第2話「知力999」
目が覚めた瞬間、俺は感じた。
――これはゲームだ。
いや、世界そのものが、ゲームじみたロジックで構築されている。
まだ声も出ない赤子の状態なのに、視界の右上に浮かぶ文字がそれを証明していた。
【転生者:暁宗一郎】 ステータス振り分け開始。
残りポイント:10 ※前世自己認識により一部制限あり
(…ステータス配分…⁉︎ これ、マジでRPG的世界観だ!)
俺はすぐに理解した。この世界には、能力を数値化し、
振り分けることで成長軌道が決まるシステムがあるらしい。
当然、筋力と敏捷に振って剣豪を目指す予定だった。
新撰組のような生き様――それも悪くない。
だが。
【筋力:振り分け不可】 【敏捷:振り分け不可】
画面上に冷たい文字が並ぶ。
試しても、何度もタップしても、ステータスバーは一切動かない。
(ちょっ…おい!俺の運動神経、どこ行った!?)
“バランス型”だった自分の認識が、まさかここまで足を引っ張るとは。
前世で「勉強も苦手じゃない」と言ったばかりに、
知力以外が封印される形になっていた。
唯一反応したのは【知力】――バーがヌルヌルと上がる。
そして気づけば数値は限界突破。
【知力:999(MAX)】
(……詰んだ。いや、これ、もしかして最強ルートでは?)
瞬間、知識が脳内で爆発した。兵学、蘭学、儒学、歴史、法律…
ありとあらゆる学問が、記憶と融合し、再構築されていく。
さらに――スキル獲得通知が表示された。
【スキル獲得:読心補正】 【スキル獲得:記憶再生】【論理演算】などなど…
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