第12話「2067の澪」
3か月。その中で、唯一記憶の底から浮かび上がった名前
――「澪」。
知力じゃなく、記憶の奥底から選ばれた、
たったひとつのピース。
(……設計者にたどり着くには、どうすればいい?)
焦るな。心の乱れは、知力の低下に繋がる。
それは、俺の中で最も重要な“知力運用原則”だ。
もしかして、前世の俺
――中学生の蒼井颯真が狙撃された世界線とは、
違う未来があったのかもしれない。
そう考えると、
澪という存在が
“未来で深く関わる人物”という仮説にも、
妙に納得がいく。
(いやいや、やってんなこれ)
宗一郎は、手に握ったガラガラを振りながら、
ノースキルで笑った。
赤子らしさを忘れないのが、
俺流の“情報戦スタイル”だ。
そして、
以前脳内にフラッシュバックした数字
――「2067」。
この謎が、ついに意味を持ち始める。
暗証番号?
ナンバーズ4の当選番号?
スーパーのステーキ肉200gの値段?
可能性としては、どれもあり得る。
だが、ループした2文を思い出せば、
自然と導かれる。
「未来の組織から俺を守る存在?」
「未来から来た“右腕かつ大切な人”?」
それは、西暦。2067年の未来だ。
この2文と「2067年」、そして「澪」。
すべてが繋がっているように思えてくる。
未来。組織。守る存在。右腕。澪。
同一人物かはまだ不明。
でも、ほぼ同一と見ていいだろう。
もちろん、こじつけるのは簡単だ。
でもそれは、
あくまで“可能性”の域を出ない。
だが
――もし、すべてが周到に
用意されたものだとしたら?
ジグソーパズルのように、
ピースがぴったりと埋まるように
設計されているとしたら?
ならば、
少々強引な解釈でも問題ない。
俺は、そう結論づける。
(澪……お前は、俺の未来にとって、
どんな意味を持つ?)
設計者への道は、まだ続く。
そしてその先に、
“2067年の澪”が待っている――。
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