第10話「イベントの意味」
銀の流れを変えた。
密貿易ルートを使って、清国からの銀の流出量を減らすことに成功!
よしっ!いいぞ俺!
これで三角貿易によるアヘン購入の資金源が減り、
清国の財政難も多少は緩和されるはず。
つまり――清王朝の経済が、
ほんの少しだけ安定する可能性が出てきた。
南京条約の阻止まではいかなかった。
でも、歴史を変えすぎると未来そのものに影響しかねない。
清王朝、その後の中華民国、そして中華人民共和国。
このあたりに大きな影響が出ないよう、
俺は慎重に“微修正”したつもりだ。
だが――そこで、ふと疑問が浮かぶ。
(……じゃあ、このイベントって何だったんだ?)
俺は考える。 俺が歴史を微調整することに、
いったい何の意味があるのか?
ただの試練?
いや、違う。しっくりこない。
試されている?
次のイベントに進む資格があるかどうか、力量を見ている?
……それっぽい。
でも、確証はない。
とにもかくにも、外交イベントと暗号イベントは、
これで概ねクリアだと思う。
ただし――分岐ルートのイベントは、まだ終わっていない。
(設計者の痕跡……まだ、何かある)
俺の中で、未解決のフラグがピコピコ点滅している。
このまま終わるわけにはいかない。
だから俺は決めた。
設計者へのアプローチ、続行だ。
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