第1話 神々と勇者達
本日二度目。
地球の神々と異世界の神々が対面する。
邪神を倒すために助力を願い出たのだがどうにも空気が悪い。
<しかし、ここまで邪神に付け込まれるとは情けない! 子らを気にせず、さっさと滅ぼせば、傷も浅かったものを>
<ふん、短絡的な。異世界の神よ。最強はわが子だ。くれてやろう>
<待て。聞き捨てならない。最強なのは、わが子の方だ>
<何を抜かす>
<何か文句でもあるか?>
一触即発の雰囲気が漂う。
誰かが子を出すといえば、別の誰かが制止する。先ほどから度々起こる現象だ。
<いい加減止めよ。異世界の神々に失礼であろう>
<そもそも、此度の件は一神教の者は不向き>
<我らのような多神教の者達の出番であろう>
ある神の言葉に多くの神が頷いた。初めて見る好感触。
<おお、では>
力を貸してもらえるのかと、異世界、ユーテリアスの神々、五柱は期待を込めてその男神を見つめる。しかし、その神は視線を逸らした。いや、流したと言うべきだろう。ある一柱に。
<日本の。何故発言せぬ?>
<何故と申されましても、居並ぶ主神の方々に戦々恐々。私の様な中間管理職の身では、皆様方を不快にさせぬ様気をつけるのみでございますよ>
<その言い回しの方が余計不快になる>
<それは失礼を>
へらりと笑ったのち、顔を真面目に引き締める。
<しかし、私の様な者が発言しても向こうの神々は不安でしょう>
<我らは助力を乞う身、そんな不作法はせぬ>
向こうの主神の言葉に彼は安堵したように、肩の力を抜く。
<そうですか? では、いくつかお伺いしたいのですが、そちらの世界では魔法はあります?>
<全員扱える訳ではないが、存在する。戦に置いて主戦力である>
<では、その魔法は呪文詠唱により決まったものを発動ですか? それとも、イメージにより形になるものですか?>
<本来はイメージに寄るものだ。しかし、多くの者は、呪文により形が決まっていると思っている>
<では、魔道具、魔法の力を込められるような道具は?>
<数は少ないがある>
<それも割と発想でどうにかなるものです?>
<なる>
<ふむふむ。魔術はそれとして、武術はどうです?>
<どう、とは?>
<技名をあげたりしたら、勝手に体が動いたりします?>
<……いや、そんな事は無いが、その様な技がそちらの世界にはあるのか?>
<いいえ、無いです>
<……>
<あと、こちらの世界から向こうの世界に渡した場合、帰ってこられないというのは、どういう事です?>
<今の我らには帰せるだけの力がない>
<つまりあなた方の力が回復すれば帰せるというやけですね?>
<何百後になるかは分からぬが、な>
<因みに、最大何人、送れます?>
<何?>
<後が無いに等しいのなら総力戦の方がよろしいかと思うのですが>
<……四名だ。それ以上だと我らの存在も危うくなる>
<なる程。うちの子向けらしいので、こちらで引き受けてしまってよろしいですか?>
他の神々に伺う。誰も反対しなかった。先ほどまでの空気はなんだったのかという程あっさりと決まった。
<では>
パチン。と扇子を鳴らし、彼は神々の真ん中に向かう。間にテーブルがあったが、するりと通り抜ける辺りが神らしいのかもしれない。
<この子らで>
パチンと再度扇子を鳴らすと二組の男女が居た。
<はーい、こんばんはー。目を白黒させてますかー? どうも神Aです。勿論正しい名前もありますが、今はAと名乗っておきますね。では、小野寺誠君、菅野きららさん、中川ミチルさん、森田奏太君、皆さんには、異世界に行ってもらいます>
言葉を挟ませる間もなく言い切り、四人の学生はぽかんとして表情で神Aを見た。
<あなた方が今から行く異世界は邪神誕生の影響もあり、その他諸々の影響もあり、人々は疲弊し、明日への希望も見みいだせません>
「諸々?」
<戦争って、勝っても負けも人が死ぬでしょ。畑仕事の人手も減るし>
ああ……。と四人は納得したようだった。
<そういう諸々のおかげて、あちらの神々の力が減っておりましてね、邪神を倒すにしろ、人々を助けて回るにしろ、異世界の力が必要と判断したわけです。こちらの神の加護、向こうの神の加護、二種類を受けるわけですからね。普通よりもずっと強くなるわけです>
へー。と四人は口にする。慌てもしなければ、疑いもしない。本当に分かっているのか怪しいところだ。
<で、選ばれたのがあなた方で、拒否権はありません>
「「「「ちょ」」」」
<ちょっと待ってくれ! その様な一方的な契約は結ばぬぞ!?>
向こうの主神が慌てて口を挟む。
もっとも四人には聞こえておらず、神Aの言葉しか聞こえていない。
<因みに帰る方法も今はありません>
「一方的過ぎる!」
少年の一人、誠が声を荒げる。
「むしろ、この神様の方が邪神……?」
小柄な少女、ミチルが生暖かい目で神Aを見つめた。
<失礼な。向こうの神様の力が満ちれば、---この場合、人々が幸せだと思う事ですが、帰って来られるそうです>
「幸せ?」
先ほどとは別の少女、きららが首を傾げる。
<はい。邪神を倒しに行かなくてもいいですよ。神々の力が増せば、邪神の力は弱まるのですし>
四人は沈黙し、何かを考えているようだったが、誠が首を横に振った。
「拒否権ないんだったら向こうで頑張るの一択のみじゃん」
<はい。私を恨んでもいいですよ>
「……恨む前に質問」
ミチルが挙手をする。
<どうぞ>
「……例えば、十年後に目標を達成して帰ってくると、どうなる? 十年後の世界に戻る? それとも渡った日?」
真剣な目に、神Aはユーテリアスの神々を見た。
<どうなんです?>
<召喚された時に帰す事は可能だ。ただ、その為には肉体が老化しないように神の加護を使わねばならぬ>
<それを随時使っていては、今のワタクシ達はこの子達に何もしてあげられません。道に迷った時、大きな危機、何一つ、示せないのです>
主神の言葉に女神が付け加える。
<ふむ。大きな危機というのは、ともかく道に迷った時には別にいいのでは?>
<何を仰います! あの子達は見知らぬ世界に立つのですよ!? 何一つ分からぬ世界で運命を背負わされて! 貴方はあの子等が可愛くはないのですか!?>
大地の女神であり、一番子らと関わりが深かい故か、女神の方が悲壮な顔をしていた。
<可愛いですよ。帰ってきて欲しいと心の底から思っているからこそ、強制なんですよ。向こうに行ってこんな選択をした自分を恨まないように、恨むのなら私を恨むように>
神Aの言葉に他の神々は沈黙する。その気持ちはよく分かる。と。
<ので、私は、あの子等に自重しろとは言いませんよ>
<おいおいおいおい>
神Aの言葉に驚いたのは地球の神々だ。
<十年後でもこっちに戻ってくる時には今に戻してもらえるようですよ。体も老化はしないそうです>
「老化って! まだ成長期だよ!」
思わずきららが叫ぶ。お年頃に言ってはならなかった言葉なのかもしれない。
<おや、確かにそうですね。無事にお役目を終え帰ってきたのなら、見た目のずれぐらいはこちらでどうにかしましょう>
「おおっ。邪神っぽいなんて言って、ごめんなさい」
ミチルが素直に謝る。
<いえいえ、いいんですよー。ただ向こうの神様もその状態を維持するために力を随時使いっぱなって事で、神託による助言みたいなものは出来なくなるみたいだけどね。ま、それも、力が回復すればしてくれるでしょう。それに、神託に頼らずとも皆さんで相談しあい、決めればいいのです。神託で決めた道では責任感なんて生まれませんしねぇ。ほかの方々では出来ない経験と思い、励みなさい>
「「「「はい!」」」」
四人のはつらつとした答えに神Aは満足気に頷いた。
<では、皆さんお楽しみのぉー! 豪華特典プレゼントターイム!>
「「「「おー!!」」」」
ノリ良く四人は応じる。むしろこれが楽しみだったという感じだ。
<因みに、特典を100として、50を肉体強化と魔力強化に使います。もちろん、強化に全振りも出来ますが、錬金術とか>
ピクリとみんなの体が反応する。
<魔剣作りとか、してみたいでしょー?>
「「おー!」」
「「やりたい!!」」
四人の反応は上々だ。
四人に対し戸惑っているのは、ユーテリアスの神々だ。
<これは……、いったい?>
今まで二度、異世界召喚を行ったが、こんなノリは初めてだ。
<あの子達は行く決意を固めたので、神の加護を何に割り振るかって、考えているんですよ>
主神に答えを返してやり、神Aは子らの様子を楽しげに見つめる。
ご褒美を選ぶ姿無邪気な姿は見ていて可愛いものらしい。
<全て肉体強化や魔力強化では駄目なのか?>
<駄目という事はありませんが、どうせならあの子達がやりたいようにやらせてみましようよ。実際に頑張らなきゃならないのはあの子達なんですから>
<そう……であるな>
<ああ、そうそう、大事な事を言い忘れてました!>
神Aの言葉に四人はどんな爆弾発言をするんだと身構える。
<本来であれば、個別にスキル付与したい所なんですが、それよりも送る人を多くしてもらったので、今から決めるスキルは皆さん共通となります。あと、ゲーム画面風とか言われても向こうの神様には分かんないから無理ヨン!>
可愛らしくウィンク。と本人は思っているが、三十は過ぎてるおっさんのウィンクなど、見ても寒いだけだ。実年齢?は三十どころではないだろうが。
「一気にハードル上がったな」
視線をきれいにそらし誠は言う。
「後々の事も考えないと詰んじゃうよね」
きららもとある神には目とくれない。
「……生産系能力は有った方がいい」
「ああ。売れるものを作れるのは重要だとボクも思う」
ミチルの言葉に奏太は直ぐに肯いた。
「そうだね。邪神を倒すんじゃなく、人々の幸福指数を上げろって事だしね」
きららも同意し、四人は盛大に無視し話し合う。すでに十分な連携が出来ていた。
<ああ、見事なスルー>
さめざめと神Aは泣き始める。
「というか、一覧みたいなのは無いんですか?」
しばし考えた後、奏太は神Aに尋ねる。
涙はどこにいったのか、けろりと神Aは扇子をパチンと鳴らした。
<無いですよ。向こうとこちらでは色々違いますしね。それにこういうのは「自分が欲しい」って能力の方が思い入れもあっていいでしょう。まっ、本当の所はあくまでも才能を授けるって感じで、ゲームの様に、入力したら体が自動で動いてくれるなんて事はありえないので、あなた方の要望を聞いてその分はこちらで幾つか編集して渡そうって思ってるんですよ。錬金術もそうです。概要を作って、向こうに合った形で作り直して貰うんです。弓スキルや剣スキルなら、あなた方が想像し易いスキルを組んで、向こうについたらインストールして、思うだけで体がある程度動くようにしてもらう、とかね>
へー。と、誠は呟き、腕を組む。
「魔法はどうなの、神様」
<一般的には呪文を唱えるそうですが、先人たちからの知恵で、この呪文にはこんな効果が出ると、覚えてるだけで実際には呪文が無くてもイメージの力だけで大丈夫だそうです>
へー。と、誠は先程と同じ様に返して、小さく肯いた。
「じゃあ、要らないかな」
と独り言を呟く。
<何が要らないんです?>
「呪文を唱えなきゃ行けないのなら、その時間を稼ぐために、武術系を取ってた方がいいかも知れないけど、呪文無しで発動出来るのなら、要らないかなって、戦うより逃げた方がいいし、剣だけのスキル貰っても、剣がなかったら何も出来なさそうだし、それよりは魔道具とかで、防御力あげた方がいい気がするなって。出来ないよりは出来る方がいいんだけど、戦いに出る訳じゃないし。聞いてると畑の人手が足りないからそれを楽にしろって感じだろ? なら武術系より生産系かなって」
<……なるほど>
誠の言葉を聞いてふと、ミチルは思い出した。テレビで見た農業用の働く車だ。それぞれの仕事にあった機能がついていたが、いざ思い出そうとしても思い出せない。今までならネットで調べられるがこれからはそうもいかない。異世界行ったら使えるかも知れないと思ったネタはいざその時になったら、虫食いだらけの知識になりそうだ。
(そうだ、それで言ったら向こうの物も見たことのないばかりの物で直ぐには代用できるか分からない。『迅速』がきっと、一番)
「……神A様、質問。こちらの世界の知識と向こうの知識を知る術が欲しい。知識の書とか、叡智の宝珠とか、そういうの。それがあれば、地図とか分かる。農業の必要な知識も得られる。毒や薬なども分かる。向こうの正しい知識が広まれば現地の人達だけで、自活できる。それに、錬金術にもきっと役立つ。元素記号とかそういうの、絶対必要。それに食材だって、向こうとこちらでは見た目が違うだろうし、見た目は同じでも味が違うのもあると思う。そう言う互換性? にも対応しきれる一番良いヤツが欲しい」
<えーと>
神Aは言葉に詰まる。真剣な眼差しが非常に痛いからこそ即答出来ない。
神Aは地球の神々を見る。一斉に頭を横に振られた。
(ですよねぇ)
と、内心同意する。
しかしその様子を見てなのか、ユーテリアスの主神は神Aに声をかけた。
<我々もこの子らと直接話しても良いか?>
<ええ、どうぞ>
神Aが同意すると、四人にもユーテリアスの神々の姿が見えた。
戸惑っているのを見て、主神は微笑む。
<我は、ユーテリアスの創世神であり、生命を司るものだ。此度の事、本当にすまないと思う。しかし、我らのために、いや、わが子らのために、力を貸して欲しい。力を奪われ、大した事も出来ぬ我らではあるが、それでも我らが出来うる事は何でもしよう>
<あ!!>
主神の言葉に神Aが慌てる。
<何でもというと大げさでは? 彼らは人の子、それなりに相応という……>
<いや、どうせ、今の我らには大した事は出来ぬ。神託も授けられぬ。加護もそう大したものとはならぬ。なら少しでもこの子らの助けになれるよう力を授けたいのだ。今ここでしか受け渡し出来ないのだし>
<いえ、そうかもしれないですけどっ>
<そちらにはそちらの都合があるのであろう。それは分かっている。そちらに迷惑をかける気はない。しかし、だからこそ、我らは我らに出来うる全てを行いたいと思うのだよ>
<全てって!>
半泣きで悲鳴のような声が神Aから出る。
<勇者達よ。不甲斐ない我らの力だが、お主達の希望に添えるよう全力を投じると約束しよう。汝等が必要と思う『知識』を持って行くがいい>
にっこりと好好爺の笑顔を少年少女達に向ける。
「ありがとうございます!」
ミチルは本当に嬉しそうに礼を言い、ユーテリアスの神々はその様子を微笑ましそうに見つめていた。
<…………>
神Aはしばし呆然としていたが、頭を振り、気持ちを切り替える。もうどうしようもない、と。『約束』してしまったのだから。
<…………こちらは、今現在ネットで調べられる事のみと限定させてもらいます。向こうで十年経ってても、ここでは時が経ってない事になりますからね。未来の事はノータッチです>
「それで十分です」
<錬金術と、まぁ、仮称、叡智の呪文としますが、それらは似通ってる部分もあるので、この二つで35……いえ、言語自動翻訳がまだつけてなかったので、それで38としますか>
「自動翻訳って、どこまでですか?」
そっちは別口にして欲しかった。と、思いながら奏太は尋ねる。
<言語を使ってやりとりをしている種族です。動物の場合は対象になってません>
「なんでですか?」
<言語というよりニュアンスですしね。それに、狩りとかしにくくなるでしょ?>
「……残り2で有機物や無機物のそのニュアンスが分かるようになりませんか?」
<無機物にもですか?>
「ええ。道具の使い方とか、建物の構造とか、もしもの時に役立つんじゃないかと」
<……なる程>
「確かにニュアンスでも分かってたら動物自力で仲間に出来るもんな」
奏太のやりたい事に直ぐに気づいたのか誠が指を鳴らす。
「そうです」
「でもそうすると、魔道具作り鍛冶とかそういうの、取るの難しくなるよね?」
きららが悩ましいと口を尖らせた。
ミチルが言っていた知識は絶対に必要だろう。それに錬金術があれば、割と早い段階で金策も思いつくかもしれない。金策じゃなくても、旅にも生活にも必要なはずだ。
錬金術で直ぐに浮かんだのは精製。
砂糖、塩、鉄、金、原石を宝石にする事も可能かもしれない。ならやはりこれは外せないだろう。と、しかし、自動翻訳はもっと外せない。喋れない、読めないでは意味がない。と、考えていた時ふと気づいた。
「神様、自動翻訳って、どこまでです? 喋る、聞くは当然として、書く、読むは?」
<入ってます。その手の日常生活には困りません>
「そうですか、良かった。じゃあ、神様、残りの生産系って、だいたいどれくらいのポイントを消費しますか?」
<いや、皆さん、武術系のスキルは本当に取らないんですか?>
「興味はもちろん有ります。ただ小野寺君のいう事も正しいかなァって」
「誠でいい」
「じゃあ、ボクも奏太で。で、神様。スキルを頂けても基が弱いんじゃ、武術系は難しいんじゃないかなって思うんです。それなら信頼出来る腕の立つ人を仲間にするのも手だと」
<そうですか……>
諦めに似た声が出て、小さく頭を振り、四人を見る。
<肉体強化、魔力強化の割合を四十、残り六十で、知識、言語、そして、全ての生産系能力でどうですか?>
神Aの言葉に四人は顔を見合わせて肯き合う。
「「「「それでよろしくお願いします」」」」
<はい、畏まりました。では皆さんを向こうへ送ります>
神Aは扇を広げて、呪文を唱えていく。
金の輝きが四人を包み、キツネのような鳴き声が聞こえると突如扉が現れ、開く。
そこに向けてゆっくりと流されながら移動する四人。
金の次は真っ青な光が四人を包み、黒や赤と神々からの力が受け渡されていく。
「はっ! 神A様! トイレ事情聞き忘れ!!!」
ミチルの悲痛の叫び。
<私も聞いてません! オマケでクリーンアップをつけとくので、それで対処してください!!>
「「「「ありがとうございますーー!!」」」」
扉の向こうに渡りながら四人は最大限の気持ちで礼を述べた。
扉の向こう。ユーテリアスの神々からも力を授かり彼の地へと渡っていく。
<頑張ってくださいね。……でも、自重しなさいね、と、やっぱり、言うべきでしたかねぇ……>
扇子で仰ぎながら苦笑する。
その様子を他の神々が呆れながら見ていた。
<さて、どこに降ろすべきであろうか>
<現状が良く分かる場所で>
<うん?>
<今、そちらの世界の現状が良く分かる場所で、お願いします。あ、盗賊とか出やすい場所は止めてください。あと、城とか貴族の館とかも、出来れば止めてください。まずはあの子達が自由に動けるよう配慮願います>
<それならば、やはり城の方が良いのではないか? 勇者達だと我等が告げればよい>
<いえ、面倒な権力争いや、政治問題、利権争いに巻き込まれそうなので辞めて貰いたく想います。もし巻き込まれるなら巻き込まれるで、彼ら自身の行動の結果で、お願いします>
<……拘る理由が分からぬが、あの子らの事は貴方の方が詳しい。おっしゃる通りにしましょう>
<後、勇者に関しては、世界のどこかに現れた。という噂程度でいいです。特徴も伝えないでください。あの子達の動きを妨げるかもしれません。本人達が名乗りたいってのなら、また別ですが>
<では、希望通りに>
神々が見守る中、四人はゆっくりと、ある村近くの平野へと降りていった。
中々すすみませんね。すみません。