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フォスとティアの素晴らしい冒険  作者: 嵐さ
闇の使者との契約
17/42

影に潜むもの

第17話:影に潜むもの


闇の契約を結んでから数日。

フォスとティアは、新たな力を手に入れたはずなのに、どこか落ち着かない日々を過ごしていた。


フォスの腕には、黒い紋章が淡く光り、まるで呼吸するように脈打っている。

力を使うたび、その光は強まり――体の奥に冷たい痛みが走る。


「……大丈夫?」

ティアが心配そうに覗きこむ。


フォスは笑ってみせるが、その顔は少し青ざめていた。

「平気さ。ただ…使うたびに、少し体が重くなるだけだ。」


「それ、代償……なのかな。」

ティアの言葉に、ノクスが静かに鳴いた。

「ピィ……(闇の契約、代わりに“心”を喰う)」


フォスは目を見開く。

「心を……喰う?」


ノクスは続ける。

「力を使いすぎると、“自分”が薄れていく。闇は主の心と混ざる……」


ティアが息をのむ。

フォスは無言のまま拳を握り、空を見上げた。

「……それでも、守るためなら構わない。」


ティアは一瞬、悲しげに目を伏せるが――

すぐに顔を上げた。

「だったら、私も強くなる。フォスに頼るだけじゃなくて、自分の力で。」


その言葉にフォスは少し笑みをこぼした。

「……ティア、お前も変わったな。」


「フォスのせいだよ。」

そう言って笑うティアの目には、少しだけ強い光が宿っていた。


その夜。

フォスがひとりで森を歩いていると、背後に黒い影がゆらりと現れた。

耳元で、低い声が囁く。


「……心を差し出せば、もっと力をやろう。」


フォスは息を止め、振り返る。

だがそこには誰もいない。

代わりに、腕の紋章が熱く燃えた。


「お前は……誰だ……?」


影は微かに笑う。

「俺は“闇の王の残滓ざんし”。お前が契約した“闇”の、本当の主だ。」


フォスの目が見開かれる。

闇の王――あの倒したはずの存在が、まだ消えていない?


影は続ける。

「闇の使者など、ただの器にすぎん。真の契約者はお前だ、フォス。」


その言葉に、胸の奥の鼓動が早くなる。

フォスは膝をつき、腕を押さえた。

頭の中で、何かが囁く――いや、“侵食”してくる。


ティアの名を呼ぼうとした瞬間、

背中から黒い翼のようなものが一瞬だけ広がった。


ノクスが駆け寄り、必死に叫ぶ。

「ダメッ! そのままだと“闇”がフォスを喰う!」


フォスは苦しみながら、必死に目を開く。

「……俺は……まだ……俺だ……!」


黒い光が弾け、影は消えた。

フォスは地面に倒れ込み、静かに息を整える。


ティアが駆け寄ってくる。

「フォスッ!! 何があったの!?」


フォスは苦しげに笑う。

「……闇の王……まだ、生きてる。」


ティアの瞳が揺れる。

「じゃあ……契約は、罠だったの?」


フォスは静かにうなずいた。

「たぶん、あの契約の奥に“本当の闇”が隠れてる。」


夜風が吹き抜け、黒い雲が月を覆う。

フォスの瞳の奥に、ほんの一瞬、闇の光が灯った。

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