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フォスとティアの素晴らしい冒険  作者: 嵐さ
霧と影の迷宮
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閉ざされた迷宮

霧が静まり、通路の奥に微かな光が見えた。

フォスたちは互いに頷き合い、その先へと進む。


だが――その一歩を踏み出した瞬間。


背後で、「ガシャアアアンッ!」という轟音が響いた。

振り返ると、通ってきたはずの道が厚い岩壁で完全に塞がれている。


ティアが息をのむ。

「えっ……閉じ込められた!?」


ノクスが慌てて光を放つが、どこまで照らしても出口は見えなかった。

「壁……動いてる! まるで生きてるみたいだ!」


フォスは剣を握り、壁に斬撃を放つ。

だが刃は岩をかすめた瞬間、まるで霧のように吸い込まれ、消えた。

「……効かない。」


その時、空気が低く震えた。

「ここは“影の器”。外の光は届かぬ。」


ティアが辺りを見回す。

「今の……声?」


霧の奥から、巨大な目のような光が現れた。

それは迷宮そのものが、意思を持つかのようにフォスたちを見下ろしていた。


「侵入者よ。己の心を試し、恐怖を超えたときのみ、道は開かれよう。」


ノクスが小さく震える。

「まさか……この迷宮が、生きてるの?」


フォスが剣を構え、静かに言う。

「なら――力づくでも、突破するだけだ。」


黒月の残滓が横に浮かび、光を放つ。

「フォス……この迷宮は“黒月の欠片”が作った場所。

封印の一部が、ここでまだ生きてるんだ。」


ティアが目を見開く。

「じゃあ……あの黒月の暴走も、迷宮が関係してるってこと?」


残滓は頷いた。

「ここは“闇の記憶”の中。封印の残り香が迷宮の形をとっている。

だから、心を乱せば、その闇が形になる。」


フォスは静かに剣を下ろした。

「つまり、感情を乱せば出口も遠ざかる……厄介だな。」


ノクスが苦笑いする。

「フォスが冷静になるの、珍しいね。」


ティアが笑いかける。

「でも、そういう時こそ頼りになるでしょ?」


フォスは少し照れたように目を逸らす。

「……まぁな。」


ふと、足元の床が微かに光った。

石畳に浮かぶ文字――それは“道を開く鍵”の詩のようだった。


『影を恐れず、己を見失うな。

二つの心が交わる時、道は開かれる。』


ティアがそれを読み上げる。

「二つの心……って、誰と誰のことだろう?」


ノクスが首をかしげる。

「ボクとフォス? それともティア?」


フォスは少し考え、静かに言う。

「順番に試すしかないな。焦っても出口は開かない。」


その瞬間、壁が再び動き、道が三方向に分かれた。

霧がそれぞれの道を覆い、奥がまったく見えない。


ティアが唇をかむ。

「……選ばなきゃ、進めない。」


フォスは剣を抜き、前を見据えた。

「いいさ。どんな仕掛けだろうと、抜けてみせる。」


迷宮の奥から、また声が響いた。

「ならば選べ――

“絆”を試す道、“恐怖”を試す道、“真実”を試す道。」


ティア、ノクス、フォスは顔を見合わせる。

それぞれの瞳に、迷いと覚悟が交錯した。


そしてフォスが一歩前に出る。

「行こう。俺たちで、全部越える。」


霧が再び動き、道が閉ざされる音が響いた。

迷宮は静かに、彼らを試す準備を整えていた――。

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