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フォスとティアの素晴らしい冒険  作者: 嵐さ
霧と影の迷宮
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迷宮の幻影

迷宮に足を踏み入れてから、どれほどの時間が経っただろう。

石造りの通路は果てしなく続き、どこを見ても霧が漂っている。


フォスは壁に手をつきながら進む。

「……おかしい。どれだけ歩いても、同じ場所に戻ってくる。」


ティアが不安そうに辺りを見回す。

「たぶん、空間が歪められてるんだよ。迷宮の力で。」


ノクスが小さく光を灯し、辺りを探る。

「うん。何か、幻影の魔力を感じる……気をつけて。」


その瞬間、霧の中に“影”が現れた。

フォスにそっくりな姿をした、もうひとりのフォス。

「……俺?」


“もうひとりのフォス”は静かに笑う。

「お前には無理だ。闇を抱えて、仲間を守るなんてできるはずがない。」


ティアがすぐに杖を構えた。

「幻影だよ! フォス、惑わされないで!」


だがフォスは動けなかった。

その声が、心の奥の不安を突いてくるようだった。

「……俺は……」


ノクスが光を放ち、幻影に飛びかかる。

「フォスをからかうな!」


だが幻影はノクスをすり抜け、霧に溶けた。

その霧の中から、今度はティアの幻影が現れる。

「ティア……?」


幻影のティアは優しく笑って、囁いた。

「フォス。あなたが闇を選んだ時、私は本当は怖かったの。

今も……その力が暴れたら、どうすればいいのか分からない。」


ティア本人が目を見開く。

「そんなこと……言ってない!」


幻影の言葉が、フォスの心を刺す。

剣を握る手が震える。

「俺は……守るって決めたのに……」


黒月の残滓が静かに前へ出た。

「フォス。これは“迷宮の幻影”。心の奥の声を映すだけ。

でも、それを乗り越えなきゃ出口には辿り着けない。」


フォスは目を閉じ、深く息を吸い込んだ。

――ティアを信じろ。ノクスを信じろ。自分を信じろ。


目を開いた時、剣が淡く光を帯びた。

「……俺は闇を恐れない。

それが俺の中にあるなら、光と共に進むだけだ!」


フォスの剣が霧を斬り裂く。

幻影が悲鳴を上げ、霧の中へ消えていく。


静寂。霧が少し薄まり、通路の奥に微かな光が見えた。

ティアが微笑む。

「やったね……フォス。」


ノクスも頷く。

「これが“迷宮の試練”なんだね……まだ始まったばかりだけど。」


フォスは剣を背に戻し、前を見据えた。

「どんな幻影が出ても、俺たちは前に進む。」


その言葉に応えるように、霧の奥で微かに石の扉が開く音が響いた。

迷宮の第二の試練が、彼らを待っている。

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