第39話「探究工夫」
ある日の夕食後、黒田少年が俺の部屋を訪ねてきた。
CIOについて話を聞かせて欲しいと真剣な表情で言う。
彼の目には、ただの好奇心ではない、
確かな意志のようなものが何か宿っていた。
俺は、CIOという組織の成り立ちや理念、
そして彼らが何を目指しているのかを、
できる限り丁寧に説明した。
彼は黙って頷きながら、時折鋭い質問を挟みつつ、
俺の言葉を一つ残らず吸収しようとしていた。
ひと通り話し終えたあと、俺は彼に問いかけた。
CIOについてどう思うか。
――その理念を聞いたうえで、彼自身は何を感じたのかを。
すると、思いもよらぬ言葉が返ってきた。
「宗一郎さぁ、ちっと聞かしてくいやんせ。
CIOとあんたの新政府、どっちが正しかっちゅうと、
どげんして証明すっつもりじゃ?
まさか命のやり取りまでせんといかんのか?
そのへんも考えちょっなら、教えてくいやんせ。どうじゃろかい?」
その一言に、俺は正直驚いた。
いや、驚いたというよりも、少しヒイテしまった。
俺自身がずっと悩み続けていたことを、
彼はあまりにも自然に、しかも的確に言い当ててしまったのだ。
黒田少年――いや、もうその呼び方はやめよう。
これからは、清隆さんと呼ばせていただくことにしよう。
「清隆さん!何故そう思ったんですか?是非ご教授いただきたいっ!」
思わず声を荒げてしまった俺に対し、
清隆さんは落ち着いた口調で、
少し笑みを浮かべながらこう言った。
「どげんしたとですか、宗一郎さぁ。
急に“清隆さん”ち言わるっと、なんかこう、
むず痒か気持ちになっでしまいもす。
これまで通り、“黒田少年”とか“黒田”ち呼んでくいやんせ。
それと、おいが申したことは、たぶん左内さぁも龍馬さぁも、
同じようなことを思っちょらるっと思いもす。ですからもし、
宗一郎さぁも似たようなことをお考えであれば、
まずはそのお二方にお確かめになって、
それから4人でCIOとの決着の付け方を話し合うちゅうのは、
いかがでございもすか?
おいは、それが一番間違いのなか道じゃっち思いもすが、
いかがでございもすかの?」
その言葉に返答するよりも早く、
部屋の扉の向こうから声が飛び込んできた。
「すでに間違ってるわよ、4人じゃなくて5人よ!
あっ、私も違うわね。正しくは、4人と1匹だね。」
澪さんだ。絶妙なタイミングのツッコミに、俺は思わず笑ってしまった。
そのまま、俺は澪さんに左内さんと龍馬さんを、
呼んできてもらうよう頼んだ。
しばらくして、二人が俺の部屋に入ってきた。
扉を開けた瞬間、俺の顔を見て、それぞれが特徴的な笑みを浮かべた。
さすがは澪さんだ。部屋に来るまでの間に、
二人に話の内容を伝えてくれていたらしい。
あの笑みは、CIOとの対決方法について、
何かしらの考えをすでに持っていることの表れだったのだろう。
ふと気づけば、俺はいつの間にか、
左内さん、龍馬さんと“さん付け”で呼ぶようになっていた。
彼らに対する敬意が、自然とそうさせていたのだと思う。
そしてこの後、俺たちはCIOとの決着の方法について、
真剣な話し合いを始めることになる。
そこで俺は、以前から温めていた“ある計画”について、
ついに口を開く決意をした。
それは、時間が限られていて、問題も山積している計画だった。
だが、今この瞬間こそが、その実装に踏み出すべき時だと、
俺は確信していた。
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