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第三話大佐と呼ばれる男

この話を公開したいがために、三羽烏物語の公開に踏み切ったようなものでw



第三話 大佐と呼ばれる男


 ウチの学校の教師採用基準は多分三つの要素のどれかを突っ走りでトップになっている人間というものだろう。

 第一は優秀、第二は熱心、第三は奇人。

 言うまでも無くうちの担任は奇人だが、本人の自覚なしに奇人とされている教師もいる。

 本名、宗形末吉 42歳、男性。妻と三人の娘を持つ妻帯者だ。

 少々短気で感情のコントロールが上手ではないが、授業も上手でわかりやすい。

 が、奇人になぜか分別される。

 それは・・・・・・。


「安倍川、美浪、栗田ぁ! そこになおれ!!」

「はっ! 大佐!」

「サーイエッサー!」

「全員敬礼!!」


 呼び止められた俺達が敬礼すると、なぜか周辺全員が廊下に整列して敬礼した。


「・・・呼び止められておらんものは、そのまま。」

『はっ、大佐!!』


 周囲全員が休めの体勢になった。・・・軍隊式に。


 正直に言おう、彼に権力が有るわけではなく、更に言えば本当に軍仕官であるわけではないのだが、彼の声があまりにも「大佐」にそっくりなのだ。


「貴様らに言っておかねばならんことが有る。 先ず、私は教師であって軍人ではないので階級で呼ばれるいわれは無い」

『はっ、大佐!』

「加えて言えば、貴様らのせいで実の娘にまで「大佐」と呼ばれる屈辱にも怒りを覚えている」

『はっ、大佐!』

「最後に言おう、階級ではなく名前で呼べ!!」

『はっ、了解しました。ムスカ大佐!!』

「俺は宗形末吉だぁーーーーーー!!!」


 彼の声が「宮崎」で「天空」な敵役「ムスカ」にそっくりなのだ。


 この事実について職員室では


「生徒が自主的にピシッとするんだから、ありがたいことよね」


 という教頭の言葉に代表される羨ましい派とお前ばかり目立ちやがってという嫉妬派が要る。

 無論、スナイパー教師は「な、な、この台詞言ってよ、な?!」と天空なせ台詞を言わせて、ムスカボイスアクセサリーとしてオークションに売り払い、巨万の富を得ているとか無いとか。

 今年で小学六年生になる長女の「みしお」ちゃんなど、「うちのムスカ」というブログを開いて無茶苦茶なアクセスを受けているとか。

 なにしろ自宅で父親が娘に対して叱りそうなことを「ムスカ」ボイスで聞けるとなれば、面白くないわけが無い。

 文才も有るみしおちゃんのブログを是非とも出版したいという出版社が多いらしいが、それには父親の写真を載せたいということが加わる。


 実はこれが更にまずい。


 なにしろ我が校の大佐は、外見もムスカにそっくりなのだから。

 正直、肖像権がどうのとジブリを訴えて勝てるレベルで似ているのだから、始めてみた人は肝を潰す。

 キクノなど、初めて大佐を見たときにフラフラと近づいて「大佐、ラピュタは本当に有るのでしょうか!?」と掴みかかった位だ。


 いかにもなエピソードには、いかにもなエピソードが加わる。


 先日お披露目された大佐の奥さん大層気の強そうな金髪美人だったのだが、大佐と並んだ瞬間、世界が「宮崎」な空気に呑まれた。

 そして彼女の言葉を聴いた瞬間、僕たちは崩れ落ちた。


「・・・殿下、クシャナ殿下!!」

「ナギハラエァ!!って叫んでください!!」

「いや、ちがう!! その台詞じゃねー!!」

「あ、まてまて、殿下ボイスなら『南雲』さんでも・・・」

「き、き、きたーーーーー!!! リアル・ハマーンさまきたー!!」


 熱狂の男子生徒が集まるのを見て、大佐は呟く。


「・・・ゴミのような人間だ・・・。」

『おしいぃ!! ちょっとちがうしぃ!!』


 奥さんは、実に自分の夫は生徒に慕われている、と感心していたそうな。


 とはいえ、自分の父親を大佐と呼ぶ娘はどうかと思うので、こっそりと相談すると・・・。


「お父さんもちょっと嬉しいみたいだよ? だって、いままでコソコソと噂されている理由がわからなかったみたいだし」


 寺田農の生まれ変わりのようなアノ声で、誰も気づかなかったのか、と愕然とする僕達だった。

 ちなみに、娘三人も見事なアニメ声だった。


 萌える!!

まじでこんな夫婦がいたら死ねるw

奥さんに様々な声をあてさせたい、というか、何とかして日常会話をとりたい。

娘の声は未定。出る予定はあるのでご希望があれば感想ででもw


次回更新 16時予定

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