第3話「宗一郎の決意」
(……俺、赤ちゃんだよな?)
でも、この視界の解像度、味覚の鋭さ、脳内に溢れる学問の奔流はどうだ。
昨日まで、蒼井颯真――ただの中学生だった。廃校寸前の学校で、
運動万能、成績中くらいの“バランス型”男子。
それが今日、転生。場所は1841年の江戸、身体は赤子。
しかも、喋れない。動けない。けれど脳だけはフルスロットル。
普通に赤ちゃんとして母乳を飲んでいるだけでいいのに。
「この母乳、脂質比率現代サプリ超えてんぞ…」
味覚スキル発動。舌から脳に栄養情報が爆速で流れ込む。分析が止まらない。
さらに昨日はおむつ交換。恥ずかしい…はずだった。
でも、母の手際を観察してる間に、
俺の中で育児導線最適化アルゴリズムが組まれていた。
「動線、衛生、時間配分……育児マニュアル最新版完成っと」
待て待て。おむつ交換だぞ、
最新版を完成させている場合じゃない。
俺、体育祭で応援団長だったんだぞ?俺の中の羞恥心、どこ行った!
そして寝返りチャレンジ。失敗。 筋力ゼロの身体では、関節すら自由にならない。
「この可動域じゃ剣術も無理。寝返りRTA不可……詰んだ」
でも、俺は諦めない。 あの日、黒い人影に襲われた。
閃光とともに意識を失ったあの事件。
きっと、200年後に待ち構えている黒幕がいる。
だからこの知力999を武器に、何があっても真相に辿り着いてやる。
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