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ワンコイン・メサイア~シューティングゲーマー、異世界の救世主となる~  作者: あけちともあき
ドラゴンソウル

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第41話 毒竜 ダークドラゴン戦

『おのーれっ!! かくなる上はこの俺が直々に! ネビュラゴールド様の力を賜ったダークドラゴンが、守りの竜を仕留めてくれよう!!』


 大蛇に似た巨体が空に浮かび上がる。

 毒竜は空気中を泳ぐようにして飛行することができるのだ。


『来た来た。こちらはゲームどおりだ、嬉しいね』


 守りの竜は悠然と、互いのブレスが届く距離までやってくる。


『なぁにが守りの竜だ! 圧倒的な力を得たこの俺が! お前程度でどうにかできるわけがあるまい! かーっ!!』


 毒竜のブレスが吐き出される。

 それはゆっくりと飛来する煙の塊のようで……。


 ある程度飛ぶと、ボンッと破裂して広範囲に毒を撒き散らす。

 毒ブレスは範囲制圧型の攻撃なのである。


 これを、十分な距離を取って回避する守りの竜。

 対して、守りの竜の三つの頭からは、次々にブレスが放たれる。

 毒竜は身をくねらせながら回避した。


『原作よりも強いぞ!!』


 守りの竜の声は、驚きと……そして喜びに満ちていた。


『何を笑っている!? 俺はなあ! こんなこともあろうかとネビュラゴールド様の因子を少しずつくすねていたのだ! ははは! この巨体でこの速度! 驚いただろう!』


 空を泳ぐ巨蛇は、風を切りながら、守りの竜へ肉薄してくる。

 だがそれを、ギリギリのところで回避する守りの竜。

 そしてすれ違いざまに、ブレスを連打し、毒竜に当てる。


『ぬおお!! この状況で当ててくるか!! 強い……!!』


 ダークドラゴンは唸りながら、身を翻してブレスを吐き出した。

 毒のドラゴンブレスが飛散し、空中における戦場を狭めてくる。


『これは……初めて見る攻撃パターン! だけど、回避スペースを狭めて来たならば、次に来るのは分かる!』


 守りの竜は振り返ることなく、いきなり思い切り下降した。

 その頭上を、猛烈な勢いで毒竜が通過した。


『回避するか! おのれ!!』


『これは……氷竜の結晶に手伝ってもらうか』


 守りの竜は高速で後退を開始する。

 そこにあるのは、浮き岩だ。

 しがみついている氷竜が『ふーむ!』と唸った。


『なるほど、自分の出番というわけだな。どーれ』


『多分、氷竜がいてくれれば別の形のパワーアップがあると思うんだよ』


「遊は首が3つになってどうですか?」


『普通に意識は一つだったよ。視界は共有してるからちょっと酔いそうになるけど、あ、ほらほら。氷竜そのものが氷竜の結晶の役割を果たしてる。つまりこれを使ってパワーアップが……』


 のんきに浮き岩の上で相談を開始した。

 これを見て怒り狂う毒竜である。


『何を悠長に! させるかーっ!!』


『悠長には決めないよ。即決だ。見たこと無いパワーアップだけど、頼むぞ。オプション!』


『おうー! 無理がない程度にやるぞー』


 氷竜が応じると、その姿がしゅるしゅると小型化した。

 小さな白い竜がそこにいる。


 そして、守りの竜の周辺をくるくる回り始めた。


『自分が小さくなった! だが、ブレスは元の大きさで吐けるみたいだなー』


「かわいい!」


『これで手数が補える! よし、反撃だ!』


 飛び出した守りの竜が、空中で毒竜と交差する。

 ダークドラゴンは巨体をくねらせてブレスを回避するが……。

 守りの竜の周囲を回る氷竜のブレスを避けられない。


『なにぃーっ!? な、なんだこいつはーっ!!』


 鱗の一部が凍りつく。

 くねる移動に支障が生じ、守りの竜の攻撃に被弾を許す。


『当たるもんだなあ!』


『向こうが原作外の力を発揮するなら、こっちも原作を越えたアタックで勝負だ! これはメイガス・バレットの続編……あ、世界観は違うんだけど、そこで追加されたシステムで……』


『守りの竜、くちゃくちゃ喋ってる余裕はないぞ』


『後で語る!』


 ブレスで道を狭めて突進してくる毒竜。

 だが、毒のブレスと氷のブレスがぶつかり合い、相殺する。

 自由に空を駆けながら、守りの竜はふわりと毒竜を回避した。


 宙返りしながら、ブレスを連射する。

 氷竜もまた氷のブレスで援護。


『ウグワーッ!! こ、こんな馬鹿なーっ!!』


 ダメージとともに、全身に氷による戒めを受け、毒竜の動きは大きく鈍った。

 守りの竜に背中を見せていることに気づき、慌ててターンしようとするが……。

 凍りついた鱗が邪魔をして、思うように動けない。


 ここで急接近した守りの竜が、毒竜の後頭部を目掛けてブレスを連射する。

 手数と連射、そして相手が鈍くなれば当て放題だ。


『ウグワーッ!! ウグワッウグワッ、ウグワーッ!! そ、そんなーっ! 勝つために俺は寝返ったというのにーっ! ま、ま、まさかこんな、こんなところで負けるなんてーっ!!』


 叫びながら、毒竜の肉体はコントロールを失い、毒沼に向かって落下していく。


『ウグワーッ!!』


 絶叫とともに、着水した毒沼ごと、毒竜の肉体は爆発した。

 沼の水が爆ぜ、紫色の雨が降り始める。


 そんな中、真っ黒な結晶が浮かび上がってきた。


『よしっ! 毒竜の結晶ゲット!!』


『うーわー、本当にダークドラゴンぶっ倒しちゃったよ。あいつめちゃくちゃ喧嘩強かったんだけどなあ』


『二人がかりだからねえ』


『自分、ブレス吐いてぐるぐる回ってただけだよ? ブレスを誘導したのは守りの竜だろ』


『手数要員大事だからね。帰ったら美味い野菜買ってあげるから』


『ほんとか!? いや、頑張るもんだなあ』


『その前に……』


 守りの竜は、不毛の大地の先を見つめる。

 そこには、暗雲に包まれた竜都の姿があった。


 ドラコニアの首都にして、ネビュラゴールドが最初に降り立った場所。

 そこで、魔龍との決戦が待っているのだ。

お読みいただきありがとうございます。

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