第13話「区切りと決意」
俺がこの幕末の世界に転生してから、
早いもので150日。
どうしてこんなに正確な日数が分かるかって?
それは俺、暁宗一郎の知力999のおかげだ。
この異次元じみた知力にも、
だいぶ慣れてきた。
最近は驚くことなんて、
もう滅多にない。
それどころか、脳内に自動更新される
「日数表示機能」とやらにまでツッコむことも
無くなってきた。便利だから、まあいいか。
カレンダーといえば、
この時代が採用してる暦法は
「天保暦」だっけ。
そういや改暦はあと3年後か…。
ふと思う。
この時代に西洋のグレゴリ暦を導入して
諸外国と並び立つ文明国をアピールせよ!
――なんて、お約束の「イベント発生」を
言い渡されたりするんじゃないか?
「フラグ立ててみたけど。どうよ?」
なんて脳内でつぶやいたら、
またアナウンスが響く。
『新着イベントはありません。』
おいおい、マジかよ…。
やっと澪と設計者の痕跡に
辿り着けると思ったのに、
「そんなに甘くないか…」
この1か月、何の進展もない日々は
さすがにこたえた。
その影響で時間には多少の余裕があったにしても
「筋力ゼロ」の俺が寝返りの練習に
励む羽目になったなんて皮肉すぎる。
が、それも結果的には良かった。
寝返り、極めたぞ。
その習得プロセスはすごかった。
動きの解析から始まり、構造の解明まで
――自分自身を毎日研究する地味な挑戦だ。
寝返りのおかげで広がった視野は、
認知能力をレベルアップし、
探求心も最高潮だ。
これならどんな情報だって拾える
――そう思った俺は決断した。
手に入る情報をただ待つだけの
日々はもう終わりだ。
これからは、自分で仮説を立て、
検証していくスタイルに切り替える!
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