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転生ミスで異世界へ  作者: たけのこ
第一章 
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第五話 初めての外出

 朝が来た。


 俺はすぐにベッドから飛び起きた。

 そして、ひっそりと音を出さないように一階に向かった。


 一階には、レイナを除いた家族全員がいた。

 みんな、せっせと準備をしている。

 首都テリラスには、俺とカインさん、そしてリダの3人で向かい、ルビアさんが残ることになった。

 レイナが起きてきたときに、家がもぬけの殻だったらいけないからね。


 外出組の準備が終わるころ、俺は一人ソファの上で、丸い容器と睨めっこしていた。

 丸い容器……。そう、染魔薬だ。

 これがないと、俺はまともに外出できないらしい。


「……はぁ。生きずらい世の中だな」


 俺はぽつりとつぶやくと、容器の中のクリームを髪に塗った。

 こんなので髪の色が変わるのか?

 何て思っていたけれど――――――――


「いい感じだよ。これで疑われないで済む」

「ええ!? ほんとに変わったんですか?」

「ああ。ばっちりだ。茶色に変わっているよ」


 どうやら本当に変わったらしい。

 これには日本育ちの俺もびっくりだ。


 こうして俺の準備も整った。

 準備っていう準備はしていないんだけどね。

 まあ、これで堂々と街中を歩ける。


 首都テリラスまでは、馬車で行く。

 ワクワクが止まらない。


 俺は馬車の荷台に飛び乗った。

 それに続き、リダも飛び乗ってくる。

 最後に、カインさんが馬の手綱を握った。


 そして、馬車が動き出した。

 テリラスに向かって。




 ---------




 家を出てから一時間は経過した。

 リダと一緒に眠っていたから定かではないが……。


 カインさんに起こされ、周辺を見渡す。

 その瞬間、俺の眠気は消し飛んだ。


「ここが……」


 そこには、大きな建物が立ち並んでいた。

 建物だけじゃない、人もたくさんいた。


「ここがテリラスだよ。どうだい、きれいだろう?」

「きれいなんてものじゃないですよ!! まるで映画みたいです!」

「えいが?」


 ――――――――あ、しまった。カインさんは映画を知らないんだった。

 けど、それしか感想が出てこない。

 映画で見たヨーロッパの街並みと瓜二つだった。

 正直なところ、こんなに発展しているとは思っていなかったから余計に驚いた。


「早く行きましょう!」

「ちょっと待って。渡すものがある」


 そう言って、カインさんは俺に丸いコインを渡してきた。

 いや、これはお金だ。

 金貨1枚。日本円で言うと、1万円くらいかな?


「ありがとうございます!」

「ああ。私は少し寄るところがあるから、あとで合流するよ」

「了解です!」


 そう言い残して、俺はリダと一緒に街の中を走っていった。




 ---------




 しばらく街を駆け回った後、俺は街の中心にある広場で休んでいた。

 めちゃくちゃ疲れたが、発見もあった。

 この街には、俺たち人族とは違う別の種族もいたのだ。

 獣人族、人魔族、巨人族だ。


 まずは獣人族についてだ。

 その名の通り動物の人間版みたいな見た目で、すさまじい身体能力と体力を持っている。

 その反面、魔法が使えない奴が多い。


 次は人魔族について。

 彼らは、魔物が知性を持ち、人型になったみたいな感じだ。

 戦闘では魔法を使用する。


 最後は巨人族。

 彼らは、知能が低いかわり馬鹿力だ。そして巨大な肉体を持っている。

 しかし、別の種族にも優しく、戦いを嫌う種族と言われている。


 種族説明はこんなところだ。

 ふっふっふ、勉強の成果が出てしまったよ。


 そこで俺は思い出した。

 この街に来た理由を。


「そうだ! 俺はレイナに誕生日プレゼントを買いに来たんだった!」


 俺は周りを見渡した。

 そして気づいた。


「あれ? どこに行ったんだリダのやつ」


 思い返せば、俺は周囲の建物や人に気を取られてリダのことを忘れていた。

 置いていってしまったのかもしれない。

 つまり、リダは迷子になったのだ。

 俺が迷子になったのかもしれないが……。


「探すしかないな」


 リダは12歳だ。

 もしかしたら誘拐されるかもしれない。

 ここは15歳の俺が探すのがベストだろう。


 ひとまず、俺は走ってきた道を戻ってみることにした。

 そうすれば見つかるだろうと思っていた。

 心のどこかで。


 走ってきた道を戻ったが、リダは見つからなかった。

 そこで俺はやっと危機感を感じた。

 もしかしたら本当に誘拐されているのかもしれない。

 俺は焦る気持ちを抑えて、どうするべきか考えた。

 最善策はカインさんを見つけて助けを求めることだろう。

 しかし、俺にはその策をとることができなかった。

 俺がリダを置いて行ったことをカインさんが知ったらと思うと怖かった。

 ましてや、すでにリダの身に何かあったら……。

 カインさんは俺のことをどう思うだろう。

 間違いなく俺のことを見放す。そう思った。

 だから、俺が一人で見つけ出すしかない。


 俺は、徹底的に周囲を捜索した。

 大通りから路地裏に至るまで。

 それでも見つからなかった。

 そこでようやく俺はカインさんに助けを求めることにした。


 馬車がある所まで戻ろうとした時だった。

 俺は二人の男が人気のない路地裏の奥に向かって歩いていくのを見た。

 普通なら気にしないだろう。

 ()()ならだ。


 その2人の男たちは、頭に袋をかぶせられた小さな子供を運んでいたのだ


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