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イリスとの邂逅

秋葉原の夜はますます深まるが、神谷レイジの心は落ち着いてはいなかった。魔物を倒しても次々に湧き出るようなこの状況は、ただ事ではない。そして、目の前にはその問題を共有するかのように現れた一人の女、イリス。彼女の目的が何であるのか、今のところはまだわからない。しかし、彼女の鋭い眼差しと落ち着いた物腰には、ただの冒険者ではない何かが漂っていた。


「あなた、どうして魔物を追っているんだ?」

レイジは歩きながらイリスに問いかけた。


「それは、あなたがどうして魔物を追っているのかと同じ理由よ。生きるため、そして……真実にたどり着くため」


彼女の答えは抽象的だったが、嘘ではないことは彼の直感で分かる。魔物の発生源を探し、これを壊滅させるという彼の目的は、どうやら彼女とも共通しているらしい。


二人は廃れたビル群の隙間を進んでいく。目的地は、秋葉原の地下にあると言われる廃棄された施設。レイジが入手した情報によれば、魔物たちはその場所から発生している可能性が高いという。


「ここからが問題だな…」


レイジは目の前に広がる巨大な地下の入口を見上げた。朽ち果てた鉄扉が、暗い闇の中に浮かび上がっている。扉の向こうからは、かすかなうなり声と、どこか不穏な空気が漏れ出していた。


「準備はいいか?」

レイジが振り向くと、イリスは無言で頷いた。彼女の腰には、短剣のような武器が装備されているが、それだけではないはずだ。彼女の体の動きや雰囲気から、戦闘経験が豊富であることは明らかだった。


レイジは銃を手に持ち、静かに扉を押した。きしむ音と共に、鉄の扉が重く開く。そこには、暗闇の中にぽっかりと広がる階段が続いていた。


「気をつけろ。何が待っているか分からない」


二人は階段を一歩一歩慎重に降りていった。暗闇の中、レイジの銃がかすかに光を反射し、イリスは足音を立てないように静かに進む。


しばらく進んだところで、地下の広間にたどり着いた。そこには、奇妙な装置が複雑に配置されており、古代の文字のようなものが壁に刻まれていた。魔物の巣窟であることは明白だ。


「これが…魔物の発生源か?」


レイジが呟くと、イリスが一歩前に進み、指で壁に刻まれた文字をなぞった。


「ここは、古代の儀式場…昔から存在していた。今は使われていないはずだったけど、誰かが封印を解いたのかもしれない」


その時、地下の空気が急に重くなった。どこかで魔物が目覚めたのか、暗闇の奥から大きなうなり声が響き渡る。そして、彼らの前に現れたのは、今まで見たことのない巨大な魔物だった。体長は3メートルを超え、皮膚は鋼のように硬そうだ。鋭い牙が光を反射し、目は赤く光っている。


「やるしかないな」


レイジは素早く銃を構え、「貫通弾」を装填した。この弾は、硬い装甲を持つ敵に対して効果的だ。魔物の巨体を貫き、急所を狙うにはこれしかない。


「奴の動きを止めるわ」


イリスが短剣を構えた。彼女が使う武器は、魔法の力を宿しているようだ。短剣が彼女の手の中で不気味に輝き、次の瞬間、彼女は一瞬で魔物の懐に入り込んだ。鋭い一撃が魔物の足元を狙い、次々と動きを封じていく。


「今だ!」


レイジは引き金を引いた。銃声が地下に響き、放たれた貫通弾が魔物の胸を撃ち抜く。鋼鉄のような皮膚を簡単に突き破り、巨大な体が震えながら倒れた。


「ふぅ…一体これがどこから来たんだ?」

レイジが息を整えながら呟く。


「これだけ強力な魔物が出てくるのは、かなり大きな力が働いている証拠ね。この奥に、何かがあるはず」


イリスは淡々とした口調で言ったが、その目には鋭い光が宿っている。


「もう少し調べた方がよさそうだな」


レイジは弾丸を確認しながら、奥へと続く通路を見つめた。魔物を倒すための準備は整っている。だが、何かがこの先に待ち受けているのは確かだった。


「進もう。発生源はもうすぐだ」


イリスが前を向き、二人は再び歩みを進めた。闇の中で不気味に蠢く気配が次第に強くなっていく。これまで倒してきた魔物は、ただの前触れに過ぎなかったのかもしれない。二人は緊張感を持ちながら、さらに深い地下へと進んでいった。


その先に待ち受けているのは、一体何なのか。秋葉原の闇に隠された真実に、二人は少しずつ近づいていた。


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