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第二話スナイパー女教師26歳

第二話です。

こんなかんじのマッタリ展開です。


第二話 スナイパー女教師26歳


 大中小、それがこの学校の名物であった。

 女と見まごう小柄な美少年、中肉中背のホストくささを感じる美少年、見上げるばかりの長身でありながらバランスのよい体格で巌のごとくの強面。

 誰が言ったか光岡成羽男子校のサンバカラス、であった。

 あからさまな問題児というのは入校からわかっているもので、そんな問題児を一手に引き受ける担任教師もまた問題児であった。

 一見して問題児とわかる、教師。


 それは、真紫に染めた髪を逆立てたその人で、真っ黒なパンクファッションで。

 真っ赤な唇が特徴的で豊満な肉体をした女性であった。

 男子校に席を置きたるもの、顔や雰囲気などを差し置いて、豊満な胸や臀部があればそれで良いという年齢であるものの、彼女を知る全ての人が言う。「球磨ちゃん? ああ、あれ、女じゃないし」

 笑うときは「がはは」と笑う。

 けつを掻く、放屁する、鼻くそをほじる、よだれをたらして授業中にいびきを掻きつつ寝る、という行為を青少年たちの前でやれば、嫌でも女性に対する幻想が打ち砕かれるというものだが、男子生徒たちはそれでもこう思う。「本当の女はそんなんじゃない」

 あきらめきれない幻想が、彼らの台詞となるわけだ。



「球磨ちゃん、女じゃないし。」



 

「よっし、きょうはここまで!」


 何の作意も無く意味も無くチョークを投げた球磨=温海教諭は、仏像のように制止していた大男の額の寸前で叩き落されたのを見て舌打ちをした。


「っち! 今日も感づかれたか!」

「先生、あれだけ殺気を込めれば、キクノでも解りますって」

「なんだと! おれはチャンと久ちゃんに催眠術をかけてもらって、自動行動で投げたんだぞぉ!」

「いえいえ、先生。絶対殺気がこもってます」

「ううーん、おかしいなぁ・・・?」


 腕組をしながら教室を出てゆくパンク教諭を見送りながら、みなおはため息をついた。


「なんだ、みな。まだ賭けが続いてるのか?」


 論毛茶髪のナンパ男の言葉に、いかめしい顔のみなおはさらに苦さを深める。


「だって、しようが無いじゃない。球磨ちゃんの好みストライクだって言うんだから」


 ニコニコがおのキクノにデコピンひとつのみなお。

 好みといわれても大いに困るのがみなおであった。

 なんでも、彼女の好みというのが・・・・


「気は優しくて力持ち、見栄えのいい身長と見栄えのいい体格、おれさまをお姫様抱っこが出来る猛者だぁ!」


 というのが、入学式の後のホームルームでの球磨ちゃん自己紹介であった。

 初日から遅刻してきたみなおをみて、思わず指差し「真ん中ストライク!!!」と叫んだ上に、よろよろとしなだれかかって「このままゲットスルーするか?」とかなんとか言っていたぐらいだ。

 が、身持ちの硬いみなおは頑として首を縦に振らないために、むりやり球磨ちゃんが「おまえにチョークを投げつけて当てられらたら言うことを聞かす!」と切れたことに賭けの話が続いている。

 反対に、夏休みまでに当てられなかったら、球磨ちゃんはみなおを諦めると言うはなしになっているのだが、どうみても分の悪い賭けである。


「球磨ちゃんが相手だぞ、いい迷惑だ」


 苦笑のみなおは、不意に上体をそらした。

 すると、目の前を線のようなものが通り過ぎ、隣に座っている男の頭に何かが当たり、砕けた。


「ぐは!」


 崩れ落ちる男。

 思わず皆外を見ると、反対側の校舎でスナイパーライフルを構える球磨ちゃん。

 双眼鏡でこちらをのぞいていたようだが、それを投げ捨て拡声器を構える。


『くぅおぉらぁ~~、貴様、よけるとはなにごとだぁぁ~!』


 いやいや、よけなきゃ死ぬって。

 思わず反射的に突っ込むが、相手は遠く離れた隣校舎。


『貴様の利己的な行為のためにぃ、級友が凶弾に倒れたぞぉ~!!』

「せんせー!! 教師が生徒をスナイプしていいんですかぁ~!」

『俺様の愛のために、シネ!』


 ライフルを構える球磨ちゃん。

 瞬間、蜘蛛の子を散らすように教室から誰も居なくなった。

 凶弾に倒れた人間のみを残して。


『こぉらぁ~! 正々堂々、おれさまのまとになれ、そしてしね~!』


「いやー、まじでそろそろみなを差し出さんと、俺たちの命が危ういぞ。」

「でもなー、男日照りのパンク教師の毒牙にはかけたくないよ、親友として。」

「結局のところ、みなに女が居ないのが問題なんじゃないか?」


 もえ・きくの・委員長の三人が、腕組をしつつ思案中。

 ひとり蚊帳の外のみなおは、各所からスナイプ不可能な場所で待機中だ。


「うっわ、委員長、それ大胆だわぁ。」

「そうそう、下手な女をあてがっても、球磨ちゃんに夜道で襲われて逃げられるよ。それにナチュラルに続かないし。」

「キクノ・・・お前も大概ひどい事言うな。」

「だって、事実だもの」


 くわぁ~と唸りながら顔を覆うモエ。


「球磨ちゃんの好みのおとこ探し出して教えるのは?」

「あの騒ぎを、校外で展開? 警察沙汰だな。」


 不意に三人の脳裏で広げられる一面トップ。


『女教師、錯乱の乱射。』


 目の辺りに黒いブロックがかけられた自分たちの写真とか。

 ぶるりと背筋が冷たく。


「なんつーか、不幸なはなしだわな。」


 委員長のため息と共に教室の引き戸が開かれた。


「こらー、アホたれども。部活も何もはいって無いやつらは、とっとと帰れー」


 年配の生活指導教諭の登場に、致し方なくこの場は解散となった。

 みなおはいまだ狙われ続けている。

 狙っているのはスナイパー女教師26歳。

 まったく色気もなにも無い。


スナイパー女教師には、モデルがいます。

えー、GPMのパンク先生です。


・・・あれー、オリジナルじゃなかったノーという話はパスw


次回更新 13時予定

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