第七十四話 はじめてのおつかい
清らかなる、翌日。
俺は久しぶりにララ様に呼び出された。
やらかした覚えはないし、きっと何かしらの用があるのだろう。
「ご機嫌よう。こうしてお会いするのは、久しぶりですね」
「そうですね。学校の件では、本当に助かりましたよ」
おや、今日のお供はハーブティーか。
この鼻腔をくすぐる風味が、実に心地いい。
「学校生活は順風満帆でしょうか?」
「おかげさまで。ただ、事前に聞いていた通り、実力主義なのが悩みの種ですけど……」
「それはもう一種の伝統のようなものなのです。
解決することはそう難しくはありませんが、ああいった環境だからこそ、優秀な人材が育つのです」
ああ、なるほど。
ラー王国を大国たらしめる要因の1つは、そういった伝統から来ているのだろう。
少々残酷だが、実力のある者を育てる方が国にとっては好ましいもんな。
「まあ、慣れたのでもう気になりませんから、大丈夫です。
それはそうと、今日はどういったご用件でしょう?」
「それは見てもらった方が早いでしょう」
ララ様はそう仰ると、パチンッと指を弾いた。
すると、外で待機してたであろう使用人がせこせこと何かの装置を運び込んでくる。
おや、何だか見覚えがあるぞ。
「もしかして、身長計ですか?」
「その通りです」
そういえば、入学する際に一度測定したっけ。
まさか、半年経過した今になってもう一度とは。
「……それは、どういった経緯で?」
「覚えていませんか? 私が話した勇者の仮説のことを」
勇者ねぇ。
そういえば、勇者が俺と同じ転生者であり、年をとらないなんて仮説を立てていたっけ。
なるほど。だから今ここで俺を使って立証しようとしているのか。
「年をとらないということは、それすなわち、肉体が成長を止めるということ。
半年もあれば、身長に変化があるでしょう。さあ、どうぞこちらへ!!」
ララ様はずっと待ちわびていた子供のように、キャッキャッと胸を躍らせている。
果たして、その期待に応えられるだろうか。
正直、自信はない。
「それじゃ、いきますよ」
両の踵を身長計にくっつけて、背筋を伸ばす。
自分目線では、身長の変化を感じることはできない。
「ふむふむ……なるほど……」
ララ様は考え込むような顔をして、手に持った資料と見比べる。
そして、納得したように頷いて、こちらへと視線を向けてきた。
「入学時と比較して、少しですが変化がありました」
「それってつまり……」
「はい。どうやら、私の仮説は間違いだったようです」
ララ様は淡々とした笑顔で、使用人に身長計をさげるように促す。
俺がいる手前、表には出さないようにしているが、落胆は大きいだろう。
小さい頃からの念願が叶うかもしれなかったのだから。
「ララ様、その……残念でしたけど、元気を出してください。
ほら! 地球についての話をしてあげますから!!」
「ふふふ……ご心配なさってくれてありがとうございます。ですが、私は大丈夫ですよ。
この仮説が間違っていても、また新しい仮説を立てればいいだけの話ですから」
精一杯励まそうとしたけど、どうやらその必要はないらしい。
残念な気持ちはあるだろうが、それでもポジティブな考えを貫くのは、ララ様らしいな。
「私は決して諦めません。必ずや、勇者の存在を世界に知らしめてやります!」
「そうです! その意気ですよ!!」
元気なら、それで良しだ。
どうやら用件は済んだみたいだし、今日は本屋にでも寄ろうかな。
あ、それとも家族のためにお菓子でも買ってあげようか。
依頼をたくさんこなしてきたおかげで、最近は持ち金にも余裕が出てきたし。
「あら? まだ用件は済んでいませんよ」
「あ、そうなんですね」
「エトには、おつかいに行ってもらいたいのです」
「おつかいですか……」
「はい。推薦状のお礼として、どうでしょう?」
ララ様からのおつかい……怪しいにおいがプンプンするぞ。
だが決めつけるのは良くないし、ひとまず詳細を聞いてみよう。
「そのおつかいですけど、具体的には何を買えばいいんですか?」
「簡単に言えば、お菓子です。ただ、今の時期にしか売っていない限定品ですけど」
どうやら、本当にただのおつかいのようだ。
使用人にでも頼めばいいのだろうけど、何やらできない理由があるらしい。
あまり答えたくなさそうなので、詮索はしないでおこう。
「場所は南方の果てに位置する港町ロセアンです。馬で向かおうとすれば、半年はかかります」
「だけど、転送屋なら日帰りも可能というわけですか」
本当に転送屋は便利だな。
転送魔法陣が繋がっていれば距離なんてお構いなしだし、一般人でも金さえ払えば利用できてしまう。
こんなのが地球にあったら、海外旅行とか手軽に行けるんだろうな。
「わかりました。引き受けます」
「やった! エトならそう言ってくれると思っていました」
推薦状の見返りとしては、お安い御用だ。
日帰りだし、簡単なピクニックとでも思えばいい。
「ちなみに、そのお菓子ってもう販売されているんですか?」
「いえ、明日からのはずです」
「それなら明日には出発します。早い方が売り切れないでしょうから」
「そうですか。楽しみに待っていますね」
今度こそ用件は済んだだろうし、この後は本屋に寄ろう。
あ、港町ロセアンには明日向かうわけだし、明日は皆と依頼を受けられそうにないな。
受けるにしても、俺抜きでやってもらおう。
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夕飯を済ませ、俺は明日に向けて自室で準備をしていた。
その隣には、暇そうに見つめてくるレイナの姿もある。
「――――――――ということで、パーティーメンバーにはお前から言ってくれ」
「ええ……嫌だなぁ。私、別にあの人達好きじゃないし。あ、私も明日付いて行っていい?」
「おつかいくらい、ひとりで行ける。それに、少しは友達作った方がいいぞ」
「余計なお世話ですよ~だ」
レイナはベーと舌を出して、そのまま部屋から出て行った。
俺のことを心配してくれるのは有り難いが、少し過保護すぎる気がする。
それとも、本当に俺がおつかいできないと思っているのだろうか。
「まあでも、こっちの世界じゃ初めてか……」
つまり、人生2回目のはじめてのおつかいだ。
地球と比べて世間は物騒かもしれないが、今の俺には電撃魔法がある。
その辺の悪党なんかに負けてやるつもりはない。
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翌日、俺は転送屋を利用して、港町ロセアンを訪れた。
晴れ渡った空のした、ほのかに潮の香りが漂って来る。
海岸の方には、遊泳目的であろう水着のお姉さんたちの姿が見える。
危うく、ここまで来た目的を見失いそうになってしまう。
「あれは目の毒だな」
今日は海に用はないから、可能な限り視界に入れないでおこう。
それにしても、港町ということもあり、船が多いな。
ただ地球のものと比べると小さいし、木製だ。
「ねえ、アンタ。やっぱり胸の大きい女の方がモテると思う?」
突然、背後から可愛らしい声が聞こえてきた。
すぐさま振り返ると、そこには幼い少女の姿があった。
明るめの青髪を靡かせ、右手には杖を持っている。
「えっと……今の俺に聞いたの?」
「アンタ以外に誰がいるのよ」
げえー、めんどくさいのに絡まれた。
こんなに小さいのに、レイナ以上にキツイ性格をしている。
こういうのをメスガキとでも呼ぶのだろうか。
「早く質問に答えなさい」
「えー……まあ、確かに胸が大きい方が好みの男性は多いだろう」
「うぐぅ……やっぱりか……」
「けど、世の中は広いからな。小さい方が好きという男性も数で言えば多いはずだ」
「それ本当!? だったら、アンタはどうなんだ!?」
そんなの当然――――――――
「大きい方が好きだ」
蹴られた。
聞かれたことに真摯に答えただけなのに、理不尽すぎないか……。
これ以上は関わらない方が身のためだ。
「はあ……アンタに聞いて損した」
メスガキはうんざりしたように、何処へと消えて行った。
もう会うことはないだろう。それがお互いの為だ。
「はッ! こんなことしてる暇ないじゃん!!」
くそ、こんなんで売り切れにでもなったら笑えないぞ。
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結局、町中を走り回って、ようやく購入することができた。
肝心のお菓子は、見た目はシュークリームに似ており、甘美な香りが漂って来る。
限定品と謳ってはいたが、値段は思ったよりも安かったため、ララ様のものと含めて3つ購入した。
さ、さっさと帰って家族みんなで食べるとしますか。
「そ、そこの少年……」
「……はい?」
おいおい、今度は老婆かよ……。
もう理不尽に暴行されるのはうんざりなんだが……。
「助けてくれ! このままでは孫が殺されてしまう」
「なんだって?」
それはちょっと無視できない。
さっきみたいなのは笑い話にでもできるが、今回のは笑えないぞ。
「場所は? どこに孫はいるんだ?」
「あそこの裏路地じゃ」
「わかった。ここで待っててくれ」
裏路地……か。
確かにリンチには持ってこいの場所だが、同時に恐喝にも持ってこいだ。
疑いたくはないが、この老婆もグルだという線も考慮しておこう。
裏路地に入ってすぐ、3人組の男の姿が目に入った。
しかし、老婆の言う孫の姿は見当たらない。
どうやら、俺の勘は当たったらしい。
「おいおい、つギの狙いハこんナがきかヨ」
男の1人がカタコトの言葉を吐く。
続けて他の2人が喋り出すが、聞いたことのない言語で理解することができない。
奇妙だな……人族の言語は多少の方言はあれど、統一されてるはずだ。
それに、老婆も含めこの世界では初めて見る褐色の肌だし、人族じゃないのか。
ひとまず、ここは下手に応戦するよりも、逃げた方がいいな。
「悪いが、逃がすわけにはいかんな」
背後から老婆が道を塞ぐように現れた。
参ったな、これじゃあ路地裏から逃げられない。
「金が目的か? それとも、このお菓子が狙いなのか?」
「そんなものに用はない。ワシらが欲しいのは生きた人族じゃ」
なるほど、人身売買か。
それに、どうやら不特定多数を狙った犯行のようだ。
慣れた手口だし、初犯じゃないだろうな。
「生憎だけど、帰らなきゃいけないんだ。家で待ってる家族がいるからな」
学校に入学して以降、俺がずっと知識を蓄えていたと思うなよ。
自分の身くらい、自分で守れる。
「捕まえろ!!」
老婆の指示で、3人が飛びかかって来る。
俺はすぐさまお菓子を地面へと落として、戦闘態勢に入った。
見たところ武器は握っていないが、念のため近づけないほうがいいな。
「『電撃銃』」
2人以上の相手に同時攻撃なら、電撃銃が打ってつけだ。
この距離、そして初撃なら間違いなく命中する。
「うおぉぉ!!」
電撃銃を喰らい、男たちはのたうち回る。
よし、これでしばらくは動けないはず。
あとは――――――――
「次はアンタだ。よくも騙してくれたな」
全ての主犯であろうこの老婆を見逃すわけにはいかない。
この絶体絶命の状況でも逃げる素振りすら見せないのは、余裕の表れか、それとも諦めからか。
「ふぇふぇふぇ、こりゃあ驚いた。まさか、特異属性魔法の使い手とは。
こいつを生贄にすれば、きっと坊ちゃんもお喜びになられるだろう」
坊ちゃん? そいつが黒幕か?
詳しくはわからないが、この老婆から聞き出せばいい。
「悪く思うなよ。『電撃銃』!」
「あぐがぁッ!」
何か仕掛けてくる前に、戦闘不能にする。
もちろん、老人だから殺さないように細心の注意を払ってな。
「あとは地元のギルドかなんかに身柄を引き渡せば――――――――」
突如、背後から大きな気配を感じた。
咄嗟にしゃがむことで回避することができたが、どうやら1人だけ動ける奴がいたらしい。
手加減したつもりはないけど、個人差で効きづらかったのかもしれない。
「うがぁぁ!!」
男は雄叫びをあげて、猪突猛進してくる。
どうやら、掴んで動きを止めようと企んでいるらしい。
だったら、こっちは剣を抜いて待ち構える。
「うらぁ!!」
男の頭を目掛けて、偽アテナを振るう。
切れ味は最低レベルだが、それが今は却って助かる。
殺さずに済むから。
「うぐぅ!」
側頭部に打撃を与えて、男を怯ませる。
そして、その間に体を蹴って距離を取る。
「『電撃』」
電撃銃に耐えるなら、それよりも威力の高い電撃を使えばいい。
しばらくは目を覚まさないだろうが、背に腹は代えられない。
よし、今度こそ終わった――――――――
「甘い!」
「――――――――うッ!!」
いつの間にか老婆が俺の背後を陣取っており、回避する暇もなく両腕を押さえられた。
一切気配を感じなかった。それに、こいつにも電撃銃が効いていない?
そんな馬鹿な。こんなガリガリの老体に直撃したんだ、動けるはずがない。
「く、くそ……」
この老婆、何て力だよ……。
振り解こうにも、ピクリとも動かない。
本当に、人間か?
「お前ら、いつまで寝てるんじゃ?」
老婆の呼びかけに、ぐったりとしていた男たちが起き出した。
電撃銃だけじゃない、どうやらこいつらには電撃魔法そのものが効きづらいんだ。
「……あい」
男たちの背中から、みるみるうちに黒い翼が生えてくる。
やっぱりこいつら人族じゃない、悪魔そのものだ。
「があぁあ!!」
翼をはためかせて、勢い任せに飛び蹴りを放ってくる。
老婆に拘束された俺には防ぐことも躱すことも出来ず、土手っ腹に直撃した。
「げはぁ!」
みぞおちに直撃し、俺は壁へと叩きつけられる。
呼吸ができない、苦しい……。早く体勢を立て直さないと……。
「ハア……ハア……」
電撃魔法が効きづらい相手、それにこの状況……。
加減するのはやめだ。
殺すつもりでやるしかない。
「くそ……『電撃銃』」
殺すつもりとはいえ、4人相手じゃ数が多すぎる。
幸い、電撃銃でも直撃すれば少しの間だけ時間稼ぎができるのは確認済みだ。
「無駄無駄!!」
男たちは空を飛んでいるため、当たらなかった。
老婆の方も、軽々と躱してくる。
「チッ! それなら、『電撃狼』!」
両手から放たれた狼が、地面を蹴り進んで老婆へと向かう。
老婆は一度は躱すが、それでも狼は追尾する。
「お前ら、さっさとおやり!!」
翼を広げ、男たちが飛びかかって来る。
先程までより数段速いが、動きは単調だ。
「『電撃』」
真っ直ぐに向かって来る2人に対して、両手から電撃を放つ。
お互いが距離を詰めるため、命中するのは必至だ。
残ったもう1人の攻撃は転がって躱す。
「『電撃狼』」
放たれた狼は、壁を駆け上がり、そして蹴って飛びかかる。
男は牙を腕で防いだが、直後に感電して地面へと墜落した。
「うがあぁぁ」
老婆が飛び蹴りを放ってくる。
俺は両手で防御をするが、威力を殺しきれずに後方へと転がる。
どうやら、さっきの電撃狼は持続時間が切れてしまったらしい。
とはいえ、今はこの老婆との1対1だ。
また男たちが起き上がって来る前に、けりをつける。
「ふぇふぇふぇ、調子に乗るなよ若造が」
「ハア……ハア……人攫いが何言ってんだよ」
老婆が地面を蹴って飛びかかって来る。
情けない話だが、この老婆の打撃を受けるのは得策じゃない。
何とか躱して、電気出力最大の電撃を喰らわせてやる。
「うらぁ!」
飛び膝蹴りを転がって回避することに成功した。
が、老婆はその足で壁を蹴って再び蹴りを放ってきた。
どうやら、躱されるのは織り込み済みだったらしい。
「うッ!!」
飛び蹴りを左手で受け止めるが、体勢を崩される。
老婆は身軽さを利用し空中で回転して、逆足で飛び蹴りを放ってくる。
今度は右手で受け止めるが、踏ん張り切れずに地面に転がされた。
「ふぇふぇふぇ! か弱いのぅ!」
「このゴリラババアが!」
悔しいが体術じゃ勝てない。
それでも、一撃与えられれば形勢逆転を望める。
ならば、電撃魔法を使うのがベストだ。
「『電撃狼』」
ただ電撃魔法を放つだけじゃ、きっと当たらない。
だったら、狼と俺で挟み込めばいい。
「行け!」
狼が老婆に飛びかかる。
当然躱されるが、それでも追尾は終わらない。
「それなら、本体を狙えばいいだけの話じゃ!」
老婆が真っ直ぐ俺へと距離を詰めてくる。
よし、これで直線上で俺と狼で挟むことができた。
あとは――――――――
「『電撃』!」
両手から電撃を放つが、老婆はサイドステップで躱してくる。
この状況下でも速く、そして冷静だ。
こうなれば、わざと攻撃を受けて、一瞬でも動きを止めるしかない。
「喰らえや!!」
老婆が、今度は右ストレートを繰り出してくる。
速く、そして鋭いが、受け止められる!
「馬鹿じゃな」
左手で受け止めるつもりだったが、老婆は土壇場で動きを変えて俺の手首を掴んできた。
そして、そのまま力いっぱい引っ張る。
予想外の動きに、俺は踏ん張ることができずに空中に投げ出された。
「終わりじゃ」
うまく受け身を取ることができなかった俺は、地面へと激突することになる。
すぐさま老婆の動きを警戒しようとした矢先、体中に鋭い痛みが走った。
「うあぁぁ!」
この感じ、どうやら電撃狼が俺に直撃したようだ。
そうか、老婆の狙いは狼の進路に俺をぶつけることだったのか。
咄嗟にこの判断を……これが戦闘経験の差ってやつなのか……。
薄れていく意識の中、俺の視界には買ったばかりのお菓子が映っていた。
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数十年ぶりに訪れたこの町で、少女は退屈していた。
どこもかしこも巨乳の女、それに群がる男たちの図ばかりだったからだ。
一応、一風変わった白髪の少年に出会うことができたが、自分の追い求める理想像とは程遠い人だった。
「あ~あ、こんなところ、来なきゃよかった」
直後、少女の頭上に怪しげな人影が見えた。
それも、ただの人族ではなく翼が生えている。
「むむむ……」
空を飛ぶ男たちの背中には、胡散臭い老婆に、先程話した白髪の少年の姿まである。
「あらら、面白そうなことが起きてるじゃん」
少女からすれば、男たちも老婆も取るに足らない存在だったが、あえて見逃すことにした。
そうすることで、自身の望みが叶うかもしれないと考えたからだ。
「やっぱり存在してたんだ。不死身の肉体を持つ、魔人族」
少女は、胸の高鳴りを抑えることができなかった。
「てことは、いるよね……魔王さま。あはは、今日のアタシ、ツイてるな~!」
目の前に広がる大海と、その先に薄ら目視できる大陸を前に、青髪を靡かせて少女はニヤリと笑みをこぼした。




