プロローグ
初投稿です。
以前書いていた作品の書きだめが紛失してしまったのでかわりに書き始めました。
ギャグ中心ですので長らくお付き合いください
「おい!奴が逃げたぞー!!」
一人の男が叫んだ。
もう一人が呼応する。
「四階を抜かれた!」
「よし、中央の階段を封鎖して西階段と東階段を封鎖している部隊を一階から二階へ上げるんだ!」
彼の持ち前のよく通る声を上げて西階段と東階段に固まる集団は陣形を崩さず前進していった。
彼、八塚 宰雅は思考する。
現在、標的は拘束から解放。 そのまま逃走を図った。 四階の通路を突破し、三階へ降りた。
しかし今の声が聞こえているのなら彼は二階の階段を下りるためにもう一段、階を下がることはないだろう。 そうじゃなくても奴は深追いをせず、三階でなにか逃げるための準備をするはずだ。
もしくはこちらが探索の範囲を狭めて早期に見つけようとする隙を突いてうまく出し抜くはずだ。
ここはこちらも無理をせず、受身にはなるが待機していたほうがいいだろう。
少しの間で思考をまとめると、宰雅は顔を上げた。
「総員そのまま待機、相手が動き次第こちらもそれに対応する。 いつでも動けるように準備と、周囲 への警戒は怠るな!!」
彼はそうとだけ言うと、自分の教室の教卓の前で学校の見取り図を広げた。
三階には特別教室が二箇所。 理科室と音楽室。 彼はおそらくそこで次なる段階の準備をするだろう。
多分、奴は理科室にいるだろう。 小道具が多く何かしら作ることもできる。
だが逆に裏をかいて理科室におびき出そうとしているのかもしれない。
だから今はあえて受身。 それに各所に人員をばら撒いているから、人数を減らせるところはどこにもない。
忌々しげに、しかし顔は笑って、宰雅は吐き捨てるように言った。
「早いとこ捕まれ、クソッタレがっ……!!」
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息を潜め人が過ぎるのを待つ。 足音が遠ざかり、止めていた息を吐き出した。
「さてと、そろそろ始めますか」
笑いながら彼、西澤 伊雄は立ち上がった。
両の手にはこの状況を打開する秘策が握ってあった。
「それ」をポケットの中につっこみ、体を伸ばす。
「いくかっ!」
楽しむように彼は職員室から飛び出した。
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「伊雄が見つかったぞー!!」
三階から声が上がった。 それに反応して宰雅は命令を伝える。
「階段を封鎖してい者は三階へあがれ!」
そういって彼もまた駆け出した。
二段を飛ばして階段を駆け上がり、早くも三階へ到着する。
生徒の集団を掻き分け、捜索班の前にたどり着く。
捜索班はアクションを起こさぬまま、立ち止まっていた。
「何をしていしているっ!!」
彼らがもたついている様をみて宰雅は怒鳴った。
彼の存在に気づいていなかった捜索班の彼らは首を縮めて現状報告をする。
「あいつここの窓から飛び降りて、そこの体育館の屋根に乗り移りました!」
「っ何!?」
そういって目線を窓の外、体育館に向けるとそこのにはちょうど体育館の端まで屋根をわたった伊雄がそこを飛び降りている姿が目視できた。
「俺がここから追いかけるからお前らは昇降口から体育館へ回りこめ!」
迅速な判断の元支持をとばすと、宰雅は窓を開け飛び降りた。
何の躊躇もなく窓を飛び降りる姿は、どこか焦っているようにも見えた。
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伊雄は、先ほどポケットの中にいれた秘策を取り出した。
すべての条件はそろった。 これからの状況が逆転する、至上の一手である。
「楽しみに待っていやがれw」
黒い笑みとともに彼は自身の秘策を実行に移した。
コメできればください^^