ゲーム感覚は……
この世界の裏には無数の異世界があって、
それらにアクセスするためにヘルメットをかぶるんだ。
ベットに寝ころび、好きなジャンルを頭に浮かべる。
SFとか戦国とか、魔法の世界だったりラブコメの世界だったりを。
そして、目を開ければその世界がそのまま広がっているんだ。
ゲームの世界かと思えば、傷がついたら血が出てくる。
フィクションの世界かと思えば、身内に殺される。
目が覚めれば元通りの日常。
夢の中で死んでようが殺されてようが、
嫌な夢で済まして、今日一日を過ごし始める。
だけど、アクセスした異世界は”自分”そのもので、
無数に存在する並行世界のうちの”自分”が確かに死んでいる。
自分を操り人形にして、勝手に死んで、勝手に放り投げる世界。
自分と言うものを大事にしない世界が、あるのかもなぁ。
という、そんな妄想。
ゲームを操作するプレイヤーと、画面に映るキャラクター。
よくあるRPGでは、キャラクターがなにをしようともNPCはだんまり。
壺を投げようと、味方に剣を振るおうと、
無害なモンスターを倒し続けようと、なにもしゃべってはくれない。
でも現実は違う。器物破損に傷害罪、軽く殺人になる。
何気ないゲームの場面だけれど、誰もが皆、それをやっている。
普通は考えられない。
現実じゃありえない。
それを叶えてくれるのがゲーム。
それらを引き出しているのがゲーム。
やりたいことを引き出してくれるのがゲーム。
現実の世界とゲームのような感覚の世界が入り混じったその時、
きっと、人間は本能的になるんだろう。
この世界はゲームではないけれど、
ゲームだと思えば、自分の潜在能力が引き出せれるのかも。
ゲームクリアのためには、できればミスはしたくない。
何事も投げやりならずに進めれば、次のステージに行けるはず。
コントローラーは自分たちが握っている。