犯人は、そして
乗組員が食堂に集まった。五人。
七人が六人になり、六人が五人になった。
「ナディアを殺したのは、この中の誰かだ——あるいは、V-7から乗り込んだ何かだ」ノーランは静かに言った。
誰もが誰かの顔を見た。
「密室をどう説明しますか」とテリエが言った。「内側から鍵がかかっていたんです。外からの侵入は不可能だ」
「人間の体では、換気口は通れない」とリアが言った。「でも——あの擬態生物なら?」
「仮にそうだとして」とオーレンが静かに割り込んだ。老人の目は冷静だった。冷静すぎた。「一つ、重要な報告があります」
全員がオーレンを見た。
「ナディアの死因を調べました。外傷はない。神経系の損傷もない。つまり、ルカのケースとは全く異なる」
「では何が——」
「環境毒です」オーレンは淡々と言った。「ナディアの部屋の空気循環に、微量の有害物質が混入された痕跡があります。気づかないほど少量ずつ、しかし確実に致死量に達するように。就寝中に、体の内側から静かに壊された」
沈黙が食堂を支配した。
「つまり」とノーランは言った。「これは擬態生物の仕業ではない」
「そう考えます」とオーレンは顔色一つ変えずに答えた。「あの生物が環境制御システムにアクセスして、空気組成を変更するだけの知能を持っているとは考えにくい」
ノーランの視線が、五人の顔を一人ずつ辿った。
「犯人は、この中にいる」
ノーランはその夜、一人で操縦席に座っていた。着陸準備のチェックリストをこなしながら、頭の中では推理を組み立てていた。
一つ目。燃料ラインのサボタージュ。これは出発前か、航行初期に仕込まれた。流量調整弁の細工は巧妙で、専門的な知識がなければ不可能だ。
二つ目。ナディアの殺害。環境制御システムへの不正アクセス。空気循環に毒素を混入する——これも高度な技術が必要だ。
この二つを結ぶものは何だ。
ノーランは環境制御のアクセスログを呼び出した。ナディアの部屋の空気設定が変更された時刻——深夜の二時十四分。操作端末の座標を逆算すると——第三区画。
第三区画には、リア・サントスの部屋がある。
そして——リアの指の動き。食材を扱う者の指ではない、と最初から思っていた。もっと精密な。もっとシステマティックな。
ノーランは立ち上がった。
第三区画に向かう前に、換気口の近くにしゃがんで、懐中電灯で照らした。
黒い、泥のような痕跡が換気口の縁についていた。ほんの少し。気をつけて見なければ見逃すくらい。
擬態生物は確かにこの船の中にいる。それは事実だ。しかしナディアを殺したのは、この生物ではない。
ノーランはリアの部屋の前に立った。ノックした。
「開けろ」
沈黙。
「開けなければ、非常解錠を使う」
数秒の間のあと、扉が開いた。リアは端末の前に座っていた。画面には——環境制御のインターフェースが映っていた。
「説明してもらおうか」とノーランは言った。
リアはノーランの目を見た。長い沈黙のあと、静かに口を開いた。
「……私は、反体制派です」
「知っていた」
「この遠征を、止めなければなりませんでした」
「だから燃料ラインに細工をした。V-7に立ち寄ることになったのは計算外だったが、ルートが変更されて地球への到達が可能になったから——今度は航海士を殺した。ナディアがいなければ、正確な着陸ができなくなると考えた」
リアは否定しなかった。
「一つだけ、聞いてくれませんか」リアの声が、わずかに震えていた。
ノーランは何も言わなかった。それを、続けろという意味だと受け取ったのか、リアは話し始めた。
「あの探査機のデータを、あなたたちは政府の報告書でしか見ていないでしょう。でも私たちは、元データを独自に解析しました」
「それで?」
「あの星の生き物は——私たちと同じなんです」
「同じ?」
「考え、感じ、言葉を持っている。社会を形成し、芸術を生み出し、死者を悼む。あの記録媒体には、彼らが歌を歌っている映像がありました。歌ですよ。食料なんかじゃない。あれは——」
「もういい」
ノーランはリアの言葉を遮った。
「あれは——私たちと同じ、知性ある——」
「もういいと言った」
ノーランはリアの腕を掴み、食堂まで連行した。残りの乗組員を呼び集め、事実を告げた。
「犯人はリア・サントスだ。反体制派の工作員。流量調整弁のサボタージュも、ナディアの殺害も、すべて地球到達を阻止するためだった」
リアは何も言わなかった。ただ、テーブルの上に置かれた自分の手を見ていた。精密な指。何十年もシステム設計に携わってきた、精密な指。
ベックが拘束具を持ってきた。リアの手首が固定された。
「ナディアのナビゲーションデータは、コンピューターに完全に入力済みです」とテリエが報告した。「着陸シーケンスはオートパイロットで実行可能です」
「地球到着まで、あと一日を切っている」とノーランは言った。「予定通り、着陸する」
リアが顔を上げた。目が——何かを訴えていた。
「船長」
ノーランは振り返らなかった。




