黒月の予兆
黒月の光が空を覆い、世界全体に不気味な静けさが漂っていた。
森の奥、古い神殿に身を寄せるフォスたち。
ティアは窓から空を見上げ、小さくつぶやく。
「黒月……また近づいてる。」
ノクスが手元の光を広げる。
「黒月が満ちると、世界の均衡が崩れる。
ボクの記憶に、それに似た記録がある……」
フォスが振り返る。
「記録?」
ノクスは少し俯きながら言った。
「……ボク、本当は“闇の王の分体”だったんだ。
フォスに拾われて、力を分けてもらったことで、ここに存在してる。」
ティアが驚く。
「え……どういうこと?」
ノクスは続けた。
「黒月が満ちると、ボクの中の闇の力が目覚める。
そのとき、フォスの闇とも共鳴してしまうんだ。」
フォスは剣を握りしめ、深く息を吐いた。
「……なるほど。だから、黒月は俺たちを狙ってるんだな。」
森の向こうで、黒月の影がうねるように動き始める。
闇の気配が一層濃くなり、木々がざわめく。
ティアが決意を込めて言った。
「でも、逃げない。私たちは一緒に闇と向き合う。」
ノクスも頷く。
「うん、ボクたちは3人で1つだもん。」
フォスは前を見据える。
「黒月が満ちる前に、俺たちで均衡を取り戻す。
闇も光も、全部抱えて――。」
その瞬間、空から黒い羽が舞い降り、
黒月の輪郭がさらに濃く光り始めた。
闇の力が世界を覆い、決戦の気配が漂う。
ティアがフォスの手を握る。
「行こう、準備はできてる。」
フォスは剣を握り直し、微笑む。
「ああ。どんな闇が来ても、俺たちは立ち向かう。」
森の影の奥で、黒月の力が小さな波紋のように広がっていく。
そして、次なる戦いの幕が静かに開いた。




