懊悩
劉備らが沛郡を去って、3日が経っていた。
陳登は劉備の下を訪れた。
陳登『劉備殿もいい加減、徐州牧の件、引き受けて欲しい。陶謙様も長くないのに。
おや、避客牌がかかっている。
出直すか』
陳登はその後、一週間通った。
陳登『どうにもおかしい。人の気配がない。』
屋敷に入ってみることにした。
陳登「うっ、これは」
屋敷の中は綺麗に掃除され、陶謙からもらったものが置かれ、手紙が置いてあった。
陶謙、陳登に宛てたものだった。
陳登は「これは」
【会って話をしたかったが、誠に申し訳ない。一筆書いて、退散することにした。
やはり、私には徐州牧を引き受ける訳にはいかない。
器量がない、一県尉がせいぜいのため、
徐州の民を無用に苦しめることになる。
徐州の周りには東には陶謙様から離反し、独立した臧覇、西には曹操、呂布が争っているが、曹操が勝つ。
呂布が徐州に落ち延びてくる。
あの危険な狼と言っていい呂布を迎えると不幸なことになる。
南には袁術が虎視眈々と徐州を狙っている。
奴は兄、袁紹と戦いたがってる。
私が徐州牧になると危険だし、まだ死にたくはない。
祖先の高祖劉邦と覇権を争った項羽の二の舞を演じたくはないのだ。
陶謙殿は私を評価してくれるのはありがたいが]
陳登は嘆息した。
『困った、どうしたものか、父と相談するしよう。』
徐州へ戻って行った。
徐州
陳登は屋敷に戻って父、陳珪と話をした。
陳珪『困ったの、太守に何と報告すべきか。
ありのまま話すしか、なかろう。
玄徳殿が断り、去った以上は。
誰を太守にするか、やはり、曹操殿と言いたいが遺恨がある以上は迎えるのは無理だな。
呂布は飢えた狼、迎え入れたら災厄にしかならん。
やむを得ぬ、袁術殿しか、いないか。
揚州でのやり口は褒められたものではないがな。』
陳珪「息子よ、致し方ない、儂が話すしかなかろう。」
陳登「お任せします、父上。しかし玄徳殿は何処へ行かれたのか。」
陳珪は溜め息をついた後、その問いには答えなかった。