第57話「3代目 ChronoSeed Ver.幕末…発進ッ!」
「ふぅ……さて、と」
運転席に腰を下ろした俺――蒼井颯真は、
軽く背伸びをしてから、手足をぐるりと回す。
緊張をほぐすように深呼吸をひとつ。そして、後方を振り返った。
仲間たちはすでに、それぞれの席に着いている。
誰もが無言のまま、俺の視線に応えるようにうなずく。
――この瞬間を、俺たちはずっと待っていた。
何年もかけて準備して、何度計画が潰れようとも、それでも諦めなかった。
そうして、ようやく辿り着いた“発進”の時。
胸の奥に、じわりと熱を帯びた緊張が広がっていく。
「蒼井颯真、3代目ChronoSeed 、Ver.幕末、発進する!」
抑えたつもりの声は、機内にしっかりと響き渡った。
その瞬間、空気がピンと張り詰め、
足元から機体の振動が伝わってくる。
計器が次々と点灯し、静かな起動音が徐々に鳴り始めた。
設定時刻は――2067年8月8日。
この日、この時、この瞬間。
俺たちは、未来へと旅立つ。
発進からおよそ3分後、
機体の振動が――止んだ。
静寂。まるで世界が一瞬、息をひそめたような感覚。
その沈黙を破ったのは、俺の声だった。
インカム越しに、鋭く、正確に、次々と情報を伝えていく。
「到着確認。2067年8月8日、午前0時00分――時刻一致、
誤差ゼロ。空間安定、重力正常、大気成分一致。
クロノシステム、全系統グリーン。
乗員全員、生体反応良好。着地完了――クロノシード、時刻固定!」
機内の照明が、ふっと切り替わる。
外の世界を映すモニターには、見慣れない都市の輪郭。
それと、静かな夜の風景が広がっていた。
「着いたね。ここが2067年――私たちのいた世界よ。
そしてここは、昔、私と兄が使っていた如月研究施設なの。」
澪はそう言って、皆に説明した。
……だが、幕末組の3人は、ぽかんと口を開けたまま、
未来に来たという実感よりも――
わずか2、3分で時を超えたという事実に、
思考がまったく追いついていない様子だった。
「田舎町だけど、この施設の近くにコンビニがあるから行ってくるね~。
なにか欲しいものある?ついでに買ってくるよ。」
そう澪が声をかけると、龍馬が手を上げて応えた。
「用心するに越したことはないき、
わしも付き添うて、その“コンビニ”っちゅう所に一緒に行っちゃろう。」
「助かるよ、龍馬くん。ありがとね。」
――あの時、俺が龍馬さんをコンビニに行かせなければ、
今、こんなに後悔することもなかったのかもしれない。
いや、どのみち、こうなる運命だったのだろうか…
そんなわけで、澪と龍馬は買い出し係となった。
施設を出て、まっすぐ道路を進むこと約5分。
コンビニが見えてきた。
店の前に立つ2人。
自動ドアが開くと同時に、電子音が響いた。
タタタタタターン♪ タタタタターン♪
店内に入ると、澪は迷うことなく真っすぐに2つの商品を手に取った。
選んだのは――“あんパン”と“牛乳”。
それを抱えて、おにぎりコーナーへと向かう。
「最初に選んだ、まっこと丸うて透けちゅう袋に入ったやつと、
四角で先っちょが三角になっちゅう箱みたいなもん、
あれって、最初っから買うつもりやったが?」
「うん。兄さんの大好物なの。
特にこの2つを一緒に食べるのがポイントなんだって。
ちょっと変わってるでしょ?」
澪はそう言って、どこか寂しげに微笑んだ。
それを見た龍馬は、同じ商品を手に取り、澪に差し出す。
「なら、わしの分も、ついでに買うちょいてくれんかのう?」
そう言って、にっこりと笑った。
その後、2人はコンビニで買ったものをみんなに配り、
幕末組にとっては、未来での初めての食事タイムとなった。
龍馬は澪の食べ方をちらりと見ながら、真似してあんパンを手に取る。
袋越しに伝わる柔らかさに、思わず感心。
透明な包装を外すと、ふわっと甘い香りが鼻をくすぐった。
初めて嗅ぐ香り――それだけで、もう心が弾む。
パンをそっと割ってみると、ふわふわの生地の中に、
たっぷり詰まった甘く煮た小豆が顔をのぞかせた。
そして、ひと口。
「…こ、こりゃあ…うまいちや。
生地はしっとりしちょって、歯ざわりもえいし、
甘うて濃いあんこが、生地とよう合うがやき。
やつどきにパクッと食べられる大きさも、こじゃんとえいがよ〜。」
今度は、澪が手際よく牛乳にストローをさすのを見て、
龍馬も同じようにストローを差し込む。
そして、澪が美味しそうに牛乳を飲む姿を見た瞬間――
龍馬の顔に、思わずにやりと笑みがこぼれた。
「そりゃあ、うまいに決まっちゅう!」
その予感は大当たり。
牛乳のまろやかさが、あんパンの甘さをやさしく包み込む。
この2つの組み合わせは、ただの“100+100=200”じゃない。
お互いを引き立て合って、“100×10=1000”の旨さを生み出していた。
「明日も、また買いに来ようかのう……!」
龍馬はすっかりご機嫌だ。
未来にたどり着いた5人。その感動は、深く胸に刻まれた。
――しかしその裏で、次なる試練は、静かに幕を開けようとしていた。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
━━(付録)守護者紹介 ≪風属性≫ ━━━━━━━━━━━━━
・No21/30(風属性)(レア1)(速さ1)
守護者名:【嵐刃シュトルム】詳細:嵐そのものが意志を持った存在
与ダメ:0、回復:0
特殊効果:そのターンに相手がした攻撃・回復・特殊効果を
まねできる、必ず後攻になる
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・No22/30(風属性)(レア2)(速さ9)
守護者名:【童子カザミ】詳細:風に宿る精霊、和解の導き手
与ダメ:3、回復:3
特殊効果:なし
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・No23/30(風属性)(レア2)(速さ8)
守護者名:【天翔の風神】詳細:日本神話の風神
与ダメ:2、回復:2
特殊効果:1ターンに5以上の被ダメは受けない
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・No24/30(風属性)(レア2)(速さ8)
守護者名:【西風の王】詳細:西風を司る神格
与ダメ:2、回復:2
特殊効果:このターンの全相手の特殊効果を無効、
相手の継続の攻撃、ターン数は含まない
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・No25/30(風属性)(レア2)(速さ7)
守護者名:【風の守護鳥・白鷲】詳細:空を駆ける風の守護鳥
与ダメ:2、回復:2
特殊効果:速さが相手以上の場合、相手の通常攻撃のみ無効
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・No26/30(風属性)(レア2)(速さ8)
守護者名:【風狐・シラヌイ】詳細:火を喰らう風の妖狐
与ダメ:2、回復:2
特殊効果:相手が水属性の場合、相手の特殊効果無効
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・No27/30(風属性)(レア2)(速さ8)
守護者名:【潮風・ロキ】詳細:神々を翻弄する変化の風
与ダメ:2、回復:2
特殊効果:体力ゲージ相手より少ない時は相手の体力ゲージを
自分のものと入れ替えることができる
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・No28/30(風属性)(レア3)(速さ9)
守護者名:【独眼竜・伊達政宗】詳細:風を裂く孤高の覇者
与ダメ:4、回復:4
特殊効果: このターンの全相手の特殊効果を無効、継続も含む
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・No29/30(風属性)(レア3)(速さ8)
守護者名:【軍神・上杉謙信】詳細:義と風を纏う戦の化身
与ダメ:4、回復:5
特殊効果:このターンの全相手の特殊効果を無効、継続も含む
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・No30/30(風属性)(レア4)(速さ8)
守護者名:【風哭ノ鎌・死神】詳細:命の終わりを告げる風の死神
与ダメ:1、回復:3
特殊効果:このカードを対戦中バトルフィールドに
合計3回出せたら無条件で勝利、
ターン時に相手を1回復、自身に3与ダメを受ける
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