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幕末転生 - 転生したら知力だけでガチるしかなかった -   作者: 紫蘭
「Ally」

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第50話「再集結(後編)」

 黒船が浦賀に来航したその日。

 俺があらかじめ手配していた旅館――徳田屋で、

 夕御飯を兼ねて6年ぶりの再結成祝いをすることに決めていた。


 徳田屋は、江戸後期から明治期にかけて浦賀を代表する宿であり、

 黒船来航や幕末の動乱に深く関わった歴史的な場所として知られている。


 ここには数多くの文化人や志士が宿泊した記録が残っていて、

 吉田松陰、佐久間象山、桂小五郎、安藤広重といった当時を代表する、

 有名人たちが足を運んだことで評判を高めた宿である。


 ――さて、ここで「ん?」と思った人は鋭い。

 冒頭で徳田屋を「旅館」とさらっと呼んだが、

 正しくは「旅籠はたご」である。

 旅籠とは江戸時代に旅人へ宿泊と食事を提供した宿屋のことで、

 つまり現代の旅館の原型にあたる存在なのだ。


 物話に戻るとしよう。

 5人は徳田屋の食卓を囲んでいた。 湯気の立つ鍋、香ばしい焼き魚、

 そして地酒の瓶が並び、久しぶりの再会を祝う空気が漂う。


 龍馬は早速盃を手に取り、豪快に笑う。


「おう!まずは腹ごしらえじゃき、話はそれからや!」


 左内は箸を持ち替えながら、冷静に言う。


「……食事も大事ですが、議題は山ほどありますよ。」


 清隆は黙って煮物を口に運び、短く


「うんめ!」とだけ呟く。


 そして澪は、皆の姿を見渡しながら、静かに言葉を紡ぐ。


「……こうして食卓を囲めるのも、6年ぶりですね。

 この時間を、未来へ踏み出すための始まりにしたいね!」


 その瞬間、食卓の上に漂う温かな空気が、黒船来航の緊張をやわらげていた。

 いや、緊張というよりも――あれは祭りと花火大会を合わせたような、

 高揚感だったのだ。 現在の場の雰囲気は穏やかで、

 みんな楽しげに語り合っている。


 食卓を囲んだ話題は、黒船の衝撃から未来学習のこと、

 そして6年間の歩みまで多岐にわたった。

 しかし、予想していた「尊王攘夷」や「倒幕」といった言葉は、

  不思議と一度も出てこなかった。

 ちなみに、ここで言う未来学習とは、

 澪が独自に3人のために開講していた通信教育のことを指す。


 そんな中で、ひときわ印象的だったのが――澪の報告だった。

 彼女が6年間にわたって地道に記録してきた3人の歩みをまとめたもの。

 澪は宗一郎に、事前に用意しておいた資料を皆へ配るよう頼んだ。


 構成はシンプルで、冒頭に澪の報告、続いて3人のコメント、

 そしてそれらを受けた澪の総括が締めくくりとなっている。


 皆が資料をひと通り読み終えたのを確認すると、

 澪はその内容を音読し始めた。


「龍馬君は剣術修行を続けながら、

 未来の交渉術やテクノロジー理解を学んでいます。

 左内さんは政策科学や倫理学を中心に改革思想を磨いています。

 清隆君は安全保障や行政マネジメントを学び、

 未来の国家運営を担う準備をしています。」


 次に紹介したのは、最近の3人のコメント。

 澪は事務的に淡々と読み上げた。


「龍馬君 、はははっ!交渉術もテクノロジーも、

 わしにかかりゃあ遊びみたいなもんじゃき!

 世界と渡り合う準備はもうできちゅうぜよ!


 左内さん 、龍馬君、遊びでは済まされませんよ。

 未来社会では制度設計と倫理の両立が不可欠です。

 技術が進めば進むほど、人間の選択が問われるのです。


 清隆君、……守っために学ぶ。そいだけじゃ。」


 最後に、澪の総括。簡潔ながらも強い思いを込めて語った。


「3人とも、未来では『技術・制度・倫理』の3本柱を、

 補完し合う必要があります。

 本人たちのコメントからも、

 龍馬君は場の空気を一変させる明るさを持ち、

 左内さんは理知的な言動で場を引き締め、

 清隆君は寡黙さで場の緊張を高める

 ――三者三様の違いがある。だからこそ、

 3人の歯車が噛み合い、巨大な力となって、

 回転するように協力し合う姿勢が大事になりますね。」


 澪が報告を終えると、颯真に今後の方針を仰いだ。

 颯真は資料を脇に置き、場を落ち着かせるように微笑む。

 そして腕を組み、真剣な眼差しで言った。


「よし……これから精力を傾けて欲しいことが3つある。  

 まずは新型クロノシードの残りの開発と完成だ。  

 そして澪を人間に戻すことについての、

 意見とアドバイスをお願いしたい。

 それと直さんには、対戦舞台の構想が完成するまでの間、

 CIOに交渉する準備を進めてもらいたい。

 それで左内さんと清隆さんは、俺と協力して、

 対戦のルールと勝敗の基準を整備する準備をしてほしい。

 みんな、よろしく頼むね。」


 すると、3人が口々に応答した。


「おう!交渉なら任せちょけ!世界を相手にする舞台、楽しみじゃ!」


「ルールと基準……合理的に整えましょう。未来社会でも通用する形に。」


「……わかった。必要なこつは、やっど。」


 颯真は、世界を平和に導けると確信していた。

 幕末の動乱の世で巡り合った3人となら――それは可能だ。


 そして黒船来航の日、浦賀で再び集結した5人。

 未来を担う彼らの笑いあり、本気ありの物語が、ここから動き出す!

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。


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