表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幕末転生 - 転生したら知力だけでガチるしかなかった -   作者: 紫蘭
「Return to my self」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/53

第53話「外見」

 人間の姿が光に包まれ、輪郭が揺らぎながら次第に変わっていく。

 その瞬間、ChronoSeedの中心部から――『未来の鐘』のような、

 ファンファーレが鳴り響いた。

 その音は、まるで誰かの帰還を祝福するかのように、研究室全体に響き渡った。


 俺はこの光景を見届けながら、

 ChronoSeedの演算能力の不足分を補うために全力を尽くし、

 警告音とエラー表示に囲まれながら、ぎりぎりの調整を続けた。

 結果、疲労困憊で床にへたり込んで、目の下にはくっきりとクマができていた。

 その音に気付いた瞬間、澪が無事に人間の姿へ戻れたのだと理解する。

 そうして、全身の力が抜けて、思わず小さく息を吐いた。


「……うまくいったようだな。しかしだ!澪さんよ!

 普通ならこういう場面、裸で登場するもんだぞ。」


 そう突っ込む俺の目の前で、澪は服を着たまま立っていた。

 ――さすが澪さんたる所以ゆえんだと感心する。


 澪の姿は光に包まれ、青白い輝きが研究室を隅々まで満たす。

 その瞬間、外では荒れ狂っていた嵐が次第に静まり、

 雨脚は弱まって、雲が裂けていく。


 やがて厚い雲の隙間から陽光が差し込み、

 研究室の内部を黄金色に染め上げた。

 嵐は完全に去り、澄み渡る空が広がっていく。


 そして、みんなの目の前には――人間の姿を取り戻した澪が、

 光の中に立っていた。


 少しだけ、澪さんがどんな御姿で現れたのかを紹介しておこう。

 正直、期待していた分ちょっと残念な気持ちもあるが、

 俺の知識の範囲でしか語れないから、その辺は大目に見てほしい。

 

 服装はというと、白衣を羽織り、

 その下には淡いグレーのハイネックニット。

 ボトムはスラックスパンツで、端正かつ機能的な印象を受ける。

 足元はヒールではなく、落ち着いた色合いのパンプス。

 全体として、研究者らしい冷静さと実用性を兼ね備えたスタイルである。


 澪本人の顔立ちは、すっきりとした輪郭のうりざね顔に切れ長の目。

 髪型は肩までのストレートヘアで、耳にかけてすっきりとした印象を見せる。

 細身のメタルフレーム眼鏡を着用し、淡々とした微笑みを浮かべている。

 さらに首元には未来的なアクセサリーが輝き、

 彼女の理知的な美しさを際立たせていた。


 そんな澪の姿を目の当たりにした俺たちは、

 折角だから記念写真でも撮ろうという話になった。

「この瞬間を残しておきたい!」と誰もが思ったのだ。


 ところが――奇跡のような不運が起こった。

 研究室にあるカメラが、なぜかすべて壊れていたのだ。

 直前まで正常だったのに、まるで何かに拒まれたかのように。

 電源が入らないものもあれば、シャッターが切れないものもある。

 どれも使い物にならない。結局、撮影は断念せざるを得なかった。


 その場に妙な沈黙が流れたが、

 誰かが「じゃあ似顔絵でも描いて残すか?」的なことを冗談めかして言った。

 確かに、こういう時こそ絵を描く人の腕の見せどころなのかもしれない。

 限られた情報や記憶だけで、澪の姿を紙の上に再現できるものなのだろうか?

 できることなら、こういうのを描くのが、とても好きなんだよねっていう人に、

 実際に描いてもらいたいくらいだ。あの瞬間の澪の姿を、

 記録ではなく、自分の記憶だけに留めておくのは、

 どうにも少し惜しい気がしてならない。


 とはいえ、最初の試練は突破した。

 次に俺たちを待つのは、さらなる難関か、それとも予想外の運命か……。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ