プロローグ
「理人ー」
「おお、和どうした?」
和とは幼馴染だ。
幼稚園、中学、高校と同じところに進学し、親友である。
「今日さ、今からカラオケいかね?」
しょうがない、行くしかない。
金ないけど...
「ん?」
「いや...なんでもないよ行こうか!」
正直、毎週毎週ぎりぎりの22:00までいるのはつらい。
ほんの3か月前までは最悪18:00には帰れたのに...
まあ、高校生になった証拠でもある。
そして、4時間後
毎週のカラオケを終え、やっと帰れる。
いつも通りカラオケの前で別れる。
「そんじゃ!理人明日学校ちゃんと来いよ!」
「お前もな!」
昨日、3時間目に来たくせに。よく言うぜ。
俺は少し笑みを浮かべた。
帰宅路へ足を運ぼうとした
と...次の瞬間、背中に冷たいものが刺さる。
胸元を見ると服が血に染まっている。
「くそっ...」
痛みよりも悔しさが出てくる。
こんなやつに殺されてたまるか
最後の力を振り絞りスマホに手をやったが
もう一回刺され、意識が遠くなった。
最後に見えたのは、黒ずくめの俺の血がべっとりとついた刃物を持った男が逃げ去る姿だった。
意識がなくなって何時間経ったであろうか。
暗闇の中で目覚めた俺はとりあえず起き上がってみた。
あれ...痛みを感じない
確かに刺されたはずだ。
いや今考えてもしょうがない。
出口を探そう。
手探りで探していたが何も見つからない。
すると、何者かの声が暗闇の中に響く。
「お客さんか?、それとも転送された者か?」
「誰ですか」
「我はこの世すべての世界の管理者
そなたは今回転送されたものだな?」
「た、たぶんそうです...」
「そなたは人間世界から来たものであるな?
まあよい。
情報は届いている。
宮神 理人 歳は16か...」
「すみません...
どうすれば、元の世界に戻れるんですか?」
「それは簡単だ。
まず、世界にはパスワードというものがある。
世界の通行をするのを監視する番人制度が約50000年前に無くなりこの暗号化制度つまり、
パスワードで通行できるようになった。ここまで理解はできるか?」
「なんとなく...
というか、誰が世界を通行するんですか?」
「神だ。」
「おお。」
「話を続けよう。
例えばだ、獣世界のパスワードはその世界の統治者、エルハンディ・クエイトリルという熊みたいな
やつが持っている。」
「あ、あなたはそのパスワードというものを知らないんですか?」
「知っていたら今頃教えている。」
「ですよねぇ...」
「毎回変わるのだ。同じものは使わない。
それで、そなたが居た世界は人間世界だな?」
「はい。」
「それならば、"アズウォディアムペーソーネモンド"へ行け。一回のみ入れる。同じ世界にはパスワードがなければ入れないのだ。とりあえず、騎士になっておけばよい。助言はそこまでにしておこうか。」
「え...あっはい?」
管理者の声が薄れてゆく。
「あとはそなた次第。これ以上は管理者の権限上関与できないのだ。」
「えぇ...待って!」
「頑張りたまえ。そなたはここに転送されたほどの何かしらの力があるのだ。」
「あぁ...ちょっと!」
「さらば!」
次に瞬間、何か光るものに包まれた。