最終地点につかない。

 

 「リヒト様、そろそろ休憩しませんか?」


丁度、セーフゾーンが目の前にあった。


 「そうだな、そこのセーフゾーンで休もうか。さっきの戦いで無理させちゃったもんな。ごめんな...」


 「いえいえ、私はあの時...屋敷で言われた言葉を信じてますから。ずっと信じていますよ...」


 「ありがとう...チェルシーは大切な家族みたいなものだしな!守らないと!」


 「家族...嬉しいです...」


涙目のチェルシーを目の前にしたリヒトは、再び小声で守らないと...と言った。


少し沈黙が続いた後、チェルシーが切ない声でリヒトに話しかけた。

 

 「あの...リヒト様?」


 「ん?どうした?」


 「て...」


声が小さすぎて、「て」しか聞こえない。


 「て?」


 「手を握らせてくれませんか...?」


 「...」


急にそういわれたリヒトは思考が停止していた。


 「だめですか...?」


 「だめなわけないだろ...」


そういういうと、リヒトは照れながらも、チェルシーの右手をぎゅっと握った。


と、その時、チェルシーはリヒトの耳元に顔を持っていき、耳元でささやいた。


 「リヒト様...私はリヒト様のこと...好きです...」


 「え...」


リヒトは生まれて初めて女子に抱きつかれ、照れた顔をされ、手を握って、告白され、頭の中がパンクしている。


 「リヒト様は...私のこと...嫌い...ですか?」


チェルシーはまた、少し涙目になってきた。

少し思考が戻ったリヒトは返事をした。

 

 「お、俺も...好きだ...」


 「う...嬉しいです...リヒト...様...」


泣きながら嬉しいというチェルシーをリヒトはぎゅっと抱いて頭を撫でた。


15分ほど経って、チェルシーは泣き止んだ。

チェルシーの魔力と体力を考えた結果、寝たほうがいい、と判断した。


 「戻ったら、その話をもっとしよう。今は...外は暗そうだしもう寝るか!」


 「そうですね!」


そういいながら涙を拭いた。


 「おやすみ。チェルシー...」


 「はい!リヒト様もおやすみなさい...」


こうして、リヒトたちの洞窟での一日が終了した。


 (まだまだ先は長そうだな...)


そう思いながら、リヒトは目を閉じた。



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