短編「母の夢」
トラークル「夢と狂気」の文章から妄想した物語です。
僕は最近暗い部屋の中にいる夢を見る。
僕は部屋の中で小さなころに使っていた木の椅子に座っている。
体を動かすことはできない。
僕の正面には木でできた瞳が彫刻された扉が一つある。
僕はただ椅子に座っているだけだ。しかし、この夢は毎回これだけでは終わらない。
コンコン
扉がノックされる。
コンコン
再びノックされた後
「ねぇねぇ■■■。この扉を開けてくれない?」
母さんの声だ。でも体を動かせないから開けられないんだ。母さん。
コンコン
「ねぇ■■■。なんで返事してくれないの?」
ごめん母さん。声も出せないんだ。
「■■■!開けて…お願い。この扉を開けて…」
母さんは僕の名前を叫んだが。すぐに落ち着いて、やさしく話しかけてくる。
「■■■…お願い…」
無理なんだ母さん。無理なんだよ。
「ねぇ…もうこんな事おしまいにしましょう。私が悪かったから。仲直りしましょう」
あれ…なんで僕はここにいるんだっけ?
「そこで閉じこもって怯えないで…もうしないから。本当の‘‘家族‘‘になりましょう…」
あれ、僕のかあさんはこんな声だったっけ…?
「■■■…自由にしてあげるから。だから中に入れさせて…3 秒待ってあげるか
らさぁ!!!!!」
母さんの語気は強くなり、最後は怒りに任せて叫んでいた。
「さん!!!」
やだ…こわいよ。
「にぃ!!!!」
こんなの…母さんじゃない
「いち!!!!!!!」
あなたは誰なの?
「クソが!!!!!!!」
そして、扉が思い切り開かれて、目が覚める。
最近は毎日この夢を見る。
「■■■。朝だよ、朝ご飯の準備も終わってるし。みんな待ってるわよ」
母さんに言われて、僕はベットから起き上がる。服を脱いで赤い跡だらけの体を
見ながら服を着替える。
リビングへ行くと
テーブルには4人分の朝ごはんが用意され、父さんと妹がすでに座っている。
白髪で目の下のクマがすごいボロボロの父さん。周りのことに敏感に反応する
臆病な妹。だけど、僕は家族が大好きだ。
「はい、■■■も来たことだし食べ始めましょう。」
皿洗いを終えた母さんも席に座り、僕も席に座る。
「「「「いただきます」」」」
僕は石のように固い母さん特製のパンに手を伸ばした。
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