黄色の星への着陸
V-7に着陸したのは夜だった。
舷窓から見えた空は黄色かった。厚い雲が低く垂れ込め、硫黄のような匂いがマスクごしにも感じ取れた。
「大気は呼吸可能です」とオーレンが言った。「ただし長時間の露出は推奨しません。防護マスクを装着してください」
全員がマスクをつけた。
調査班はノーラン、ルカ、ベックの三人。他の四人は船内に残った。
外に出た瞬間、ノーランは足元の地面に違和感を覚えた。砂でも土でもない、スポンジのような柔らかさ。重力はわずかに故郷より重く、一歩踏み出すたびに膝に鈍い圧力がかかった。
「気持ち悪い場所ですね」とルカが言った。いつもの笑顔はなかった。
「集中しろ」とノーランは言った。
黄色い霧の中を歩いた。植生は低く、灰色がかった草が地面を覆い、ところどころに黒い岩が突き出ていた。足音が奇妙に吸収されて、音の輪郭がぼやけた。
十分ほど歩いたところで、ルカが立ち止まった。
「待ってください」
「どうした」
「何かいます」
ノーランも感じた。動くもの。一つではない。複数。霧の中に溶け込んでいる。
「戻ろう」とノーランは静かに言った。
遅かった。
ルカが振り返った瞬間、黒い何かが霧から飛び出してきた。音もなく。影のように。まるで霧そのものが形を持ったかのように。
「ルカ!」
ベックが叫んだが、間に合わなかった。
黒い影はルカの体に巻きつき、その輪郭を飲み込んだ。ルカの声が一度だけ短く上がり——そして、途絶えた。
ノーランは銃を抜いた。発砲した。黒い影は霧の中に消えた。
ルカは地面に倒れたまま、動かなかった。
「神経系への急激な電気的干渉です」
船内に戻ってから二時間後。オーレンが報告した声に、感情はなかった。
「外傷はほとんどありません。内側から壊された、という表現が適切かもしれません」
ルカの遺体は医療室に安置されていた。
ノーランは一度だけ、その顔を見た。いつも笑っていた顔が、今は静かで、どこか遠くを見ているようだった。くだらない冗談を言っては空気を軽くしていたあの顔が、もう二度と笑わない。
「それと」とオーレンは続けた。「一つ、気になることがあります」
「言え」
「ルカの体表組織の一部が、発見時とは異なる細胞構造を示しています。組織の配列が……変化している」
「どういうことだ」
オーレンは少し間を置いた。
「あの生物は、擬態します。対象の体に接触することで、その一部の構造を複製する。つまり——」
「船内に侵入している可能性がある、ということか」
「はい」
ノーランは目を閉じた。三秒。また開けた。
燃料ラインのサボタージュ。乗組員の中のスパイ。そして今度は、人間に擬態する生物。
「全員を食堂に集めろ」




