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フォスとティアの素晴らしい冒険  作者: 嵐さ
闇の使者との契約
23/42

影の契約者

夜。

黒月が空に浮かぶ中、フォスたちは山道を進んでいた。

空気は冷たく、どこか湿っている。


ノクスが不安そうに言う。

「この先に、“影の気配”が濃くなってる……」


ティアが頷き、杖を握る。

「きっと、黒月と関係ある人がいる。

……フォス、気をつけて。」


フォスは静かに剣に手をかけた。

「大丈夫。今度は、俺が闇に飲まれたりしない。」


だがその言葉の直後、

突如、辺りの闇が渦を巻いた。

黒い霧が地面から噴き出し、フォスたちを包み込む。


ティアが叫ぶ。

「フォスっ!」


霧の中でフォスの姿が消える。

気づくと、彼はひとり、暗闇の世界に立っていた。


周囲は静寂。

遠くに、一人の男の影が立っている。

黒い外套をまとい、瞳はフォスと同じ黄金色に光っていた。


「やっと来たな、フォス。」


フォスが眉をひそめる。

「お前は……誰だ。」


男は薄く笑った。

「“お前のもう一つの可能性”だ。

かつて闇を拒まず、受け入れた“正しいお前”。」


フォスの表情が険しくなる。

「正しい……? ふざけるな。

俺は闇に飲まれるような生き方はしない。」


男は静かに首を振る。

「違う。お前はすでに“影の契約者”だ。

祠で闇と光を混ぜた瞬間、お前は俺と繋がった。

黒月は、その証。」


フォスの右腕の紋章が熱を帯びる。

脈打つように黒と金の光が交互に瞬く。


「……これは、お前のせいか。」


男は目を細めた。

「力を恐れるな。

俺たちが一つになれば、世界は均衡を取り戻す。

光も闇も、“お前の中”で共に生きられる。」


フォスは剣を構えた。

「それが世界の均衡じゃない。

ただの支配だ。」


男が微笑む。

「なら、証明してみろ。」


次の瞬間、闇の剣が生まれ、フォスの剣と激しくぶつかり合う。

衝撃波が闇を裂き、稲妻のような光が走る。


剣を振るうたび、フォスの心に声が響く。


「闇はお前を拒んでいない……受け入れてほしいだけだ。」


「お前が光を信じすぎるから、闇が悲しんでいる……」


フォスは歯を食いしばり、叫ぶ。

「うるさいっ!! 俺は――俺でいる!!」


剣が交錯し、フォスの光が闇を切り裂く。

だが、男は笑いながら霧のように消えた。


「また会おう、フォス。

そのときには、お前が“どちら側”に立つか決まっているだろう。」


闇が晴れ、フォスは現実へと引き戻された。

ティアが駆け寄る。

「フォス! 無事!?」


フォスは息を荒げながら頷く。

「……あぁ。けど、わかった。

黒月の裏に、“俺の影”がいる。」


ノクスが心配そうに見上げる。

「それって……闇の王、なの?」


フォスは首を振る。

「違う。もっと厄介だ。

あれは――“俺自身”だ。」


ティアが息をのむ。


夜空では、黒月が静かに光を放っていた。

その光は、まるでフォスを見下ろすように冷たく輝いている。

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