表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LOST PRINCE  作者: 天海六花
デスティン
24/39

デスティン 1

   デスティン


     1


 マーシエに対する疑念が発覚した翌日、フェリオが立案した作戦の決起会が予定通り行われた。

 フェリオはいつも以上に緊張した面持ちで、王子としての服に着替えて大仰な椅子に腰掛けていた。傍らにはアスレイ、すぐ背後に控えるはマーシエとジョアン、姿を隠すための薄手のカーテンの向こう側、兵士たちの真正面にはヘイン。何度かおこなってきた決起会と変わらぬ立ち位置だった。

 ただひとつ違っていたのは、マーシエの表情が暗いという事か。ジョアンが彼女の真横で目を光らせている事も要因の一つだろう。


「本日新たな奇策を決行するが、異議は認めぬ! 諸君らは精鋭部隊として、恥じぬ戦いへ身を投じよ!」

 ヘインが兵士たちを鼓舞する。兵士たちは彼の言葉に従って、オーベルに、つまりは影であるフェリオに敬礼をする。

「さてどこまで殿下の作戦が通用しますかな」

 傍らでアスレイが皮肉を口にするも、フェリオはそれどころではない。まさかこんな場所で裏切り行為を成す訳はないだろうが、背後のマーシエが気になって仕方ないのだ。

「ほっほ。聞き流されまするか」

 事情を知らないアスレイは、自身の言葉はフェリオに聞き流されたと思い、そのまま黙り込んだ。

 壇上のヘインが兵士たちを促し、兵士たちは歓声を上げてオーベル王子を讃えた。フェリオはゆっくり頷いて、片手を挙げて応える。昨日、練習した通りにできて、ほっと胸を撫で下ろす。そしてゆっくりとした歩調で退場した。

 すぐさまジョアンが傍に歩み寄ってくる。マーシエも遅れてやってきて、躊躇いがちに声をかけてくる。

「立派だったよ、フェリオ」

「……はい」

 ぎこちない短い会話を交わし、フェリオは胃の辺りを抑える。

「やっぱりまだちょっと、緊張します」

「それは仕方ありませんわ。でも随分お顔の色もよろしくて、少しは慣れたようにお見受けいたします」

「ありがとう、ジョアンさん」

 ふたりは並んでマーシエのすぐ脇を通り過ぎ、自室へと戻った。マーシエは俯き、つま先を見る。そこへアスレイがやってきた。

「殿下に見放されでもしましたかの?」

「アスレイ師には関係ないよ」

「ほっほ。出すぎた真似を容赦くだされ」

 アスレイは可笑しそうにホホと笑いながら退室した。マーシエはいつまでもその場に立ち尽くしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ