清涼飮料水
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梅干しに霙のやうなお茶をかけ茶椀の中のお茶漬を食ふ
ジャスミンティーをごくごくと香は鼻を拔く梅雨曇り
サイダーの頸も光つて濡れてゐる ガラスのやうな君の衿頸
こんなにも冷えてゐるのに初戀の微熱のやうなジンジャーエール
ダイナーのカウンター席 君のその白いサンダル コーラフロート
あの夏に、がぶ飮みしてゐた學校の水のPFASs
ミステリー小説を讀み氣がつけば氷も水のアイスコーヒー
レモネード透かした芝生は皆枯れてゐる夏の眞下の代々木公園
ソーダ水まどろむやうな風のなか泡の拔けきる前に飮みほす
飲みかけの微温いラムネは甘いまま二人の前の夏が溢れる
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『カクヨム短歌賞【ナツガタリ'25】(10首連作部門)』への応募作品です。
機種依存文字チェッカー&変換ツール(https://pdc-checker.b-risk.jp/)がなければ、旧漢字チェックの迷宮に迷いこむところでした。
カクヨムには、変換する前の文字を使って投稿しています。
十首目の「飮みかけのラムネの瓶を手渡せば手と手を繋ぐビー玉が鳴る」を修正しています。