完全犯罪
とある資産家の男性が殺害された。
警部 「うーむ…。犯行当時この部屋には鍵がかかっていた。他に人が通れそうな通路も見当たらない。一体、犯人はどうやってこの部屋から出たというのか」
探偵 「…実に簡単なことですよ、警部」
警部 「まさか、謎が解けたというのかね?」
探偵 「ええ、謎の答えは目と鼻の先にあります」
そういうと探偵は資産家の男性の死体を揺すち始める。
探偵 「⋯つまり、この男性は最初から殺されてなどおらず、ただ昼寝をしていただけだったということです。ほら、起きてください」
警部 「⋯⋯?」
そこでようやく昼寝をしていた男性が眠りから目覚める。
男性 「あー、よく寝た」
警部 「⋯⋯⋯」
探偵 「おはようございます」
男性 「あ、これはこれはどうも」
男性はそれから冷蔵庫からナポリタンを取り出し、レンジで温める。ちょっと遅めのお昼ご飯だ。
男性 「ところで、先から気になっていたんですけど。なぜ私の部屋に探偵やお巡りさんがいるんです?…もしかして、この近くで事件でもあったとかですか?」
警部 「⋯…⋯⋯」
しかし、ここで異変が起こる。ナポリタンを食べていた男性が突然苦しみだしたのだ。
男性 「⋯うっ!!」
警部 「大変だ!!もしや、ナポリタンに毒が?」
探偵 「⋯いや、よく見てください。男性のあの幸せそうな顔を。単にナポリタンが美味しいからびっくりしているだけです。きっとお腹が空いていたんでしょう」
警部 「⋯⋯⋯⋯」
やがて男性はナポリタンを食べ終え、居間に寝転がりテレビを観始める。録画しておいた朝ドラだ。
探偵 「それじゃあ警部、事件も一段落したことですし。我々もお暇しましょうか」
警部 「⋯⋯⋯⋯」
男性 「あ、せっかくですからこれお土産にどうぞ」
そう言うと、男性は戸棚から都まんじゅうを取り出す。
探偵 「あ、これはどうも」
警部 「⋯⋯⋯⋯」
探偵「あれ、どうしたんですか警部?せっかく事件が解決したというのに死人みたいな顔をして」
男性 「きっと疲れているんですよ。ほら、最近物騒な事件が多いですから」
探偵 「何だー(笑)」
探偵 男性 「あはははははは」
警部 「⋯⋯もう、この仕事辞めたい」




